ECサイトのコンテンツマーケティングとは?施策と事例から効果的な運用法を学ぶ
ECサイトにおいて、集客や売上に関する課題を解決する効果的な施策の一つがコンテンツマーケティングです。しかしながら、多くのECサイト運営者が、コンテンツマーケティングをどのように取り入れれば効果があるのか、またどの施策が自社に合うのか分からず、足踏みしているように見受けられます。そもそも、「なぜコンテンツマーケティングが必要なのか」という疑問を抱える方も少なくないでしょう。
ECサイトは、ただ商品を並べて販売するだけでは差別化が非常に難しく、成果に繋がりにくい傾向にあります。消費者は単なる価格や商品の情報だけでなく、信頼やブランドへの共感を求めています。コンテンツマーケティングは、ユーザーのニーズを引き出し、疑問や興味・関心を満たすような有益な情報を提供することで、信頼関係を築き、購買意欲を高める重要な手段です。
本記事では、コンテンツマーケティングの具体的な目的や手法を解説するとともに、他社の成功事例を紹介します。自社サイトに適した戦略を見つけ、売上アップやブランド価値向上のためにもぜひ参考にしてみてください。
目次
ECサイトのコンテンツマーケティングとは?
ECサイトのコンテンツマーケティングは、ECマーケティングにおける施策の1つです。顧客にとって価値のある情報やコンテンツを提供することで、顧客の購買行動を促進することができます。
商品ページのみ公開している場合、すでにそのブランドを知っている人しかサイトを訪れる機会がありません。商品に関連した顧客の悩みを解決するようなコンテンツを公開することで、そのブランドを知らない人がサイトに訪問する機会を増やすことができます。
顧客と接触する機会が増えることで、顧客の興味が深まり、ファン化させるといった態度変容を促すことができるようになります。ファンを増やすことは長期的に売上を増加させるために重要なキーファクターだと考えられます。
ECマーケティングとECサイトのコンテンツマーケティングの違い
ECマーケティングは、ECサイトの売上や利益を向上させる販売促進活動全般を指します。オンライン上での顧客の購買活動を促進するためには、チラシ配布など対面でのマーケティング施策はもちろんのこと、主にオンライン上で行われる広告やSNS、プロモーションなどの幅広い活動が求められます。
ECサイトのコンテンツマーケティングは、ECマーケティングの中の施策のひとつです。ECサイトのコンテンツマーケティングは商品やサービスのアピールだけではなく、特に顧客にとって便利で価値のある情報も発信していく施策です。
コンテンツマーケティングとは
そもそもコンテンツマーケティングとは何でしょうか?
コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のある情報を発信することで、企業やブランドに対するロイヤリティ(愛着・忠誠・親近感)を高め、購買行動を促進させる手法です。一方的に製品の発信を行うだけではなく、その時々に応じた顧客の悩みや課題を解決するような情報を提供していくことが求められます。
例えば、顧客の悩みや課題に答えるSEO記事コンテンツを発信することで、Googleなどの検索結果を通じてユーザーにブランドや商品を認知してもらえる可能性が高まります。また、InstagramやTikTokなどのSNSを活用し、商品の詳細を画像や動画で見てもらうことで、更に商品に対する興味を深めることができます。結果、その商品の魅力を理解してもらいやすくなり、購入を促進することができます。
なお、2017年に世界中のマーケター2,352人に行ったデジタルマーケティングトレンドの調査では、各種オンライン上のマーケティング施策の中で、コンテンツマーケティングが最も大きな商業的インパクトを持つと回答した割合が20.3%と、他の手法を大きく上回る結果が出ました。このことからコンテンツマーケティングは世界的にも注目されている施策と言えます。
引用:Bala, M., & Verma, D. “A critical review of digital marketing” A Critical Review of Digital Marketing. International Journal of Management, IT & Engineering, 8.10, (2017): 321-339.
一度作成したコンテンツが長期にわたって効果を発揮し続けるため、コンテンツマーケティングはコストパフォーマンスに優れた施策です。継続的に施策を行うことで顧客満足度を高め、ECサイトの集客力や売上の向上を図ることができます。
▼コンテンツマーケティングの手法ごとの特徴について詳しく知りたい方はこちら
SEOやコンテンツSEOとの違い
コンテンツマーケティングと混同される施策にSEOやコンテンツSEOがありますが、それぞれ何がどのように違うのでしょうか。
コンテンツマーケティングは、多様なコンテンツ(ブログ記事、SNS、動画、メールマガジンなど)を活用し、主に販売活動の促進などを目的として行う施策です。
一方、SEOは主にGoogleなどの検索エンジンのアルゴリズムに合わせてWebページ全体の最適化を行い、検索結果で上位に表示されることを目指す施策です。例えば、キーワードの選定や内部リンクの最適化、メタタグの設定など、サイトが検索結果で上位表示されやすくするための施策全般を指します。
また、コンテンツSEOはユーザーニーズを満たす質の高いコンテンツを作成し、検索上位の獲得とサイトへの流入を獲得する施策です。例えば、ブログ記事や動画コンテンツ、口コミなどといったものを通じて、ユーザーが解決したい課題や疑問に答えることによって検索結果で上位表示されるために行う施策です。よって、コンテンツSEOはSEOの内のひとつの施策であり、SEOはコンテンツマーケティングの内のひとつの施策となります。
▼コンテンツマーケティングとSEOやコンテンツSEOの違いを詳しく知りたい方はこちら
コンテンツマーケティングとSEO、コンテンツSEOの違いとは?各施策をわかりやすく解説
図:ECマーケティングとコンテンツマーケティング、SEOの違い
コンテンツマーケティングとSEO、コンテンツSEOの違いについて詳しく知りたい方はこちら
ECサイトでコンテンツマーケティングを行う目的
ECサイトでコンテンツマーケティングを行うことには多くの理由があります。主な理由としては、ECサイトへの集客数の増加、ブランド認知の向上、ユーザーの購買意欲の向上、リピーターの増加などが挙げられます。ここではECサイトでコンテンツマーケティングを行う目的について詳しく解説します。
ECサイトへの集客数増加
まず、コンテンツマーケティングを実施することでECサイトへ集客数の増加が期待できます。例えば、ユーザーのニーズに応えるブログ記事などのコンテンツを作成することで、SEOによって検索エンジン上で集客の増加を図ることができます。また、X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeやTikTokといったSNSでサービスに関連する情報を発信したり、動画コンテンツを配信することで、SNSを経由してECサイトに送客をすることもできるようになります。コンテンツマーケティングを実施しているか否かによって、ECサイトの集客数に大きな違いが生まれます。
ブランド認知の向上
コンテンツマーケティングはブランド認知を高めることにも効果的です。ユーザーの購買行動を最大化させるためには、ユーザーが商品を買いたいと思った時にブランドの第一想起を獲得することが重要です。例えば、「新しいソファを買いたい」と思った時に真っ先に浮かぶブランドは何でしょうか。おそらく多くの人が最初に浮かんだブランドの商品を探しに行くのではないでしょうか。
コンテンツマーケティングによってユーザーとの接点が増えることにより、ブランドを想起してもらえる可能性が高まります。更に、それらのコンテンツがユーザーにとって魅力的であり、悩みを解決するようなコンテンツであるとブランドに対しての信頼も高まるでしょう。
ユーザーの購買意欲の向上
ユーザーの役に立つコンテンツを配信することで、ユーザーの興味関心を深め、購買意欲を高めることができるようになります。例えば、ある商品において、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSを通じて、商品の魅力を視覚的にアピールすることで、ユーザーの購買意欲を高めることができます。また、YouTube、TikTokなどを利用して商品の使い方や特徴を紹介する動画を作成することで、ユーザーに商品の魅力を伝えつつ活用のイメージを持ってもらうことができるため、購入意欲が高まる可能性があります。そして、商品の口コミをECサイトで気軽に投稿できるようにすることで、実際に商品を購入した後や使用する際のイメージを持つことができます。
このように、その商品について吟味したいというニーズに応え、商品を購入する時の懸念を払しょくすることで、その商品を「買いたい」と感じてもらえる可能性がより高まるでしょう。
リピーターの増加
実は、コンテンツマーケティングによってリピーターを増加させることもできます。例えば、過去商品を購入したことがある人に向けて、定期的に新商品の情報やキャンペーン情報、クーポンなどの案内をメールマガジンで発信することによって、リピート購入に繋がる可能性が高まります。また、メールの内容を個別にカスタマイズすることで、顧客の興味関心に合わせたアプローチも効果的です。
このように、ECサイトでコンテンツマーケティングを適切に行い、ユーザーの態度変容に即した情報を提供することで、ユーザーの購買行動を促すことができるのです。
ECサイトにおけるコンテンツマーケティング施策
ECサイトにおけるコンテンツマーケティング施策は、顧客の興味を引き、ブランドの価値を伝え、持続的な成長を促進するための重要な手段です。ECサイトにおけるコンテンツマーケティングにはさまざまな手法がありますが、それぞれの目的にあった手法を用いることで、他社との差別化を図り、効果的な集客と売上増加が期待できます。
以下では、具体的な施策について詳しく説明します。
SEO
SEOは検索エンジン最適化の略で、検索エンジンでのランキングを上げるための手法です。これにより、検索エンジンからのオーガニックトラフィックを増加させ、サイトへの訪問者数を増やすことができます。
ECサイトにおけるSEO施策の具体例としては以下のようなものがあります。
- 商品ページのタイトルやh1タグの最適化
- カテゴリーページのサイト構造最適化
- 商品詳細ページのリッチ化(使用方法、サイズ情報、関連商品など、ユーザーニーズに応える内容の追加)
- 商品レビューの導入によるユーザー生成コンテンツの活用
これらの施策により、ECサイトの各ページが検索結果で上位表示されやすくなり、より多くの潜在顧客にリーチすることが可能になります。
▼ECサイトのSEOについて詳しく知りたい方はこちら
オウンドメディア
オウンドメディアは、ECサイトにおいてブランドのメッセージを直接ユーザーに伝える重要な手法です。ECサイトでオウンドメディアを運用する際は、具体的に以下のような情報を発信することがおすすめです。
- おすすめ商品の紹介:季節に合った商品やターゲットを絞った商品などをまとめた特集ページを作成する
- 商品情報の深掘り:商品の背景、製造過程、使用方法など、商品ページでは伝えきれない詳細情報を提供する
- ブランドストーリーの発信:企業理念や商品開発の裏話など、ブランドの魅力を伝えてファンになってもらう
- 顧客教育:商品に関わる豆知識や業界のトレンド情報など、顧客の知識を深める情報を提供する
これらのコンテンツはそれ自体が顧客の興味を深める効果がありますが、ECサイトへの送客を行う効果もあるため、結果としてブランドロイヤリティの向上や、商品購入の増加につながります。
SNS
SNSは、商品に対する顧客の興味を深めるための重要なコンテンツです。
X(旧Twitter)やInstagramなどを活用し、商品紹介や製品に関する豆知識、キャンペーン情報などをリアルタイムで発信することで、フォロワーの自社商品に対する興味関心を高めることが可能です。SNSでは具体的に以下のような情報を発信することがおすすめです。
- 商品の意外な豆知識:実はこの商品はこんな場所で使われます、こういう使い方がありますなどといった一般的に知られていないような情報を提供する
- 商品の豊富な画像:ユーザーが商品を購入するかどうかをスムーズに検討できるように、商品を色々な角度で捉えた画像を提供する
- キャンペーン情報:アカウントをフォローした人や投稿をリポストをした人などを対象にクーポン配布やプレゼントを行う
SNSをうまく活用することで、ECサイトを運営しているだけではリーチできなかったユーザー層へのアプローチも可能になります。
SNSでコンテンツを発信し、その情報が”バズる”ことで、多くのユーザーに情報が拡散されるという可能性もあるため、重要なコンテンツマーケティング施策の1つとなります。
動画
動画コンテンツはECサイトのマーケティングにおいて非常に効果的です。視覚的な訴求力が強く、商品の使い方や利点を詳細に説明できます。また、実際のユーザーや影響力のある人が情報を共有することで共感が生まれやすくなります。具体的には以下のような施策を行うことが効果的です。
- 商品のデモンストレーション動画:商品購入後のイメージを持ってもらうため、商品のおすすめの使い方や意外な使い方を紹介する
- 顧客のレビュー動画:商品の信頼性を高めるため、顧客にインタビューしたり、口コミを集めて動画で紹介する
- インフルエンサーとのPRタイアップ動画:インフルエンサーとタイアップして商品紹介や商品のレビューをしてもらう
また、作った動画コンテンツをECサイトに掲載することで独自性が高いサイトとして評価されやすくなり、ECサイトの各ページが上位表示されやすくなる効果もあります。
コンテンツに独自性がある: 新規のコンテンツを作成する際は、たとえ一部であっても他人のコンテンツをコピーしないでください。ご自身の知識に基づいて、自分で作成してください。誰かが公開したコンテンツの焼き直しはしないでください。
引用:検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
メルマガ(メールマガジン)
メルマガ(メールマガジン)は、定期的にユーザーと接触することによってユーザーとの関係を維持・強化していく施策です。自社に興味がある人向けにピンポイントで提供できるため、商品の購買機会を増やすことができます。具体的には以下のような情報を発信することが効果的です。
- 特定の商品:新製品やおすすめ商品を紹介することで、ユーザーがすぐに購入できる機会を作る
- キャンペーン情報:クーポンや特典を届けることで、ユーザーがお得に商品を購入できる機会を作る
- 限定情報:会員を設定し、登録している人のみの限定情報を送ることで、ブランドに対するロイヤリティを高める
メルマガを配信する際は、ターゲットユーザーの興味関心を把握し、有益な情報提供をすることが成功のポイントです。
ブログ記事
ブログ記事もECサイトにとって効果的な施策です。具体的には以下のような情報を発信することが効果的です。
- スタッフが考えたアイデア:ファッション系のサイトであれば、スタッフのコーディネートを紹介することで、商品の魅力を伝える
- 日記などのオリジナルコンテンツ:日常を発信し、ユーザーに親しみを感じさせることでブランドのファン化に繋げる
上記のように、ブログ記事で発信する内容次第では、ユーザーに愛着を持ってもらうことができます。愛着は第一想起につながります。何かが欲しくなったときに購入先として真っ先に思い浮かべられるECサイトを目指すうえでも、ブログ記事での発信を強化していきましょう。
広告
広告はECサイトへの流入数を短期間で増やし、売上を向上させるために重要な施策です。ECサイトは売上を発生させるためにその存在をユーザーに認知させる必要がありますが、他のコンテンツマーケティングの施策は効果が出るまでに時間がかかることが多く、手間がかかる場合が多いです。更に自分たちが届けたい情報を直接ターゲットとなるユーザーに届けるのは容易ではありません。それに対して広告はすぐに自分たちが販売したい商品にフォーカスし、ターゲットも指定ができるため、費用さえ厭わなければすぐに売上に直結しやすい施策となります。リソースが少ないECサイトの運営者にとっては特に重要な施策となります。広告として、具体的には以下のような発信をすることが効果的です。
- ターゲティング:顧客の興味や行動履歴に基づいて、適切なユーザーに適切なタイミングで広告を表示する
- リターゲティング:サイトを訪れたが購入に至らなかったユーザーに再アプローチすることで、再度購入を促す
広告は、特に商品の購入を具体的に検討している顕在層のユーザーに向けて情報発信することが可能です。他のコンテンツマーケティング施策は、将来的に商品の購入可能性がある潜在層向けのユーザーに向けた情報発信を行うことができる施策であるため、広告と組み合わせることで更に効率良くECサイトの売上を増加させることができます。
ECサイトでコンテンツマーケティングを実施するメリット
ユーザーの購買行動を後押ししファン化を促すという、とてつもないメリットがあるECサイトのコンテンツマーケティングですが、ほかにもビジネスに好影響をもたらす様々なメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
ブランドの信用が高まる
ユーザーに役立つコンテンツを定期的に発信することで、ブランドの信用を確立し、顧客との信頼関係を築くことができます。ブランドの信用が高まることで売上が増加する場合もあります。あるスポーツブランドにおける中国での利用者約400名を対象とした2024年の調査では、ブランドに対する信頼性が高いとユーザーが商品を再購入する傾向があるということがわかっています※。
※出典:Wang Hui Li, Sany Sanuri Mohd Mokhtar and Azanin Ahmad.”Repurchase intention in sports brand industry in China: Attributes of live streamers and customer-to-customer interaction of live streaming e-commerce” Innovative Marketing , 20.2, (2024) 40-53.
多様なターゲット層へのアプローチが可能
1つのコンテンツを様々なチャネルで活用することで、より広範囲のターゲット層にアプローチできます。例えば、ブログ記事を元にSNS投稿を作成したり、メルマガの内容として再利用することができます。また、YouTube動画にして視覚的に訴えることも可能です。これにより、異なる嗜好や情報収集習慣を持つ顧客層にリーチできるようになります。
WEB上での売上に直接貢献できる
SEOに最適化されたブログ記事や専門的なガイド記事を定期的に投稿することで、その記事から商品ページへのリンクがクリックされ、直接商品が購入されるケースが増加します。これにより、コンテンツが直接的に売上貢献につながります。
比較的低コストで運用ができる
コンテンツマーケティングは他の広告手法に比べて比較的低コストで運用できます。適切に施策を行うことで制作にかかるコストを広告よりも低く抑えられる可能性があります。また、一度作成したコンテンツが長期間にわたって効果を発揮するため、時間が経っても集客力を維持することが可能です。
ECサイトでコンテンツマーケティングを実施するデメリット
以上のように、ビジネスに多大な恩恵をもたらすECサイトのコンテンツマーケティングですが、一方で無視できないデメリットも存在します。コンテンツマーケティングを推進していくためにも、どんな障壁があるのか理解しておきましょう。
工数がかかり業務の負担になる
コンテンツマーケティングは工数がかかり、業務の負担が増える可能性があります。コンテンツの企画から制作、配信、効果測定まで多くのステップがあるため、かなりの時間と労力が必要です。特に小規模な会社や人的リソースが限られている企業にとっては大きな負担となる可能性があります。
大きな成果が出るまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングは広告を除き即効性が低く、大きな成果が出るまでに時間がかかります。コンテンツの制作から公開、そして検索エンジンでの評価が定着するまでには一定の時間が必要です。また、ユーザーに信頼されるようになるまでには継続的な品質の高いコンテンツ提供が不可欠です。
場合によってはECサイトのシステムを大きく見直す必要がある
現在のサイトシステムが必要な施策に対応できない場合、システムのアップデートや新規導入が必要になることもあります。例えば、新たなコンテンツを格納することができない場合は、CMSを変更しなければならないこともあります。
ECサイトにおけるコンテンツマーケティングの成功事例
ECサイトでのコンテンツマーケティングの効果を具体的に示すため、以下に成功事例を紹介します。これらの事例は、ECサイトならではのコンテンツマーケティングを実践し、顕著な成果を上げています。
事例1. Dinos
老舗通販サイトのディノスでは、コンテンツSEOを強化するためにKeywordmapを導入し、大きな成果を上げています。特に、家具・収納部門では2018年1月からのコンテンツ公開により、当時「整理整頓」や「収納」といったビッグキーワードで1位を獲得するなどの成果が生まれています。2019年4月にはECサイトのオーガニックセッション数が約13倍に増加し、2020年10月にはセッション数が65倍に到達しました。ディノスでは主に下記の施策が実施されていました。
- Keywordmapを導入し、ユーザーの検索意図に合わせたコンテンツを作成
- 家具・収納部門を中心に、商品と密接に関連したコンテンツを公開
- コンテンツ制作の内製化により、社内でコンテンツSEOのノウハウが蓄積
ディノスの事例では、ECサイトにおけるコンテンツマーケティングが単に集客だけに留まることなく、組織全体のデジタルマーケティング力向上にも寄与することを示しています。
詳しい事例はこちら:老舗ECサイトのコンテンツ戦略とは? Keywordmapで競合に勝つためのキーワード選定からコンテンツ作成までカバー!
事例2. 伊場仙
伊場仙は江戸時代に創業し、430年以上の歴史を持つ扇子・団扇の老舗メーカーです。コンテンツマーケティングに本格的に取り組み、大きな成果を上げています。伊場仙では、2022年の繁忙期(7〜8月)と2023年の同時期を比較して、Webサイトのセッション数は3倍以上に増加しました。また、ECサイトの売上も大きく伸びており、注文数は2.4倍、売上高は2倍を達成しました。特に「法人様向け販売ページ」のアクセスが増え、新規の取引先が増加しています。これにより、例年8月以降に見られる売上の低下が穏やかになり、秋冬にも商機が生まれました。
さらに、Webサイトを通じて実店舗への誘客も成功しており、日本橋の店舗にはWebサイトを見て訪れる顧客が増加しています。コンテンツマーケティングにより、インバウンドの集客増加にも好影響が生まれている事例です。伊場仙では主に下記の施策が実施されていました。
- カスタマージャーニーに基づいた戦略的なコンテンツ設計
- 扇子業界や商品に関する専門的な情報を提供する高品質なコンテンツ作成
- 「法人様向け販売ページ」の新設と最適化
- 商品ページと関連コンテンツの密接な連携
伊場仙の事例では、伝統的な商品を扱うECサイトでも、適切なコンテンツマーケティング戦略により、オンラインでの販売拡大と実店舗への誘客を同時に実現できることを示しています。
詳しい事例はこちら:ECで売り上げ2倍!江戸扇子・江戸団扇の老舗・伊場仙が取り組んだWebマーケティングの圧倒的成果
事例3. そのほかECメディアの一覧
SHIRO
株式会社シロは、自然の恵みを活かした日本の化粧品ブランドを展開する企業です。自社ブランドであるSHIROは香水やルームフレグランスなどを展開する人気のブランドです。SHIROのECサイトは、商品をカテゴリーごとに整理したページや商品詳細のページ、”香水の付け方”や”オードトワレとオードパルファムの違い”といったコラム記事などを展開しています。”オードトワレとオードパルファムの違い”の記事では、「オードパルファム」というキーワードの検索結果で1位に表示されています。(2024年11月26日時点)SHIROも豊富なコンテンツを発信し、ECサイトの集客数を増加させています。
UNITED ARROWS
株式会社ユナイテッドアローズは高品質な製品を取り扱うファッションブランドです。ユナイテッドアローズではECサイト内で多くのコンテンツが発信されており、「オフィスカジュアル メンズ」というキーワードで検索結果1位を獲得しています。その他ユーザーに頻繁に検索されるキーワードの多くで検索結果の上位を獲得しています。ユナイテッドアローズでは、ECサイトへの流入のうちおよそ半分程度がコラム記事による流入で構成されています。
引用:https://store.united-arrows.co.jp/
ECサイトでコンテンツマーケティングを成功させるポイント
ここではECサイトでコンテンツマーケティングを成功させるためのポイントを紹介します。効率的かつ効果的に推進していくために、ぜひ押さえておきたいポイントです。ぜひ参考にしてみてください。
適切なターゲットを定める
まずはECサイトを運営するうえでのターゲットであるペルソナを設定し、その人がどういった情報を求めているのか、何をしようとしているのかを把握しましょう。このペルソナに基づいてキーワードを選定し、問題解決に役立つコンテンツを作成します。たとえば、20代から30代の女性向けに化粧品を宣伝する場合、肌トラブルや化粧品選びに関する情報提供が効果的です。ペルソナが求めている情報とずれたコンテンツを発信してしまうと、サイトの流入数は増えたが売上には繋がらないといったケースが生じます。
購買プロセスに沿ったコンテンツ設計をする
ECサイトでは、顧客の購買プロセスに合わせたコンテンツ設計が不可欠です。ペルソナがどういう流れで購買行動をするのか、カスタマージャーニーを意識しながらその時々に応じたコンテンツを発信することが重要です。
AISCEASは、2005年ごろにアンヴィコミュニケーションズの望野さんが提唱した顧客の購買プロセスを表すモデルです。マーケティングにおける顧客行動のプロセスを表す略語で、以下の6つの段階を表しています。
- Attention(認知/注意): 顧客が製品やブランドに気づく段階
- Interest(興味/関心): 顧客が製品やブランドに興味を持つ段階
- Search(検索): 顧客が製品やブランドについて詳しく調べる段階
- Comparison(比較): 顧客が他の選択肢と比較検討する段階
- Examination(検討): 顧客が製品やサービスを詳細に評価する段階
- Action(購買): 顧客が購入や契約などの行動を起こす段階
各段階に適したコンテンツを提供することで、顧客の購買意思決定を効果的にサポートできます。よくあるケースとして、顧客が商品を認知する時や注意をひく時に見られるコンテンツばかりを発信し、情報を見ただけで購買には繋がらないということが挙げられます。ECサイトの売上を増やしていくために、AISCEASのような購買行動プロセスに当てはめながらコンテンツを発信していくことが重要です。
※参考:https://netshop.impress.co.jp/node/9597
掲載する商品やサービスを見直す
掲載商品やサービスは定期的に見直しましょう。競合ブランドの商品の方が魅力的であれば本末転倒となってしまう場合もあります。購入したユーザーからの口コミによるフィードバックも積極的に活かしていきましょう。
サイト内のユーザー導線を最適化する
ユーザーが目的としている商品を見つけやすくすることで、購買意欲の向上につながります。ヘッダーメニューの整理や検索機能の強化も効果的です。またCTAボタン配置も視覚的に目立たせることで購買行動促進につながります。また導線だけではなく、ページの読み込み速度なども直接売上に影響する要素となります。Amazonでは”ページの表示されるスピードが0.1秒遅れると売上が1%減少した”というデータもあります。サイトスピードを改善する詳しい方法については、この記事をご覧ください。
※参考:https://president.jp/articles/-/54736?page=1
商品カテゴリーの整理や、ナビゲーション機能などを付けることもユーザビリティを高めるために有効な施策です。また必要に応じて多様なコンテンツ形式(テキスト、画像、動画など)を取り入れ、商品の使用方法を動画で紹介するのも良いでしょう。
コンテンツマーケティングの効果測定を行う
行った施策がどういった結果になったのか、なぜ良かったのか、なぜ悪かったのかを把握し、適切なアクションを実施できるようにしましょう。GA4などのデータ分析ツールでページビューや滞在時間、離脱率をモニタリングし、どのコンテンツが特にユーザーに見られているかを把握することで、その情報を改善や横展開に役立てることもできます。PDCAサイクル(計画・実行・確認・改善)を社内で回し、成果の最大化を図れるような体制を築きましょう。
余裕を持った予算設定を行う
不十分な予算では施策が進まず、途中で施策がとん挫してしまうリスクもあります。SNS広告やブログ記事作成などの他の施策にかかるコストの予測をしながら検討することが重要です。
特に予算については短期的な視点で考えるのではなく、中長期的に必要なコストを考慮し、計画的かつ戦略的に進めることが求められます。
すぐに成果が出なくても諦めずに施策の実行と改善を繰り返す
コンテンツマーケティングを始めた方の中には、実施しても中々短期間で成果が出づらく、施策を辞めようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。コンテンツマーケティングは他のマーケティング施策に比べ、大きな成果が出るまでに比較的時間を要する施策です。理論的に必要な施策も必要である一方、諦めずに継続的に取り組むことも重要です。
なお、Keywordmapを開発した株式会社CINCでは、ビッグデータを活用し、戦略策定からコンテンツ制作、効果検証までコンテンツマーケティングを全面的に支援しています。これからコンテンツマーケティングを始めたいとお考えの方、コンテンツマーケティングの成果が出ないとお悩みの方はお気軽にご相談ください。⇒CINCのコンテンツマーケティングコンサルティング
ECサイトのコンテンツマーケティングにおすすめの本
自社のECサイトでもコンテンツマーケティングを始めたいという方向けに、おすすめの本をいくつか紹介します。コンテンツマーケティングは理論だけではなく、実際の成功事例や具体的な施策を学ぶことが重要です。ここでは、本記事の筆者が実際に読み、役に立った本を紹介します。
いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本 人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り (「いちばんやさしい教本」シリーズ) 宗像 淳 (著), 亀山 將 (著)
筆者がコンテンツマーケティングを学び始めたころに最初に手に取った本です。この本では、この記事で述べてきたことが具体的にわかりやすく記載されています。LTV(顧客生涯価値)との関連性も述べられており、なぜコンテンツマーケティングをやる必要があるのかと疑問に感じている方にオススメの一冊です。
行動経済学が最強の学問である 相良 奈美香 (著)
この本は、マーケティング担当者であればまさに必読の一冊です。顧客がなぜそういった行動を行うのか、従来の経済学とは異なる学問である”行動経済学”を元に、身近な例をもとに解説されています。この本のポイントはこれまで言語化が難しかった事象を体系化することで、コンテンツマーケティングはもちろん、マーケティング施策や営業活動にまで応用を利かせることができる点にあります。これまでなんとなく実施していた施策が、理論をもとに実施できるようになる可能性があります。
まとめ
コンテンツマーケティングは、ECサイトへの集客、ブランド認知度の向上、ユーザーの購買意欲を高めるための強力な手法です。また成功事例から学ぶことも多く、戦略的に取り組むことで大きな成果を上げることが可能です。
コンテンツマーケティングを取り入れることで、競争力を高め、新たな顧客を獲得するチャンスを広げましょう。今すぐコンテンツマーケティング戦略を立案し、実行に移す準備を始めましょう。
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