オウンドメディアの立ち上げ手順から必要な費用まで成功事例で学ぶ
Keywordmap ACADEMYは、見込み顧客(リード)との接点の増加や、読者の疑問・悩みの解消、そして「Keywordmap」のブランディングを目的に2020年の5月にリリースしました。一年で月間約25万PVを達成し、メディア経由の獲得リード数も70倍以上増加しました。
ターゲットとしてはWebマーケター向けになり、取り上げているテーマとしてはWebマーケティングの中でも、コンテンツマーケティング、SNSマーケティング、BtoBマーケティングに焦点を当てています。
オウンドメディアを立ち上げたい、運用したいと考えている方に向けて、Keywordmap ACADEMYの運用から学んだ戦略の立て方、ノウハウ、得られた成果を余すことなく公開いたします。成功事例を参考に実践的なオウンドメディアの立ち上げ方について理解を深めていきましょう。
目次
オウンドメディアの立ち上げ手順:準備編
オウンドメディアで成果を出すために必ず行わなければならないのは、はじめに戦略を固めることです。見切り発車でなんとなくWebサイトを開設しても、成功する可能性は極めて低いでしょう。あとには、運用されなくなった無意味なWebサイトが残るだけです。
そこで、成果を出し続けている当メディア、「Keywordmap ACADEMY」の構想を練る際に固めた、5つの戦略を紹介します。参考にしてみてください。
戦略は以下の5点です。
- ポジショニング
- ターゲティング
- キーワード・テーマ
- 数値を想定
- 全体像を把握
ステップ1:ポジショニング
マーケティングの基本となるフレームワーク「STP」の分析を行います。ここでは、Keywordmap ACADEMYの戦略のなかでも重要視していたポジショニングとターゲティングについて紹介します。
オウンドメディアを立ち上げるにあたって、まずは自社のメディアの「位置づけ(ポジション)」としてどこを狙っていくのか明確にする必要があります。そのためには相対的な立場を知る必要があるため、競合となりうるメディアを調査しなければなりません。
- プロダクト(Keywordmap)における競合
- 検索市場(SEO)における競合
- メディアテーマにおける競合
などを洗い出し、どのポジションであれば戦えるのか徹底的に調査しました。上図の簡易的なマトリクスはその際に作成したものです。競合との差別化が可能で優位性を発揮することができるであろうポイントを、見誤らずに定量的、かつ定性的に分析することが鍵になってきます。
なお、検索市場における競合は、Webサイトが獲得しているキーワードを軸として、バッティングする可能性があるメディアを「Keywordmap」で洗い出しました。
(Keywordmapの「自然検索ワード」と「競合ドメイン」機能で、競合を抽出)
ステップ2:ターゲティング
そもそも誰に向けられた情報を発信するオウンドメディアなのか明確にする必要があります。当メディアにおけるペルソナ、つまり読者の想定は想像以上に難しく、策定するのに時間がかかりました。
というのも、これまでターゲットにしていたのは、あくまでも商材(Keywordmap)に対するペルソナで、一定以上のニーズを持っていることが前提となっていたので、記事を読みにくる層とは明確に分けて考える必要があったためです。
そこで、Keywordmap ACADEMYを訪問する読者を大きく分けて以下の4パターンに仮定しました(なお、ニーズとはKeywordmapで解決できるような問題、に対する「解決策へのニーズ」です)。
- 潜在ニーズのあるWebマーケティング初心者
- 潜在ニーズのあるWebマーケティングのベテラン
- 顕在ニーズのあるWebマーケティング初心者
- 顕在ニーズのあるWebマーケティングのベテラン
このような大枠を作って、そこからそれぞれのペルソナを深堀っていきました。以下の図は策定したペルソナの一部です。
潜在ニーズを持った読者をどのようにしてメディア内でナーチャリングする(育てる)か、および、顕在ニーズを持った読者をどのようにコンバージョンにつなげるか、という具体的な方針が、ペルソナ策定により固まっていきます。
ターゲットのニーズには、以上のような段階的な違いがあります。そのため、提供していく記事コンテンツの種類も変わってくるでしょう。記事コンテンツが変わってくるということはキーワードやテーマをそれぞれ正確に設定する必要があります。
ステップ3:キーワード・テーマ
ターゲットとする読者に興味を持ってもらうために、戦略段階でキーワードやテーマを決めておくようにしましょう。Keywordmap ACADEMYでは、策定したペルソナを効率的に集客するために、検索エンジン上でのユーザーとの接点であるキーワードと、メディアのテーマを決めました。
キーワードはトップページからカテゴリページ、記事ページに至るまでランディングページになり得る可能性のあるページには設定します。とはいえ、記事メディアの場合、トップページやカテゴリページではなく、末端である記事ページで集客するのが一般的です。
上図のように、押さえておきたいキーワードは戦略段階で洗い出し、リスト化しておきました。見えづらいですが、モザイクがかかっている中央や左付近がキーワードリストになります。その横には記事の下書きページや対策スケジュールのガントが引いてあります。
なお、ここでは詳細を省きますが、キーワード選定には検索ボリュームをチェックし、需要のあるテーマなのか、および競合と戦える領域なのかどうか、といった調査・分析が必要です。ここを疎かにすると集客が難しくなりますので、ぜひ丁寧に行うことをおすすめします。Keywordmap ACADEMYでは、SEO分析ツール「Keywordmap」を活用して行いました。
以下図:Keywordmapで「オウンドメディア」というキーワードを調査した場合。
キーワードとテーマは一心同体ですので、どちらかが決まればおのずともう一方も決まっていきます。
キーワードとテーマが決まったあかつきには、可及的速やかにコンテンツ制作に取り掛かりましょう。オウンドメディアリリースの段階で、一定以上のコンテンツ(Webページ)を公開することが望まれます。というのもリリースの段階からコンテンツを作成し始めて、1ページずつ間隔的にインデックスされていくよりも、大量のページを一気に評価してもらいインデックスしてもらった方が、検索順位へ好影響を与える傾向にあるためです。
なお、Keywordmap ACADEMYの場合は、20~30ページ分のコンテンツをリリースと同時に公開しています。
ステップ4:数値を想定
設定したキーワード群の検索ボリュームやターゲット顧客(ペルソナ)を鑑みながら、どれくらいのセッション数、CV数が見込めるのか事前に想定しておきます。これはオウンドメディア運用のKPI第一弾です。
施策にはKPIが必要です。KPIを満たすために必要であれば、用意していた分のコンテンツにさらに上乗せして、新しいコンテンツを作成していくようにします。また、運用していくうえで想定を上回ることも下回ることもあり得るため、KPIの方も適宜、アップデートしていきます。
Keywordmap ACADEMYでは戦略段階において、月ごとに獲得キーワードの総検索ボリュームを設定し、そこから想定されるPV数やCV数を算出しました。
ステップ5:エコシステムを図式化して共有
立ち上げたオウンドメディアが存在することで、自社サービスや既存メディアにどのような影響を与えうるのか、エコシステムとして全体の相関関係を把握しておきます。
Keywordmap ACADEMYでは、戦略段階で、下記の図のように自社サービス「Keywordmap」との相互補助関係を図式化しました。このようなイメージ図を作成しておくと、オウンドメディアの存在意義や役割を再確認することができると同時に、メンバー間で共有する際にも重宝します。
オウンドメディアの立ち上げ手順:サイト制作編
戦略をしっかりと練りこみ、運用の目処を見通せたら、いよいよオウンドメディアの制作フェーズに入っていきます。
本章では、Keywordmap ACADEMYの経験を参考に、ゼロからオウンドメディアを立ち上げる方法や必要な準備について紹介します。サーバーの契約やCMSの選定といったシステム面の事項についても解説しています。
以下の順でそれぞれ見ていきましょう。
- デザイン設計
- CMSの選定
- 発注(制作会社への依頼)
- サイト立ち上げ
ステップ1:デザイン設計(モバイル対応必須)
オウンドメディアを人間にたとえると、コンテンツは魂で、UI(ユーザーインターフェース)は身体かもしれません。コンテンツとUIが両立して高品質でなければ、成果を生み出すオウンドメディアにはならないでしょう。
したがって、UIの元となる「サイトのデザイン」は非常に重要です。
サイト構造を表す遷移図、それぞれのページの設計図となるワイヤーフレーム、サイト全体の色調やトーンなど、デザイン設計においてやらなければならないことは多岐にわたります。また、これらはデバイス別、つまりデスクトップおよびモバイルに適した表示でデザインするのが必須になります。社内にデザインのノウハウやリソースがあれば内製を、無ければ外注することをおすすめします。初心者がいきなりサイトの設計を行うのは非常に難しいので、その道の専門家に任せるのが一般的です。
以下の図は、社内のデザイナーが作成した大まかなサイト構造(遷移図)と、それを基にした完成間近のKeywordmap ACADEMYのデザイン設計(遷移フロー)になります。
ステップ2:CMSの選定
CMSとは「Contents Management System」の略称で、Webサイトのテキストや画像、レイアウトなどを管理するシステムです。CMSを使わないと自社でマークアップ言語をコーディングしなければならないため、継続的に運用する場合は利用することを強くおすすめします。CMSにもいくつか種類がありますが、サーバーでダウンロードでき、SEO実績やWeb上に情報が豊富であることから鑑みても、「WordPress」を使用がおススメです。WordPressの設定方法などは下記の章で紹介します。
以下はWordPressの管理画面
ステップ3:制作会社へ依頼
オウンドメディアを立ち上げたいが、リソースが足りない、ノウハウがないといった理由で自社で立ち上げることが難しい場合、Webサイト制作会社に作成を依頼します。
規模にもよりますが、一般的に制作費が数十万から数百万円までかかるため、前もって予算を確保しておくようにしてください。
Keywordmap ACADEMYは、上述したようにサイト構造や設計図はこちらで用意し、制作自体は外部のWebサイト制作会社に依頼しています。
注意点
制作会社とは、コーディング段階で連携を繰り返して、何度も改善を重ねました。しかし、それでも修正点や危惧すべき問題点をすべて洗い出すことができなかったため、Webサイトをリリース後の修正にはかなり苦労しました。特に画像やタグの表示のされ方、無意味なページの残存といった「UI」上の問題が頻発し、都度、自社内のエンジニアの協力を仰ぐこととなり、無駄な工数がかかってしまったという苦い経験があります。
可能な限り問題なく運用するためには、社内で制作についての工数や知識を増やしたり、制作会社を慎重に選ぶなど工夫が必要です。
ステップ4:サイトの立ち上げフロー
オウンドメディアを立ち上げるにはページのデータを置く「サーバー」が必要です。本章ではWordPressを例に、レンタルサーバーを契約してからサイトを立ち上げるまでの流れを「WordPress」を例にして簡単に紹介します。なお、自社のサーバがある場合はレンタルする必要はありません。Keywordmap ACADEMYは自社サーバーを使用しています。
レンタルサーバーを契約してからサイトを立ち上げるまでの手順は以下の通りです。
- レンタルサーバーに契約
- 独自ドメインを取得
- サーバーにWordPressをダウンロード
- WordPressの設定
①レンタルサーバーに契約
まずはサーバーを契約して借り受けます。無料サーバーもありますが、通信速度が遅いなどのデメリットがあるため、安定して利用できる有料サーバーにすることをおすすめします。有料サーバーの月額料金はおよそ800円前後となっています。「WordPress」が利用できないタイプのサーバーもありますので、注意してレンタルサーバーを選びましょう。
②独自ドメインを取得
独自ドメインとは、サイトのアドレス(住所、あるいは固有の識別単位)のことを指します。つまりサイトに名前を付けるということです。独自ドメインがなくてもサイトを公開することは可能です。しかし、独自ドメインがあることで、信用性や権威性を醸成できるメリットがあるため、自社メディアで集客することを考えると取得することをおすすめします。
なお、独自ドメインは、レンタルサーバーを提供している会社かドメイン取得を専門にしている会社のどちらかで取得します。
③サーバーにWordPressをダウンロード
どのレンタルサーバーを用いているかにもよりますが、XSERVERやLOLIPOP!といった有名サーバーであれば、画面の手順に沿えば簡単にWordPressをインストールすることができます。また、このタイミングでインストールするドメインや管理するメールアドレスなどの設定も行います。あらかじめ用意してきましょう。
④WordPressの初期設定
WordPressのインストールが完了したら、初期設定を行います。初期設定する項目は大きく以下の4つです。
❶プラグインのインストール
プラグインとはWordPressの拡張機能を意味します。必要なプラグインをインストールしましょう。多く利用されているプラグインには、スパムコメントの対策をする「Akismet」や記事のバックアップを行う「BackWPup」、目次を入れる「Table of Contents Plus」、そしてSEOに役立つ「All In One SEO Pack」、「Yoast SEO」などがあります。
❷WordPressのテーマを設定
WordPressのテーマとはページのデザインテーマのことです。テーマは購入するか、自作をアップロードするかのどちらかです。購入する場合は無料テーマ、有料テーマとありますので、運営するメディアのコンセプトに合ったデザインを選びましょう。モバイル対応と日本語対の二つは必ず押さえた方が良いです。
なお、Keywordmap ACADEMYでは述べてきた通り、自社で作成したデザインをテーマとして設定しています。
❸アイコン画像(ファビコン)の設定
アイコン画像を設定すると、自社でデザインした独自のアイコンがブラウザのタブやブックマークに表示されるようになります。いわゆる「ファビコン」と呼ばれるものです。ユーザーが自社メディアをイメージしやすくなる効果があるため、サイト立ち上げ時にはぜひ設定したいところです。
❹ウィジェットの設定
ページの左右どちらかに「よく読まれている記事」、「最近の投稿はこちら」などのサイドバー(カラム)や、記事アーカイブのリンクが貼ってあるフッターは、ウィジェットによって自由に編集することができます。こちらもサイト立ち上げ時には設定しておきましょう。ウィジェットにはWordPress管理画面のメニューバー「外観」からアクセスできます。
オウンドメディアの立ち上げ手順:コンテンツ制作編
さて、サイトの戦略が決まり、立ち上げまで完了しました。
続いてオウンドメディアに欠かせない、コンテンツの制作フェーズに入っていきます。
コンテンツ制作においても、すぐに記事執筆にとりかかるのでは無く、あらかじめ対策キーワードを決めて、記事の骨子となる構成案を準備しておく必要があります。記事の執筆はその骨子に従って書いていきます。そのため、この章では以下三つの工程について解説します。
- キーワードを決める
- 記事の構成案を作成する
- 記事を執筆する
ステップ1:対策キーワードを決める
コンテンツ制作を行う際は、まず対策キーワードを決めることから取り掛かりましょう。
キーワード選定は以下の手順で調査してください。
- 軸となるキーワードを決める:商品・サービス、あるいはそれに準ずるテーマのキーワードを選ぶ
- キーワードを拡張する:候補となる関連キーワードなどを大量に抽出
- キーワードをグルーピングする:関連するテーマごとにキーワードを分類
- キーワードの優先度をつける:検索ボリュームや対策難易度からキーワードを決定する
キーワード選定を始める前の準備や、選定のより詳細などを詳しく知りたい方は、以下記事で詳しく解説してますので併せて参考にしてみてください。
「キーワード選定の方法を解説!SEOで成果を出すための4ステップ」
1記事で複数のキーワードを同時に対策しようとすると、主要なテーマがブレるだけでなく、どのテーマに対しても関連性が低いコンテンツになってしまい、SEO評価の低下に繋がります。
そのため、原則として1記事=1キーワード(テーマ)を心がけましょう。
ステップ2:記事の構成案を作成する
コンテンツ制作を行う際は、いきなり記事を執筆せずに記事の設計書にあたる構成案を作成するようにしましょう。そのメリットは以下になります。
- 検索ニーズに回答しやすい
- 情報網羅性を担保しやすい
- テーマがブレない
SEOにとってもユーザーにとってもメリットしかないため、記事の構成案は必ず作成するようにしましょう。
基本的に、一つのページに一つの対策キーワードを設定し、設定したキーワードの検索意図を網羅できるような記事の骨子を作成していきます。
記事構成案の作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますので併せて参考にしてみてください。
「記事構成案の作り方!Webライティングで必須のプロット作成法を解説」
ステップ3:記事を執筆する
記事の構成案が完成したら、執筆にとりかかります。
執筆する際は結論ファーストで執筆することを心がけましょう。Googleは見出し直下の文章で、対象の見出しのテーマを理解する傾向にあるため、結論から述べることにより見出し、ひいては記事(ページ)全体に対するGoogleの理解度が高まります。
ページを訪問して知りたい情報がすぐに手に入らないような記事の場合、ユーザーはそのページを離脱して、別の競合ページを訪れると考えられます。これはユーザーの利便性的にもSEO的にも問題があるでしょう。
結論ファーストで、まず真っ先にコンテンツやトピックの概要をユーザーに伝えるようにして、興味を持ってもらうようにしましょう。
SEOに強い記事の作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますので併せて参考にしてみてください。
「SEOに強い記事の書き方を徹底解説!具体例でわかるSEOライティング」
オウンドメディアの運用方法
戦略から立ち上げに至るまでの流れを、Keywordmap ACADEMYという事例から見てきました。もちろん、Webサイトは公開した時点では、まだスタートラインに立ったにすぎません。本番は運用が始まってからです。
さて本章では、実際にKeywordmap ACADEMYがどのような方法で運用されているのか解説します。一つの例として参考にしてみてください。
運用体制
いうまでもないですが、Webサイトは定期的に更新しなければ、集客にしろブランディングにしろ認知度拡大にしろ、どんな目的も達成できません。そして定期的な更新のためには運用体制を明確に構築する必要があります。
運用全部を内製するのか、一部を外部に委託するのか、あるいはすべて外注なのか、最適な体制は自社のリソースと相談しながらメンバーの理解を得て決めるようにします。
Keywordmap ACADEMYの運用体制は、編集長1名のもと、営業メンバー約10名で執筆しています。コンテンツマーケティングをノウハウとして社内に溜めておきたかったのと、当初コンテンツを外注する予算がなかったことが理由です。しかし今となっては、この選択が明暗を分け、大きな成果を生み出しと実感しています。
運用体制と制作のフローは以下の通りです。
- 編集長がキーワードを選定
- 営業メンバーがキーワードをもとに記事コンテンツの構成案を作成・提出
- 編集長が構成案をフィードバック
- 営業メンバーが構成案を修正し原稿執筆
- 編集長が原稿をチェック、営業メンバーに修正依頼
- 営業メンバーによる原稿修正
- 編集長による承認、アップ作業
編集者は必要か?
コンテンツを作成するのに特殊な技能は必要ありません。最初は、右も左も分からない状態であっても、作り続けていけばおのずと慣れてくるもので、次第に成果も出ますし、作成にかかる時間も減っていきます。初心者であっても、とにかく継続的にコンテンツを発信していくことが大切です。
ただ、高クオリティを保ちながら、大量のコンテンツを定期的に発信していくのであれば、経験のある編集者を任命するのが得策だと思われます。編集者は専任でなくとも構いませんが、一定の工数をメディア運用に充てる必要はあるでしょう。Keywordmap ACADEMYも、編集者が他の業務と並行して編集作業を行っています。
コンテンツをチェックする担当者がいるか、いないかで、品質も成果も大きく変わってきます。もしもコンテンツ作成を内製化しようと考えているのであれば、編集者を置くことをおすすめいたします。
オウンドメディアを成功させるポイント
本章では、想定以上の成果を創出したKeywordmap ACADEMYの運用から培った、オウンドメディアを成功させるポイントについて紹介します。ポイントは以下の10点です。参考にしてみてください。
- コンテンツストック
- 工程管理
- 適切なキーワードを選定
- 記事の質をチェック
- 効果計測・リライト
- フェーズに合わせたテーマ・キーワードの選定
- メンバーのモチベーションを維持
- 継続して運用
- プロモーション
- 画像の質にこだわる
コンテンツストック
オウンドメディアを立ち上げる前に、可能であれば記事をストックしておくことをおすすめします。Webサイトにコンテンツが少ないと、検索エンジンに評価されるまでに時間がかかってしまいます。また、ローンチ後に一記事ずつコンテンツをアップしていくと、その都度クローリングを待たなければなりませんが、複数公開することで回遊性が高まり、それぞれを経由する形でクローリングされ、インデックスまでの時間が短くなる傾向にあります。
また、Webサイトを立ち上げてすぐにコンテンツを大量に公開できれば、それだけデータも早く集まります。立ち上げたサイトは評価されやすいのか否か、テーマとして適しているのか否か、といったデータを早く手に入れられるかどうかは、その後のメディア運用の成果に直結します。
なお、Keywordmap ACADEMYでは成果が出るまでに数ヵ月ほど要することを見越しつつ、40~50記事ほどのコンテンツを制作していました。(リリース時の公開は20~30)
工程・工数管理
管理シートを作ることで、記事コンテンツの担当者やキーワード、進捗状況、納期などを一元的に把握できるようにします。コンテンツを定期的に公開し続けることがオウンドメディアの成功を左右するため、記事構成案の段階からアップまでの一元的な管理が非常に重要になってきます。
Keywordmap ACADEMYでは、以下のような管理シートを作り、編集者だけでなくメンバーにも共有し、担当者がいつでも期日を確認できるようにしています。
適切なキーワードを選定
改めて言うまでもないですが、オウンドメディアの成功には正しいキーワード選定に依るところが非常に大きいです。検索ボリュームから需要のあるキーワードかどうか検討し、上位表示ページを確認、自社でも戦えるのかどうか可能性を精査、上位に食い込んだ際の想定流入数などを調べて、ようやく対策キーワードとなります。
キーワード選定には絶対に手を抜いてはなりません。許す限りの工数をかけて、オウンドメディアで取りに行くべきキーワードを選び抜くようにしてください。
キーワード選定については、以下の2記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
なお、Keywordmap ACADEMYでは、自社ツールの「Keywordmap」を使用してキーワード選定を行っています。
記事の質をチェック
オウンドメディアの成功とは、すなわち集客できるメディアであり、それには検索エンジンから評価される必要があります。現行の検索アルゴリズムが最も評価するのは、ユーザーニーズを満たした高品質なコンテンツであるため、記事の質にはこだわりましょう。
編集者が執筆者の構成案や原稿をチェックすることで質を担保します。Keywordmap ACADEMYでは、記事構成案の段階、および原稿の段階で二度のチェックを行っています。チェックする主な項目は以下。
- 検索クエリに対する回答が用意されているか
- 情報は正確か
- オリジナリティはあるか
- 専門的か
- 可読性は高いか
- 画像はわかりやすいか
- 誤字脱字はないか
また、Keywordmap ACADEMYでは、Keywordmapを使用してユーザーニーズを分析したり、共起語(キーワードと一緒に使われることが多い言葉)を把握することで、情報網羅性があるかどうかチェックしています。
効果計測
公開した記事は、効果を計測することが重要です。内容が十分でなかったり、掲載情報の更新が必要な場合には、リライトをするようにしましょう。
トラフィックにおける効果測定はGoogleの公式ツールで十分に事足ります。Keywordmap ACADEMYでもGoogleアナリティクス(GA)とGoogleサーチコンソール(GSC)を使用しています。GAでアクセス数やユーザー数、記事を訪れたユーザーの行動や訪問経路を確認し、GSCで検索順位や訪問者の検索キーワード、表示回数、クリック数などをチェックします。
SEOに関係する指標は検索エンジンとの接点を計測するGSCを用いて計測することが多いです。Keywordmap ACADEMYでは、公開したページと対策キーワードに対する、
- 検索順位
- クリック数
- コンバージョン数
を毎日計測し、以下のようなレポートを作成しています。
サイトのトラフィックを調べる方法については以下の記事で詳しく解説しています。
「アクセス数を調べる方法を解説!自社と他社サイトを調査する4つのツールを紹介」
リライト
日々効果測定を行っているのは、PDCAを回すためです。検索エンジン上でのクリック数が減少している場合、対策キーワードの検索順位をチェックし、順位まで下がっていたら、リライトに移ります。
新しくコンテンツを作り続けるより、既存コンテンツをリライトしたほうが、成果につながりやすいケースはよくあります。
なお、Keywordmap ACADEMYでは、Keywordmapのユーザーニーズ分析機能を使って、Googleに評価されるように情報が網羅されているかチェックし、抜け漏れがあればツール側で提示される定量データに基づいた新テーマを加えるといったリライトを行っています。
フェーズに合わせたテーマ・キーワードの選定
メディアの成長段階や目的などに合わせてテーマやキーワードを適宜、アップデートしていきます。
オウンドメディアでは、見込み顧客の情報(リード情報)の獲得をコンバージョン(CV)としている場合が多いですが、例えば、とにかく記事数を確保したい場合には、比較的書きやすい領域・テーマで、かつ非CV系(知識の提供やノウハウの紹介)の記事を増やしていくと良いでしょう。
一方で、可及的速やかに売上に結びつけたい場合には、自社領域かつCV系(商品の購入などアクションを促す)の記事を優先的に書いていきます。いずれにしても、キーワードはしっかりと選定していく必要があります。
Keywordmap ACADEMYでは、立ち上げ当初から数ヵ月は、なるべくセッション数を稼ぐために、比較的検索ボリュームの大きいテーマを優先的に対策していました。もちろんリードの獲得がメディアの目的でしたが、そのためにはまず訪問者を増やす必要があると考えたためです。
メンバーのモチベーションを維持
オウンドメディアを継続して運用していくためには、執筆者のモチベーションを維持する必要があります。
記事作成を外注している場合は別ですが、内製化していると、執筆が期日に間に合わないということが頻繁にあります。原因としては担当者が別の業務に忙殺されているケースと、そもそもモチベーションが湧かないというケースが考えられます。
Keywordmap ACADEMYでは、クオーター毎にPV数、CV数の観点からMVPを選出し、インセンティブを付与するという取り組みを行うことで、記事作成のモチベーションを高めています。同時に、営業メンバーによる記事作成が、ノウハウ・ナレッジの獲得、自社ツールへの理解、およびリード獲得による営業活動への寄与など、様々なメリットにつながることを伝える取り組みも日々行っています。
継続して運用
当記事で何度も述べていますが、オウンドメディアは継続して運用する必要があります。ターゲット領域やサイトの規模によって異なりますが、一定の効果が出始めるまでには数週間から半年ほどかかる傾向にあります。つまりその期間は、なるべく短いスパンで定期的にコンテンツを公開していかなければなりません。
この定期的な更新と長期間の継続が、オウンドメディアで最も難しく、最も重要なポイントだと言って良いでしょう。一方で、ここまでで当記事で紹介した様々なノウハウを駆使し、かつツールを用いるなどした工数削減を行えば、それほどハードルが高いわけではありませんので、まずは取り組んでみてはいかがでしょうか。
プロモーション
オウンドメディア運用において、記事を書いて公開するだけでは、十分に成果を出すことはできません。プレスリリースメディアに情報を掲載したり、SNSやメルマガでシェアするなど、プッシュ型のプロモーションが必要です。
Keywordmap ACADEMYでも上記の施策をどれも行い、また、見込みがありそうな露出媒体への掲載機会を常に狙っています。
画像にこだわる
記事で重要なのは文章だけではありません。内容を理解しやすくするための画像や、ユーザーの目を引くためのアイキャッチ画像も読者を増やすために重要です。とくにアイキャッチ画像は、ソーシャルメディアでシェアされる際にユーザーの目に触れる箇所です。シェア・拡散のきっかけにもなりますので、なるべく分かりやすく、かつきれいな画像を設定しましょう。
また、検索エンジンに正しく認識してもらうために、alt属性を設定するといった最低限のテクニックも必要です。
オウンドメディアにかかる費用
オウンドメディアを立ち上げる前には、立ち上げにかかる費用について詳しく調べておくようにしましょう。
サイト規模や目的によってかかる費用は変わります。
まずは、オウンドメディアを立ち上げる場合に、どのような費目があるのか予め把握しておくことが大切です。その後、目的に応じて想定される費用を出すようにしましょう。
以下、オウンドメディアを立ち上げる際の代表的な費目になります。
- サーバー
- ディレクション・戦略設計
- デザイン・コーディング費
- 運用費
- コンテンツ制作費
各制作会社ごとに強味などが変わってくるため、まずは目的を明確にし複数社から想定費用を聞いておくことをおすすめします。
費用相場としては、以下の表をご参照ください。
依頼内容 | 費用相場 |
---|---|
サイト設計のみ | 10万円~100万円 ※ただし、数十万以上のページを持つ ような大規模サイトの場合は、100万円以上も費用がかかることもある |
サイト制作のみ | 50万円~数百万円 ※費用は、ページ数や機能、 デザインにより大きく異なる |
両方依頼 | 80万円~数百万円 |
その他のSEO対策にかかる費用について、詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますので併せて参考にしてみてください。
「SEO対策にかかる費用はどれくらい?外注と内製の平均相場と業務内容について」
成功事例:Keywordmap Academyの成果
Keywordmap Academyを運用した12か月の成果をご紹介します。
オウンドメディアの運用を通じてどれくらいの成果が出るのか、その参考にしてみてください。「定量的な成果」と「定性的な成果」に分けて紹介します。
定量的な成果
- PV数:12ヵ月で月間約25万
- CV数:12ヵ月で月間CV数70倍
まずは、定量的な成果になります。下のアナリティクスデータからもわかる通り、PV数については2021年5月までに月間約25万PVを達成、CV(問い合わせ)数もPV数の増加に合わせて上昇し、立ち上げ当初の6月と比較して70倍の増加となっています。
PV数が伸長したことによる、単純な正の相関的なCV増加という側面もある一方で、ターゲットの求めるコンテンツを提供し続けた結果、集客につながりお問い合わせが増えた点は、立ち上げ当初の戦略通りです。
定性的な成果
- 執筆者(営業メンバー)のWebマーケティング知識の向上
- オウンドメディア運用ノウハウの蓄積
- コンテンツマーケティングへの理解
- 営業トークとしての活用
一方で、定性的な成果としては、執筆メンバーのマーケティングレベルが向上したがことが挙げられます。Keywordmap ACADEMYは、立ち上げから現段階に至るまで、ほぼすべて社内の営業メンバーが執筆してきました。記事の執筆を通じて、普段の業務で自分が扱っている商材やWebマーケティング全般についての知識が深まったり、コンテンツマーケティングのノウハウを実践する機会として機能しています。
また、提供するプロダクト「Keywordmap」を活用していることもあってか、営業活動をバックアップする強力な武器として役立っている点も非常に大きな点でしょう。
オウンドメディアを運用したメリット
メリットについても改めて整理していきます。たとえば、Keywordmap ACADEMYを運用する中で以下の4点のメリットがありました。(一般的なメリットは、最下部で言及)
- リード数増加
- コスト削減
- ブランディング
- 自社商材(領域)の理解促進+α(提案力の強化)
リード数増加
Keywordmap ACADEMYを運用する以前はリード獲得の手段として、SNS広告やリスティング広告といったペイド集客と、指名検索を主とするオーガニック検索の2つでしたが、Keywordmap ACADEMYの立ち上げにより、そこに様々なキーワードによるオーガニック検索が加わり、リード獲得の幅が広がりました。
コスト削減
オーガニック検索からリード獲得が可能になったことで、ペイド集客に依存した状態を脱することができました。当然ながら、その結果、広告出稿などによる既存のペイド集客の費用を抑えることが可能になり、新たな広告に費用を投下できるようになりました。
ブランディング
Webマーケティング領域における検索結果で上位表示されることで、自社名や自社プロダクトのブランディングが可能になりました。上位表示の恩恵は、必ずしもトラフィック数やリード獲得数の増加だけではなく、その領域の専門家に対する信頼感や認知、ブランディングにもつながります。
定性的であるため成果が目に見えづらいですが、たとえばTwitterにおけるシェアは、オウンドメディア運用における認知拡大やブランディングに対する一定の成果だと捉えられます。
自社商材の理解促進+α(提案力の強化)
Keywordmap ACADEMYは社員(営業メンバー)が自社サービス領域であるWebマーケティング、および自社プロダクト(Keywordmap)に関連したキーワードで記事を執筆しています。そのため、自社のサービスの理解が深まり、提案力の強化にもつながっています。
オウンドメディアを立ち上げ後の注意点
実際にKeywormapACADEMYというメディアサイトを立ち上げ、運用した結果、良いことばかりではなく失敗もいくつかありました。そのような失敗を元に注意点を解説していきます。
リライトを怠らない
運用当初は右肩上がりで、トラフィックやコンバージョンが伸びたものの、リソースの問題から新記事の制作にしか取り組めなかった時期があります。
新記事制作のみでリライトを疎かにした状態が続くと、最初は上位表示できていたものの、競合サイトの台頭といった影響により、順位が落ちてしまう記事が出始めました。今まで流入を稼いでいた記事からの流入がどんどん減っていき、結果的に、サイト全体の流入数が停滞、あるいは微減し続けるという状態が長く続きました。
このような失敗から得られる教訓としては、順位を落とさないようウォッチできる体制を整え、新規コンテンツの制作だけでなく、過去記事のリライトを行えるような仕組み・体制の構築がとても重要だということです。
リライトの概念や方法など詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
「リライトとは?誰でもできるSEO効果を高める方法やコツを解説」
オウンドメディアのコンセプトとキーワードはぶらさない
上述している通り、Keywordmap ACADEMYのライティングは当初、営業メンバーが担当していました。メンバーに書きやすいテーマで執筆してもらおうと、対策キーワードは各メンバーが得意なBtoBの営業関連(例:「営業ロープレ」「クロージング」)に絞っていました。
しかしながら、本来Keywordmap ACADEMYはSEOやWebマーケティング領域を対象としたメディアです。したがって、SEOの効果を最大化させるためには、Webマーケティング関連のキーワードでサイトのテーマ性を高めることが最も効率的であり、今となっては「営業ロープレ」「クロージング」といったキーワードで制作した記事は、ほとんど不必要になっています。
書きやすいということにフォーカスして、サイトの軸からキーワードがブレてしまったことにより当時のリソースを無駄にしてしまいました。いまとなっては、当時からWebマーケティング領域のキーワードで対策すべきだったと感じています。記事すべてを資産にするためにも、サイトのコンセプトとキーワードの設計は非常に重要です。
まとめ
Keywordmap ACADEMYの例をもとにオウンドメディアの立ち上げ方や運用ノウハウを解説してきました。
オウンドメディアを運用することはコンテンツマーケティングの促進以外にも、非常に多くのメリットがあることはおわかりいただけたと思います。一方で、貴重なメリットが数多くありながらも、リソースや工数、ノウハウの観点から推進をためたってしまうの尤もでしょう。
語弊を恐れずに述べれば、オウンドメディアの立ち上げと運用は、リソース不足であっても、しかるべき戦略と体制(ツールなども含む)、そしてモチベーションさえあれば可能です。
そして、これからオウンドメディア運用を推進していきたいという方に対して、そのための基本的なガイドライン、および手順はここで述べた通りです。本記事を通じてオウンドメディアの立ち上げ方について理解を深めていただけたら幸いです。
詳しくはこちら
Keywordmapのカスタマーレビュー
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