SEO戦略の立案方法とは?実践までの手順と押さえておくべき注意点を解説
SEO戦略を立案する際には、事業やビジネスの目標を明確にすることが欠かせません。その上で自社や競合他社のサイトの様々なデータを分析し、データに基づいたSEO戦略を練り上げることが成果創出のカギになります。
さらに、SEO戦略の有効性を測定するためにはKPIを設定しましょう。そしてKPIを達成するために具体的な手順に基づいてSEO戦略を実行していきます。SEO戦略で成果を出せば、商材の売上アップやブランド認知拡大にもつなげられるでしょう。
当記事では、これからSEOを進めていく担当者向けに、勘や経験に頼らず、データドリブンにSEO戦略を進めるための事前準備や、立案から実装までの6ステップ、SEO戦略の注意点、お役立ちツールについて解説します。
SEO戦略を立案する前に明確にするポイント
成果を出すためのSEO戦略の立案・実行には、明確にしておくべき前提があります。以下では、その前提となるポイントについて解説します。
なんとなくサイトを立ち上げてSEOを始めても、成果に対して工数がかかりすぎる、といった理由で十中八九頓挫することになるので、以下のポイントをチーム全体、あるいは部全体で共有し、SEOに注力する理由や成果に対する進捗などを明確にしておくことを推奨します。
事業の目標を基準にSEO戦略を立てる
事業やビジネスにおける目標を基準にしてSEO戦略を進めることが重要です。
なぜSEO対策を行う必要があるのかを明確にしていないと、戦略の方向性がズレて、どんな指標を追いかけるべきかわからなくなります。たとえば、セッション数とコンバージョン数では、最大化させるための戦術が大きく異なります。ビッグキーワード(セッション)を狙うのか、ロングテールキーワード(コンバージョン)を狙うのかでキーワード選定はもちろんのこと、コンテンツ制作の方法も変えなければなりません。
「オンライン経由の売上を◯倍に伸ばす」「20〜30代の若年層にブランドを認知させる」「○○といったら自社サービスという第一想起を最大化する」といった目標を据えておけば、そこからSEO戦略、ひいては成果までのKPIを明確な目標に沿って立てることができるでしょう。
※もちろん、サイトの規模やビジネスの状況によって適宜目標を修正することは間違いではありません。SEO対策で成果を出すために重要なのは「目標に向かってやり続けること」です。頓挫するくらいであれば、適切な目標に修正しましょう。
なお、目標の内容によっては、SEO対策ではなく、Web広告など別のアプローチが有効になるケースもあります。例えば、「新サービスを関東圏の40代男性に訴求したい」という場合は、ターゲティング可能なSNS広告が有効かもしれません。
自社・競合他社のデータに基づきSEO戦略を立てる
自社や競合他社のデータを分析することも重要です。具体的には以下のようなものを把握しておきます。
自社
- 商材(強み、弱み)
- SEOにかけられる人的リソース
- 予算
競合他社
- 商材(強み、弱み)
- SEO対策を行っているWebサイト
- 流入を獲得しているキーワード
- キーワードの順位
- コンテンツ
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勘や経験に頼って、SEO戦略を立てても成果につながる見込みは低いでしょう。検索結果で上位表示を目指すために、複数の競合サイトを分析して、どのSEOキーワードから攻めるべきか、どこまでコンテンツ制作に予算を割けるかなどを明確にする必要があります。
また、SEO対策は「やり続けること」が重要であるため、定期的にコンテンツを作成・公開し、Webサイトを更新・改善することが求められます。そのリソースを社内・社外問わず確保できるかについても、事前に擦り合わせておきましょう。
自社・競合他社の現状を細かく分析し、データドリブンに成果を出せるSEO戦略を練ることが大切です。
KPIを設定し戦略の有効性を測定する
SEO戦略を立案する際には、同時にKPI(重要業績評価指数)を設定することが重要です。KPIに沿って、運営チームは日々の業務を進めることになります。
KPIはSEO対策を行う目的から逆算して大筋を定めましょう。またそれに付随して、枝葉部分の細かいKPIも決めていきます。
SEO戦略でよく設定されるKPIの指標は、以下の通りです。
- PV(ページビュー)数
- 記事数
- UU(ユニークユーザー)数/SS(セッション)数
- オーガニック検索での流入数
- CV(コンバージョン)数
- 検索順位
KPIの設定については、後ほど詳しく解説します。
SEO戦略の立案から実践までの手順
SEO戦略の立案から実装までの手順を、6ステップで具体的に解説します。上述した三つの前提をふまえた上で、実際にSEO戦略を練っていきましょう。
Step1.目的と商材の特徴を明確化
まず、どんな目標を達成するためにSEO対策を行うのかを明確化しましょう。基本的には商材の売上や認知拡大、ブランディングなどがSEO対策の目的になるため、その商材の特徴を把握します。
商材の強み・弱みを理解しておくと、キーワード選定やコンテンツ制作の際に役立ちます。例えば、会計ソフトに「勤怠管理ソフトと紐づけて給与計算ができる」という強みがあった場合、勤怠管理や給与計算に関連するキーワードを狙えます。商材の特徴を理解しておくことで、コンバージョン率の高いキーワード選定やコンテンツ制作につなげられるでしょう。
また、同時にターゲット・ペルソナ設定を行うことも重要です。経営者と経理担当者では抱えている課題も異なります。経営者は「利益増を狙える会計ソフトがいい」と思う一方、経理担当者は「業務負担を減らしたい」と考える可能性もあるためです。そのため、ターゲット・ペルソナは、業種業態や企業規模、部署部門、役職、業務内容、年齢、性別まで細かく設定しましょう。
Step2.自社に合ったSEO施策の把握
SEO対策の対象となるサイトの運営形態は、主に「DB型サイト」と「記事型サイト」の2種類に分けることができます(他にもコーポレートサイト型やLP型などがありますが、ここでは割愛)。SEO戦略の目的や商材を踏まえて、どちらかに絞ることが重要です。
DB型サイトは、ECやポータルなどのサイトです。物販など多数の商品を取り扱うビジネスや、求職者募集の外部サイトを膨大に掲載したアグリゲーション型のようなビジネスに適しているでしょう。
例えば、以下のようなサイトが該当します。
出典:Rakuten
なお、ECサイトのSEO施策については、以下の記事で詳しく解説しています。
一方で記事型サイトは、ターゲット・ペルソナのニーズを満たしたり、課題を解決するためのSEO施策であるコンテンツSEOを中心としたサイトです。
例えば、この記事が掲載されている『KeywordmapACADEMY』も、記事型サイトに該当します。
会計ソフトを提供する場合、記事型サイトで「利益率アップ」「会計 効率化」といったターゲットの悩みに沿ったキーワードに対して有益なコンテンツを提供し、上位表示を目指します。目的がコンバージョンの最大化(売上増加)であれば、その記事からLPなど商材ページに誘導し、問い合わせや申し込みにつなげます。
なお、DB型、記事型に寄らず、SEO施策は大きく分けると、「コンテンツ」と「内部対策」と「外部対策」に分けられます。SEOで成果を出すためには、いずれにも注力する必要があるでしょう。
コンテンツ |
ユーザーニーズ(検索意図)を満たすような良質なコンテンツを作り、検索上位を狙う施策 内部対策 検索エンジンのクロールを促したり、UI・UXを改善したりして、上位表示されやすい土台をサイト全体で作る施策 外部対策 検索順位に良い影響を及ぼす被リンクやサイテーションを獲得する施策
Step3. KPIの設定
SEOの戦略を練る際には、必ずKPIの設定も行いましょう。
SEO施策を始めてから成果が出るまでにある程度の時間(最低3か月~5か月)を要します。これはサイトにコンテンツが蓄積されることで徐々に流入が増え、評価が高まる(上位表示される)からです。そのため、長中期的な計画を立てる必要がありますが、KPIを設定しないと進捗確認できず、「目標との乖離はどれくらいか」「目標達成のために、いま何をすべきか」「何を改善しなければならないのか」が分かりません。必ずKPIを設定しましょう。
たとえば、自社や自社商材の認知度を高めたいのであれば、Webサイトのアクセス数を最大化することを目標に、セッション数や対策キーワードの検索順位、検索結果上でのクリック数、表示回数、CTRなどをKPIに置きます。
認知拡大目的のKPIの例
- セッション数
- 記事(コンテンツ)数
- 対策キーワードの検索順位
- 流入を獲得しているキーワード数
- 検索結果のクリック数
- 被リンク数
売上増加目的のKPIの例
- セッション数
- コンバージョン数
- CVR
- フォーム通過率
なお、運用年数やコンテンツ数、規模などを考慮したサイトの段階によっても設定すべきKPIは異なります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:
Step4.キーワード戦略の立案
キーワードはSEOの根幹に位置しているため、SEO戦略を練る際からどのようなキーワードを獲得していくか見極めていきましょう。先ほど触れたように、自社や競合他社の商材・サイトを分析することで、効率的かつ効果的にキーワードを選定することができます。
具体的な方法としては、検索結果上で競合となるようなサイトをベンチマークし、そのサイトのキーワード戦略を参考にします。このような競合を見つける場合、ツールを使うか自社商材に強く関連する語句で検索することが有効です。商材がプロテインであれば、「プロテイン 飲み方」「プロテイン レシピ」といったプロテインそのものを含むキーワードや、「筋トレ 効果」「ダイエット 運動」といった副次関係にあるキーワードが挙げられるでしょう。このようなキーワードで検索した際に上位にランクインしているサイトは競合サイトである可能性が高いです。
競合サイトが流入を獲得しているキーワードを分析することで、自社サイトに流入させたいターゲット・ペルソナがどのようなキーワードに興味があるかが分かり、キーワード選定の参考になります。単純に競合サイトが対策しているキーワードをそのまま自社の対策キーワードにするのも良いでしょう。
ツールを使った競合サイト分析方法については以下の記事を参考にしてみてください。
競合サイト分析などで洗い出したキーワードはリスト化し、検索ボリュームやコンテンツのテーマ、カテゴリ、対策後のURLなどの情報といっしょに管理するようにしましょう。
Step5.コンテンツの作成
キーワードリストが作成できたら、いよいよコンテンツの作成に移ります。
ただし、コンテンツ作成を行う前にスケジュールを引くことをおすすめします。特に記事本数をKPIとして追う場合、必ず公開期日を設け、そこから逆算してコンテンツ作成スケジュールを引くようにしましょう。
また、コンテンツ制作前には以下のポイントも明確にしておくことが大事です。
コンテンツの種類 | コラム記事、商品紹介、インタビューなど |
---|---|
作成方法やリソース | 完全内製、一部外注、完全外注など |
補助ツール | エディタ系(Word、Googleドキュメント)画像系(PowerPoint、Illustrator)ニーズ調査系(Keywordmap)AI(ChatGPT) |
構成 | テーマ、タイトル、あらすじなど |
なお、コンテンツ制作においてもっとも重視すべきは、ターゲット・ペルソナのニーズを満たすことです。「スキンケア やり方」で調べた人が求めている情報を提供できるよう、場合によっては皮膚科医監修で記事を作成した方がいいかもしれません。信頼でき、かつ専門的で説得力のあるコンテンツを意識して作成しましょう。
Step6.施策の評価と改善
SEOにおいては、取り決めておいたKPIに対して現状のパフォーマンスを測る効果測定が必要不可欠です。SEO施策の効果を測定してPDCAサイクルを回せるように、戦略段階であらかじめリソースの確保、ツールの準備を行っておきましょう。
なお、効果測定は定期的に行うことが重要です。毎日行う必要はありませんが、週次程度で各KPIに対する進捗を確認することを推奨します。効果測定はツールを利用することで正確に効果を計測できます。以下がおすすめのツールです。参考にしてみてください。
目的 | ツール |
---|---|
アクセス計測・解析 | Googleアナリティクス |
検索順位やキーワード | Googleサーチコンソール、Keywordmap |
サイトパフォーマンス | Pagespeed Insights、Lighthouse |
なお、効果測定のデータは記録し続けておきます。一時的ではなく定点でデータを記録し続けることで、行った施策に対する成果の推移や傾向がわかり、PDCAサイクルが回しやすくなります。ツールを活用するとかExcelやスプレッドシートで管理するなどしましょう。
関連記事:SEOの効果測定とは?重要な指標や時期などを手順を追って解説!
SEO戦略を立てるときの注意点
SEOは誰でも実践できる一方で、成果を出すためには、じっくりと戦略を練る必要があります。とくにここで紹介するような注意点を意識しておかなければ、施策が頓挫してしまったり、成果が出ないばかりか、マイナスな影響を受けてしまうこともあり得ます。
SEOを実践する前に、以下の注意点には留意しておくようにしましょう。
成果が出るまでには時間がかかる
先ほども触れたように、SEOは短期的な戦略ではありません。サイト内のコンテンツが充実し、成果が出るまでに時間がかかるため、中長期的に取り組むことが前提となります。
SEOツールを提供するahrefsが3,680人にアンケートした調査によると、SEOで成果が出るまでには3か月から6か月程度かかるのが一般的だとわかります。場合によっては1年以上かかることもあるでしょう。
出典:How Long Does SEO Take to Show Results?
今日明日で成果が見えないからといってすぐ諦めるのではなく、地道に良質なコンテンツをターゲット・ペルソナに提供し続けることが成果への近道です。
柔軟な対応ができる体制を整えておく
SEO戦略が計画通りに進まない場合を想定し、成果や進捗に応じてフレキシブルに対応できる体制を整えておきましょう。例えば、狙ったキーワードで思うように上位表示できなければ、コンテンツをリライトしたり、あるいは関連する別のキーワードで新記事を作ったりすることが大切です。常に代替案やオプションを用意しておくことで、計画通りに行かなかったとしても即座に軌道修正をかけられます。
SEO施策は、GoogleやYahoo!など検索エンジンのアルゴリズムによって検索順位が左右されます。アルゴリズムのアップデートにより、昨日まで上位表示されていたページが突然落ちることもあるため、最新情報を確認し、柔軟な対応ができるような体制を準備しておきましょう。
ブラックハットな施策は避ける
ブラックハットSEOとは、不正なやり方で上位表示を狙うSEO施策のことです。具体的には、リンクスパムや不正なリダイレクト、隠しテキスト・リンク、AIによる大量生成といった方法が挙げられます。
アルゴリズムの隙を突くような施策で、2000年代には大量の被リンクをつけた低品質のコンテンツが蔓延しました。しかし、現在アルゴリズムのアップデートでこうしたサイトは淘汰されています。
ブラックハットSEOに取り組むことで、一時的に上位表示を狙える可能性はありますが、いずれ検索エンジンからペナルティを科されることに加え、運営企業の信頼を失墜させる恐れもあります。絶対にブラックハットSEOには手を出さないようにしましょう。
SEOに役立つツール
すでに何度か言及していますが、SEOを実践する際に活用できるツール紹介します。SEO戦略を策定する段階で前もって導入しておくことで、用途や使い方を把握しておきましょう。
Googleサーチコンソール
Google Search Console(サーチコンソール)は、自社Webサイト・ページを分析するためのツールです。Googleの検索結果と自社Webサイトとの接点について調査するツールとも言えます。同じGoogleが提供しているツール「Googleアナリティクス」は、自社サイトへ流入したユーザーのアクセス行動を調査するツールなので、サイトを訪れる前と後、というふうに捉えると良いでしょう。
【Googleサーチコンソールでできること】
- 流入キーワードの把握
- 流入キーワードの検索順位、クリック数、クリック率、表示回数の確認
- Webサイトが抱えるユーザビリティにおける問題点の改善案の提示
プラン(費用) | 無料 |
無料トライアル | – |
Keywordmap
Keywordmapは、競合サイトの分析に強いツールです。競合調査から市場調査、ニーズ調査、キーワード調査からAIによるコンテンツ制作までまとめて対応でき、SEOを実行するのに最適なツールと言えます。
競合サイトのキーワードやアクセス、コンテンツを高いレベルで分析できるためキーワード選定に役立ちます。また検索上位のコンテンツと比較し、抜け漏れているユーザーニーズや共起語を提示してくれるだけでなく、AIによる自動ライティング機能を搭載しています。
【Keywordmapでできること】
- Keywordmap×AI(ChatGPT)によるWebサイト運用工数の削減
- ビッグデータに基づいた競合サイト・検索ニーズ(結果)の分析
- カスタマーサクセスによるサポート SEO・Web広告における成果創出までの伴走
プラン(費用) | 要問い合わせ |
無料トライアル | 7日間無料トライアル |
ahrefs
ahrefs(エイチレフス)は、被リンクの調査・分析ツールです。競合サイトの被リンク獲得状況について、使用されているアンカーテキストまで細かく把握できます。
2022年6月時点で、26.9兆ものリンクデータを保有し、4020億のページURLを網羅しています。被リンクに注力してSEO施策を行う際に適したツールです。
【ahrefsでできること】
- 世界最大級ボリュームの被リンクデータに基づく分析
- リアルタイムに近いデータ更新(約15分ごとにインデックス更新)
- SNSで拡散されやすいWebページの傾向分析
プラン(費用) | ライト:12,500円~/月スタンダード:25,000円~/月アドバンスド:50,000円~/月エンタープライズ:要問い合わせ |
無料トライアル | なし |
まとめ:自社に合ったSEO戦略を立てて効率的に成果創出を目指そう
今回は、SEO戦略を立案する事前準備や手順、注意点、お役立ちツールについて解説しました。
SEO戦略の事前準備は以下の通りです。
- 事業の目標を基準にSEO戦略を立てる
- 自社・競合他社のデータに基づきSEO戦略を立てる
- KPIを設定し戦略の有効性を測定する
SEO戦略の立案から実装までの手順は以下の通りです。
- 目的と商材の特徴を明確化
- 自社に合ったSEO施策の把握
- KPIの設定
- キーワード戦略の立案
- コンテンツの作成
- 施策の評価と改善
事業やビジネスの現状を踏まえた目標を掲げ、データ分析に基づく効果的なSEO戦略を立てることが大切です。具体的なキーワード戦略やコンテンツの作成、施策の評価と改善は別記事も参考にしてください。
詳しくはこちら
Keywordmapのカスタマーレビュー
ツールは使いやすく、コンサルタントのサポートが手厚い
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初心者でも確実な成果につながります。サポートも充実!
良いポイント
機能が豊富で、ユーザーニーズ調査から競合分析まで使える
良いポイント