SNSマーケティングとは?施策と運用手順、成果を出すポイントや成功事例を紹介
さて、SNSマーケティングは、そのメリットやポイント、注意点を押さえた上での運用を行うことができれば、失敗リスクを大幅に下げることができます。
当記事では、SNSマーケティングを始めてみたいなど興味がある方に向けて、SNSマーケティングの概要やメリット・デメリット、そして成功させるためのポイントなどについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、Facebook、Twitter、Instagram、TikTok、LINE、YouTubeといったSNS(ソーシャルメディア)を活用して、製品、サービスが売れるような仕組みを作ったり、SNS上でのやり取りを通じた顧客とのコミュニケーションをとることを指します。
企業によるSNSマーケティング運用は2010年代初頭から活発化してきましたが、今後ますます重要になると予想されています。
続いて、なぜSNSマーケティングが重要なのか、SNSマーケティングの中にどんな手法があるのかについて詳しくみていきましょう。
SNSマーケティングの重要性
重要性が増してきているSNSマーケティングについて、その理由を以下の4つの観点から説明します。
- SNSをマーケティングチャネルとして活用する企業が増えているため
- SNSで情報を検索するユーザーが増加しているため
- SNSでの購買活動が活発になっているため
- 幅広い年齢層の人々がSNSを利用しているため
SNSが流行っていることは感覚的に理解していても、どうして必要かと聞かれると答えに詰まる人もいるかもしれません。根拠となるデータとともに紹介しますので、SNSマーケティングをおこなう目的を整理するためにも確認しておきましょう。
SNSをマーケティングチャネルとして活用する企業が増えているため
近年、SNSはもはや個人的なコミュニケーションだけのためのものではなく、企業のマーケティングチャネルとしても広く活用されています。ターゲットユーザーに対して、SNS上の投稿、および広告機能を使って効果的に情報を届けたり、ユーザーとのやり取りの中でフィードバックを得てサービスやブランドイメージの改善に活かしたりできるためです。
実際のところ、総務省による「通信利用動向調査(平成30年)」の結果では、SNSを活用する企業がたった一年で平均7.8%も増加したことが報告されています。業界によっては15%近くも延びています。
競合と比較して機会損失を生じさせないという観点からも、SNSマーケティングは重要だと考えられます。
SNSで情報を検索するユーザーが増加しているため
SNSの活用について、ユーザー側にも変化が見られます。これまでGoogleやYahoo!といった検索エンジンを用いて情報を探していたのが、近年では、SNS内での検索機能を用いて情報検索をおこなうユーザーが増えてきました。購入に迷った際に同じユーザー同士の生の意見を参考にしたり、リアルタイムで情報が得やすいことなどが理由の一つです。
野村総合研究所が毎年12月におこなっている「生活者年末ネット調査」でも、特に10〜30代の若者世代においては、検索エンジンからSNSへと検索ツールが移行していることが読み取れます。
SNSでの購買活動が活発になっているため
SNSユーザーの行動は、単に情報を得て終わりではありません。たとえば気に入ったアパレルブランドを投稿の中に見つけたとすれば、概要欄などに貼られたリンクから購入ページに遷移したり、口コミやレビューを検索して購買するかを決めたりするのは自然な流れでしょう。
つまり、SNSを通じて情報を検索するようになった分だけ、SNSを通じた購買活動も活発になっていると考えることができます。
マーケティングに関する支援をおもに手がける「アライドアーキテクツ」の調べによると、「SNSをきっかけに、初めて利用するECサイトで商品を購入したことがあるか」という質問に対して、Instagram、Twitter、LINE、Facebook、YouTubeいずれのSNSでも半数以上が「ある」と回答しています。製品を購入するかの決断において、SNSでの発信内容や働きかけが決定的な要素となってきていることがわかります。
幅広い年齢層の人々がSNSを利用しているため
SNSが登場した当初はおもに若者世代がメインユーザーでしたが、近年では幅広い年齢層の人々がSNSを利用しています。
総務省の「通信利用動向調查(令和元年)」によると、全世代では69%が、もっとも利用率の高い世代では87.1%(20〜29歳)が、もっとも低い世代でも40.7%(70〜79歳)が、SNSを利用していることがわかります。利用率はすべての世代で増加しており、特に50歳以上の中高年層において大きく延びています。
SNSマーケティングの施策一覧
SNSマーケティングの概要と、重要性がわかったところで、具体的にどのような施策があるのかを確認していきましょう。「SNSを利用する」ことは文字どおりですが、具体的に5つの施策に大別できます。
手法 | コンテンツのおもな形態 |
---|---|
SNSアカウント運用 | 自社アカウントからの投稿 |
SNS広告 | 広告 |
SNSキャンペーン | 自社アカウントからの投稿/広告 |
インフルエンサーマーケティング | ユーザーによる投稿(自社の投稿を拡散してもらう手法も) |
ソーシャルリスニング | ユーザーによる投稿 |
SNSアカウントの運用
自社の公式アカウントを作成し運用する方法です。自社のプロダクトやサービスについてのリリース情報や、自社に関するニュースやイベント、ときには従業員の日常の様子などを投稿して自社をアピールすることができます。投稿するコンテンツの種類は異なる一方で、共通して重要なのは有益さ、興味深さ、共感できるか、といった点です。
また、ユーザーと直接コミュニケーションをおこなうことができるため、自社のブランドやプロダクトの開発・改善に役立つ意見や要望を収集することも公式アカウント運用のメリットです。
費用をかけずに始められる手軽さの一方、公式アカウントの投稿は「企業全体の意見」としてみなされます。不注意な投稿が炎上につながるリスクもあるため、投稿する内容のコンセプトや運用ルール・運用体制をしっかりと定めておくことが大切です。
SNS運用の参考記事
「成果につながる企業のSNS運用とは?運用体制・ルールと成功事例から戦略を学ぶ」
SNS広告の配信
SNSの多くには、そのSNS内で広告を届けられる配信機能が備わっています。タイムライン上のほかの投稿を邪魔せず自然に溶け込ませるUI設計や、これまでの投稿やリアクションをした行動履歴からユーザーの興味を推測し、届けたい層にだけ集中的に広告を配信できるターゲティング機能などがあり、SNS広告をうまく活用できれば効率的にマーケティングをおこなうことができます。
SNS広告に関連する記事
SNSキャンペーンの実施
SNSキャンペーンとは、ユーザー参加型の企画を行うプロモーションの一環です。ハッシュタグを使用した「ハッシュタグキャンペーン」や、アカウントをフォローしたりリツイートしたりすることでプレゼントなど特典がもらえる「フォロー&リツイートキャンペーン」といったものが代表的です。
SNSキャンペーンに関連する記事
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、特定の分野での人気や影響力のある「インフルエンサー」と呼ばれるユーザーを起用したマーケティング手法です。インフルエンサーに自社のプロダクトやサービスについて投稿・拡散を依頼することで、インフルエンサーの強い影響力を借りて自社をアピールすることができます。
インフルエンサーを信用しているユーザーに向けて自社の情報を届けられるため効果的ですが、広告であることを隠して宣伝すると、「ステルスマーケティング(ステマ)」として企業の信用を失ってしまうリスクがある点に注意が必要です。
インフルエンサーの参考記事
「インフルエンサーの意味や種類を解説!本当のインフルエンサーはファン?」
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNS上でユーザーが作成したコンテンツを収集し分析することです。自社やサービスに対するユーザーの声を見ることで、以下のような項目について分析し、戦略立案のヒントとすることができます。
- ブランドや製品に対するユーザーからの評判
- 消費者のニーズ
- 競合他社や業界全体の動向
アンケートなどよりも「形式にとらわれず自由に意見を投稿できる」SNSの方が、ユーザーの意見をより実態に即した形で取得できるというメリットがあります。
ソーシャルリスニングの参考記事
「ソーシャルリスニングとは?効果的な方法と役立つツールや事例を解説」
SNSマーケティングの手順
それでは、実際にSNSマーケティングの基本的な手順を見ていきましょう。
目的や戦略、体制構築を疎かにして無計画にSNSマーケティングを始めると、運用の手間ばかりかかって成果が出ない、工数やリソースを確保できない、炎上のリスクがある、といった問題にぶつかりやすくなります。
手順とポイントを押さえながらSNSマーケティングを始める準備を進めていきましょう。
SNSマーケティングを行う目的を明確にする
まずは目的を明確にすることが大切です。これからSNSマーケティングを始めようとする目的は、「自社のブランドを認知してもらうこと」でしょうか。あるいは「集客して製品を購入してもらうこと」「ユーザーとのコミュニケーションを通じて市場調査をすること」という目的かもしれません。
いずれにしても、目的によって運用方針や優先すべき施策が決まります。「ほかの企業も始めているからなんとなく・・・」ではなく、はじめにしっかりと整理しておきましょう。主な目的は以下になります。
- ブランドの認知度アップ
- 商品やサービスのプロモーション
- 特定のイベントやキャンペーンへの集客
- 採用活動
- 市場調査
ターゲットユーザーを明確にする
次に、ターゲットユーザー(ペルソナ)を定めます。ターゲットを明確にすることで、より効率的にマーケティングをおこないコストを抑えることができます。
ターゲットユーザーを明確にするためには、次のようなポイントを押さえておくことが重要です。
- ユーザーの属性(年齢、性別、職業、地域など)を把握する
- ユーザーのニーズや関心のある領域を把握する
- ユーザーの行動パターン(SNSの使用頻度や時間帯、デバイス、閲覧するコンテンツなど)を把握する
上記を探る上で、次の方法も役立ちます。
- ユーザーのブログを見る
- ニュースサイトやSNSでのトレンドを見る
- ユーザーへアンケートやインタビューを行う
- セグメンテーション分析を行う
ターゲットユーザーに関連する記事
「ペルソナの作り方を解説!ターゲットを絞ったマーケティングを行うために」
活用するSNS・手法を決める
目的とターゲットユーザーが決まれば、どのSNSをどのような手法で運用するか絞ることができるようになります。
目的ごとに手法とSNSを分類した、下記の表を参考にしてみてください。
目的 | 代表的な手法 | 特に適しているSNS |
---|---|---|
ブランドの認知度アップ | SNSアカウント運用SNS広告インフルエンサーマーケティング | Twitter、Instagram、YouTube、TikTok |
商品やサービスのプロモーション | SNSアカウントの運用SNS広告の配信SNSキャンペーンの実施インフルエンサーマーケティング | Twitter、Instagram、 Facebook、LINE、YouTube、TikTok |
特定のイベントやキャンペーンへの集客 | SNSアカウントの運用SNS広告の配信SNSキャンペーンの実施インフルエンサーマーケティング | Twitter、YouTube |
採用活動 | SNSアカウントの運用SNS広告の配信 | Linkedin、Twitter、Facebook |
市場調査 | SNSアカウント運用(情報発信、コメント返信)ソーシャルリスニング | SNS全般 |
各SNSの運用のイメージについて知りたい方は、のちほど紹介する成功事例も参考にしてみてください。
KGI、KPIを設定する
KGI(Key Goal Indicator)とは、マーケティング戦略におけるゴールを達成したかを測る指標です。「ブランド認知度アップ」「自社サイトへの流入数」「キャンペーンへの参加者数」「SNSのフォロワー数」などがKGIにあたります。
一方KPI(Key Performance Indicator)は、KGI達成に向けた結果を測るための指標です。KGIが「自社ブランドの認知度を5%上げる」とするならば、KPIには「SNSでのフォロワー数」や「投稿へのエンゲージメント率」などが設定されるでしょう。
KGIやKPIを定めておくことで、SNSマーケティングの戦略がブレて「なんとなくの運用」となることを防ぐことができます。
KGI、KPIの参考記事
「KPIとは?設定例やポイント、意識すべきことをわかりやすく解説」
運用体制を決める
見落とされがちですが、運用体制・運用ルールを事前に確認しておくことも非常に大切です。
そもそもSNSマーケティングを行うリソースが確保できているかどうか確認しましょう。社内で確保できない場合は、SNS運用の一部や全部を外注します。社内でSNSマーケティングを行う場合は、専任の担当者やチームを決めておきましょう。担当者を決めておくことで、投稿頻度を高く保ちやすい、投稿内容に一貫性を保ちやすいといったメリットもあります。
またSNSマーケティングをおこなう上で、特に無視できないのが炎上リスクです。企業の信用を落とすかもしれない投稿は避け、万が一炎上につながりそうな場合にも迅速に対応できるように、マニュアルを整備しておくことを推奨します。
運用・投稿を行う
体制が整ったら、実際に運用を行います。SNSアカウントや広告を一定期間運用したらデータがたまります。データを分析しながら上記で設定したKPIを順調に満たせているかを確認しましょう。
SNSマーケティングの「肝」は、「期待した反応をユーザーから得られているか」です。ユーザーを観察しPDCAサイクルを回す中で、よりユーザーにマッチした方向性に軌道修正していけるかがポイントです。
また、定例ミーティングを設定し、SNSアカウント運用を定量的・定性的に振り返られる機会を用意しておくことを推奨します。
SNSマーケティングを成功させるポイント
限られたリソースの中でマーケティング戦略を達成するためには、押さえておくべきいくつかのポイントがあります。ここからは、SNSマーケティングに成功させるためのポイントを紹介します。
目的に合わせたSNS・手法を選ぶ
SNSマーケティングを行う目的や商品・サービスによって、運用すべきSNSは変わりますが、一方で各SNSの特徴を把握していなければ適切な選択は不可能です。SNSそれぞれユーザー層や特徴をざっくり確認しましょう。
SNS | メインユーザー層 | 特徴 |
---|---|---|
30〜50代 | 実名登録必須。そのため友人同士での利用がメイン | |
20〜40代 | フィード、ストーリーズ、リール、インスタライブなど投稿形態が幅広い | |
20〜40代 | 短いテキストメイン。拡散力が高い | |
LINE | 全世代 | 知人間でのメッセージや通話の利用がメイン |
YouTube | 20〜50代 | 動画共有がメイン。近年ショート動画や公開期限付きの「ストーリー」など新機能も |
TikTok | 10〜20代 | 1分以内のショート動画を共有 |
各SNSのより詳細な特徴や、ここで紹介した以外のSNSの種類についてはさらに詳しく以下の記事で解説しています。あわせて参考にしてみてください。
「SNS、24種類の特徴を解説~ソーシャルメディアマーケティングを始める前に~」
「SMART」を意識した目標設定を行う
「SMART」とは、以下の5つの頭文字を並べた目標設定のフレームワークです。
- Specific(具体的である)
- Measurable(計測可能である)
- Achievable(達成可能である)
- Relevant(事業の戦略などと関連性がある)
- Time-bound(達成期限が設定されている)
目標設定時に「SMART」をチェック項目とすることで、目標を効果的に設定・管理することができます。
SMARTについては以下の記事でも解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
「KPIとは?設定例やポイント、意識すべきことをわかりやすく解説」
競合他社アカウントを分析する
競合他社もSNSを運用しているなら、そのアカウントを分析することで多くのヒントを得ることができます。目的、ターゲット層(フォロワーの属性)、特に注力している施策、投稿内容の傾向が分かれば、類似のコンテンツを増やしたり、競合が強い領域を避けて弱い領域にリソースを集中的に投入することもできます。
何を分析するかは下記を参考にしてください。
- 投稿内容
- フォロワー数やいいね数がどこに集まっているか
- フォロワーの属性(興味・関心)
- ユーザーからのコメントや質問、リプライでのやり取り
- キャンペーン
競合他社アカウントを分析する際に活用できる、SNS分析ツールについて、詳しく知りたい方は以下記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
SNS分析ツールのおすすめ22選!特徴や分析内容の比較や選び方を解説【無料版あり】
PDCAを回しながら運用する
入念な戦略立案はもちろん大切ですが、実際には、はじめに思い描いた戦略がうまくいきつづけることは稀です。
コンテンツを投稿し、ユーザーからの反応を分析してわかる仮説をもとに改善をしていく、つまりPDCAを回しながら運用することがSNSマーケティング成功の秘訣です。
継続的な運用を心がける
SNSを利用しているのは言うまでもなく「人間」です。現実の人間関係もそうであるように、長期的に信頼を積み上げていく姿勢を心がけましょう。
1度の施策で成果を達成するのではなく、「どうしたらユーザーに信頼してもらえるか。興味・関心を抱いてもらえるか」を継続的な運用の中で探っていくことがSNSマーケティングの重要なポイントです。
運用マニュアルを作成する
SNSマーケティングを行う上で、ぜひ準備したいのが運用マニュアルの整備です。
「前任者しかSNSのことが分からず引き継げない」というのはよくある問題です。運用マニュアルを作成することで、誰が担当者になっても同様の成果を出しやすくなります。また炎上を防ぐための投稿フローや、炎上が起きてしまった際の対応フローなどを準備しておくことで、企業が被るリスクを最小限に抑えることができます。
SNSマーケティングのメリット
SNSには「無料からでも始められる」「リアルタイムで情報発信ができる」などといった特徴があります。そのSNSを企業がマーケティングチャネルとして活用することのメリットをあらためて整理しておきましょう。
認知を拡大させられる
SNSの大きな特徴の一つは、膨大なユーザー数が担保された上での「拡散力」です。SNSマーケティングを行うことで、製品やブランド、特別セール、キャンペーン、新製品の発売などをより多くのユーザーに伝えたり、ブランドについての口コミをユーザーに広めてもらったりすることができます。
ブランディングが可能
SNSアカウントが人気になれば、ブランディングにも役立ちます。
- 認知度
- 信頼度
- ユーザーからの共感
ユーザーにとっての有益情報や自社ブランドのアイデンティティについて、直接情報を届けることができるSNSは、これらを獲得する上で非常に強力なチャネルとなります。
顧客との関係構築が可能
テレビCMなどマス向けの広告媒体などと違って、ユーザーと双方向のコミュニケーションができる点がSNSの特徴です。積極的かつ定期的なコミュニケーションを通じて顧客との信頼関係を築くことができれば、通常のユーザーを超えた「ロイヤルカスタマー」(企業やブランドを強く愛用しているファン)を獲得することができます。
ロイヤルカスタマー自身が、好意的な口コミと共に情報発信・拡散を手伝ってくれるようになれば、自社だけでは手に入れられなかった強力な「拡散力」を得ることができます。広告費用がかからないにもかかわらず、既存顧客が新規顧客を呼び込んでくるという状態は、どの企業にとっても理想的な好循環と言えるでしょう。
費用を安くおさえることができる
SNSマーケティングは、比較的、対費用効果が高いことも魅力の一つです。その理由は主に4つあります。
- SNSの利用率が高いため
- SNSの機能を利用して広告を自作できる点
- ユーザーからのフィードバックを得てすぐに改善に役立てられるため
- ファンとなったユーザー自身が情報発信・拡散を手伝ってくれることがあるため
これらのポイントを理解した上で、重要な工程にリソースを集中的に投入できれば、広告費を安く抑えることができます。
リアルタイムで情報を届けられる
タイムリーな情報発信ができることは、情報を得るユーザーだけでなく、SNSを運営する側にとっても大きなメリットです。
情報を早く届けられるということは、ユーザーからの反応を早く得られることを意味します。リアルタイムで得られた反応を元に次のアクションを打つことができれば、「ユーザーが今この瞬間求めている情報」を届けやすくなり、運用パフォーマンスをより高めることが可能です。
自社サイトへのアクセスが増える
SNSでの投稿やプロフィールから自社サイトへリンクをつなげば、自社サイトへのアクセスを増やすことができるでしょう。
さらに、SNSで人気を集めることが自社サイトのSEOに役立つこともあります。たとえばTwitter上で「不動産」の分野について情報発信をつづけて権威性を獲得できたとすれば、発信しているブランドや人物を「不動産分野において信頼できる情報源だ」と検索エンジンからみなされやすくなります。その結果、検索順位アップ、アクセス数の増加につながる可能性があります。
市場・顧客のニーズを把握できる
SNSは情報発信ツールでもあり、情報の調査ツールでもあります。自社の長所は何か。ターゲット市場のニーズにもっと応えられるような製品やサービスはないのか。分析を通じて、さまざまなヒントが得られるでしょう。
なお、「自社や他社のアカウントを見る」「ユーザーからの質問やコメントを見る」といったことのほかに、「オンラインイベントを開催する」「SNS上でアンケートをとる」といった方法で直接的に顧客の声を聞くこともできます。
効果検証がしやすい
投稿やキャンペーンの効果検証ができれば、次回の施策に活かしてパフォーマンスを上げることができます。SNSには、パフォーマンスを測定できる機能や外部ツールが多くあり、効果検証がしやすいこともメリットの一つです。
- インプレッション数(何人があなたの投稿を見たか)
- いいね数
- シェア数
- フォロワー数
- クリック数
- コンバージョン数
などを確認することができます。効果検証と改善を続けることが、SNS運用の目的達成への近道になります。
参考記事
「Twitterのアクセス解析方法とは?KPI設定やTwitterアナリティクスを使ったやり方を解説」
SNSでマーケティングのデメリット
メリットとは反対に、SNSマーケティングにはデメリットもあります。中には企業の信用を落としてしまうようなリスクもあるので、トラブルを回避できるようにあらかじめ注意点を確認しておきましょう。
アカウントの運用に負担がかかる
SNSアカウントは手軽に開設できる一方、運用するには多くの負担があります。特に工数がかかるのは、次のようなステップです。
- コンテンツの準備や更新
- ユーザーからのメッセージやコメントへの対応
- 分析と改善
「手の空いている人が片手間でやる」のではなく、しっかりと時間を割くことができる運用担当者を決めておくことをおすすめします。
炎上のリスクがある
SNSの特徴として「大きな拡散力」があることはすでに述べましたが、これは自社にとって良い情報だけでなく、ネガティブな情報についても同様です。
中傷表現や差別表現、暴力的な表現として受け取られかねない投稿をしてしまったことで、ブランドとしてのイメージを損ねたり、経営的なリスクを抱えてしまった企業の炎上事例をニュースなどでも見たことがあるでしょう。
炎上を回避するためにどのような投稿をしないべきかということや投稿前のチェック体制、炎上につながりそうなときの対応などの運用ルールを決めておきましょう。
SNSの炎上に関する参考記事
「企業のSNS炎上について事例や対処方法と防止策まで解説」
否定的なコメントが寄せられるケースがある
ユーザーからのフィードバックが好意的なものばかりとは限りません。不満や批判も、多くのユーザーの目に見える形で投稿されます。
否定的なコメントは当然喜ばしいものではありませんが、それを投稿したユーザーがどうして否定的なイメージを持っているのかを分析すれば、商品やサービスの欠点を発見し、改善につなげることができるかもしれません。
また、否定的なコメントへの対応姿勢は多くのユーザーに見られています。誠意ある対応をすることで企業のブランドイメージを高められるチャンスであるとも言えます。
セキュリティ対策が必要
セキュリティ対策も必要です。セキュリティ対策の必要性を感じさせる事件として印象深いのは、2020年に発生したTwitterのハッキング事件でしょう。オバマ前大統領、バイデン現大統領、イーロン・マスクといった著名人や、Uber、Appleなど有名企業のアカウントがハッキングされ、暗号通貨アカウントへの寄付を求めるメッセージが投稿されました。
セキュリティの脅威は、企業の存続にかかわるような致命的なダメージを与えかねません。100%安全な方法というものはありませんが、パスワードの厳重管理はもちろん、アカウントを使用できるメンバーを制限するなどして、可能なかぎりリスクを減らしていくことが運営者としての責任です。
SNSマーケティングの成功事例
最後に、SNSマーケティングに成功している企業の事例を見ていきましょう。どのような媒体・手法を用いてどのような成果を得られているかを知ることで自社の運用にも生かすことができます。「自社で真似して取り入れるとしたらこの方法がいいかな」とイメージしながら参考にしてみてください。
しあわせの赤い帽子(Twitter)
【概要】
- 運用の目的:ブランド認知度の向上、顧客とのコミュニケーション
- 使用したSNS:Twitter
- 手法・施策:「フォロー&リツイート」によるプレゼントキャンペーン
- おもな成果:運用開始から1ヵ月で50,000フォロワー獲得
洋菓子の老舗メーカー「しあわせの赤い帽子」で知られる株式会社ちぼりホールディングスは、お菓子業界におけるブランド認知度拡大のために、SNSの中でも特に拡散性の強いTwitterを活用しています。
KeywordmapSNSカスタマーサポートと連携しながら、プロフィールの最適化やプレゼントキャンペーンなどを戦略的に行い、Twitter運用開始から1年で9,000、1年で約50,000フォロワーを獲得することに成功しています。
参考記事
「Twitter運用開始1か月で9,000フォロワー獲得!老舗お菓子メーカーの新たな挑戦」
SHIROHATO(LINE)
【概要】
- 運用の目的:新たな販促ツールの導入
- 使用したSNS:LINE(公式アカウント)
- 手法・施策:友だち追加をするメリットの訴求。オーディエンスをセグメントごとに分けて内容とタイミングを最適化
- おもな成果:従来使っていたメルマガと比べて開封率3.7倍、クリック率5.1倍。
インナーウエア商品の販売を手掛ける株式会社白鳩は、これまで使用していたメルマガの開封率が低下してきていることを受けて、新たな販促ツールとしてLINE公式アカウントを導入しました。
LINEを通じたクーポンを配布するなどして、同社アカウントのメリットをユーザーに訴求。さらに、セグメント配信機能を活用し、ユーザーの行動履歴などにもとづいた配信の最適化もおこないました。結果として、メルマガと比べ、開封率3.7倍、クリック率5.1倍という成果を記録し、若年層の顧客を新たに獲得することにも成功しています。
クラシル(Instagram)
【概要】
- 運用の目的:オウンドメディア以外でのユーザーとの接点の創出、アプリの新規ダウンロードなど
- 使用したSNS:Instagram
- 手法・施策:ストーリーズ投稿、ダイナミック広告、ハッシュタグを活用したユーザー参加型の投票企画
- おもな成果:ダイナミック広告導入で、CPI(1インストールあたりの広告コスト)3割削減、アプリダウンロード1.5倍を達成
料理レシピ動画を発信する「クラシル」(運営:dely株式会社)は、自社アプリを運営する以前の2016年からInstagramを運用。どのようなコンテンツがユーザーにとって有益かを考えて、「白菜レシピ3選」などとレシピをテーマ別にまとめたり、それぞれのユーザーに合った内容を配信できるように「ダイナミック広告」を活用したりするなどして、ユーザーに喜ばれるアカウントを運営してきました。
結果、ダイナミック広告導入により、CPI(1インストールあたりの広告コスト)の3割を削減、アプリダウンロード数を1.5倍に伸ばすなどの成果を出しています。
タカラトミー(Youtube)
【概要】
- 運用の目的:商品の認知拡大、売上増加
- 使用したSNS:YouTube
- 手法・施策:動画コンテンツから自社サイトへの誘導。
- おもな成果:2023年3月時点でチャンネル登録者数147万人達成。5,000万回以上再生された動画を持つ
プラレールやリカちゃん人形など子ども向け玩具メーカーとして知られるタカラトミーは、新商品やその遊び方について、YouTube上で紹介動画を投稿しています。ターゲットである子どもの遊び心をくすぐるようなコンテンツを制作。2022年12月時点でチャンネル登録者数146万人、また、5,000万回以上も再生された動画を持つなど人気を集めています。
動画概要欄からは自社サイトへのリンクをつなぎ、強力な集客チャネルとしています。
グリコ(Tiktok)
【概要】
- 運用の目的:「ポッキー&プリッツの日」の盛り上げ。ブランド認知度とエンゲージメントの向上。
- 使用したSNS:TikTok
- 手法・施策:「#ポッキー何本分体操」というユーザー参加型ハッシュタグチャレンジ企画の実施
- おもな成果:わずか5日で、動画閲覧数2,730万回を記録。チャレンジに参加したユーザーによる動画は2万3,600本以上投稿された。
ポッキーやプリッツなどのお菓子で知られる江崎グリコ株式会社は、製品の形になぞらえて定めた「ポッキー&プリッツの日」を盛り上げる方法として、TikTokを活用したキャンペーンを実施しました。
「#ポッキー何本分体操」というハッシュタグチャレンジを「あなたのHappy何本分?」というオリジナル楽曲にのせて拡散。インフルエンサーなども巻き込み、わずか5日で、動画閲覧数2,730万回、ユーザーによる投稿数2万3,600本以上という圧倒的な反応を得ました。キャンペーンを通じて製品に対する認知度や親しみを獲得できた成功事例です。
Relux(Facebook)
【概要】
- 運用の目的:売上増加、ブランディング
- 使用したSNS:Facebook
- 手法・施策:アカウント運用、Facebook広告
- おもな成果:2022年12月時点、フォロー数112万人以上、いいね数114万以上
高級ホテルや旅館を取り扱う会員制宿泊予約サイト「Relux」(運営:株式会社Loco Partners)は、Facebookを活用してSNSマーケティングを成功させた代表的な事例としてよく名前が上がります。投稿される旅館や景色を写した写真はどれもハイクオリティで、高級宿泊施設をあつかうブランドをFacebook上でも印象深く表現しています。他社に先駆けて早期から運用してきたFacebookアカウントは人気を集め、フォロー数は112万人以上、いいね数は114万以上に及びます(2023年3月時点)
まとめ
当記事では、SNSマーケティングの手法やメリット、具体的な始め方の手順やポイントなどについて解説してきました。
一口にSNSマーケティングといっても、以下の方法があることを確認しました。
【SNSマーケティングの手法】
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
SNSマーケティングを成功させるためには、目的の明確化が重要です。目的が定まることで、逆算的に、上記の手法がおのずと決まってきます。「なんとなく運用してみたけれど思うような結果が得られなかった・・・」とならないように、今回紹介した手順に沿って、初めにしっかりと目標を定めておくようにしましょう。
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