企業のSNSマーケティングの成功事例8選!「SNS×オウンドメディア」で集客する方法とは
そこで今回は、これから加速していくであろう「SNS(ソーシャルメディア)× オウンドメディア」という新たなビジネスモデルとその実態について、取り入れている企業の事例を参考に紹介していこうと思います。
目次
変容するオウンドメディア
現在、Webマーケティングにおいて新たなビジネスモデルが広がり始めています。
従来オウンドメディアの活用といえば、コンテンツマーケティングやSEO、SEMなどに代表されていました。しかし、近年のSNSの爆発的な普及によってもたらされた購買プロセスの変化は、オウンドメディアの在り方にも大きな転換をもたらしています。
それが「SNS(ソーシャルメディア)×オウンドメディア」という新たなWebマーケティングのカタチです。
購買プロセスの変化
消費者が購買にいたるプロセスに※AIDMAとその後継モデルであるAISASがあります。AISASはインターネット時代に即した新たな購買プロセスとして、2004年に電通が提唱しました。「Attention(注目)Interest(関心)Search(検索)Action(購買)Share(情報共有)」という購買までの流れには、検索(GoogleやYahoo!の検索エンジン)や情報共有という新たなプロセスが組み込まれています。
しかしながら、このSearchというインターネット時代が生んだ購買プロセスは、ソーシャルメディアの登場によって、本来の意味を超えて拡大していくことになります。
すなわち、これまで検索エンジン(GoogleやYahoo!など)によって行われていた情報収集が、現在はSNS(ソーシャルメディア)に取って代わられつつある――言い換えれば、検索ツールとしてSNSの利用が急速に広まっているということです。
このような傾向は、若い世代に顕著だといえるでしょう。
以下をご覧ください。
マス広告の巨人であったテレビの視聴率は、微減とはいえ下降し続けていますが、その代わりにSNSの利用率は増加の一途を辿っています。特筆すべきは、10~30代のじつに90%以上が何らかのSNSを利用しているということでしょうか。
モバイル端末を起動し、特に明確な目的もなくSNSを開く。そんな経験が身に覚えのある方も多いと思います。ほとんど習慣的にSNSの更新を眺め、ふと注目に値するコンテンツを発見し、興味を覚える。
いまや購買プロセスのスタートであるAttention、つまりサービス・商品に興味を持つ「きっかけ」ですらSNSやソーシャルメディアに依存し始めている、というのが現状でしょう。SNS内でサービス・商品と出会い、ソーシャルメディア内で検索し、SNS内で比較・検討を行う。このような購買プロセスをたどるユーザー層が一定数いることは疑いようのない事実です。
ということは、現行主流であるWebサイト型のオウンドメディアだけでは、昨今の消費者のニーズに応えているとはいえず、時間とともに機会損失が漸増していく可能性があるのです。
※(Attention、Interest、Desire、Memory、Action、つまりサービス・商品を知って興味を持ち、手にいれたいという欲求を持ち続け、最終的に購入するという購入決定プロセス)
オウンドメディアの立ち上げ方について詳しく知りたい方は以下記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
「オウンドメディアの立ち上げ手順から運用まで成功事例から学ぶ」
SEOやSEMだけのWebマーケティングは時代遅れ?
さらに言えば、検索すらしないセグメント(同じニーズがあったり共通の購買プロセスをたどる顧客層)が存在することも覚えていた方が良いでしょう。
SNS(ソーシャルメディア)上では、プラットフォーム側がレコメンド(関連コンテンツをおすすめ)してくれたり、興味・関心があるアカウントとつながっているだけで、自分の欲しい情報が向こうから処理できないほど押し寄せてきます。わざわざ検索しなくとも、提示された情報から好きなものを選ぶだけで購買プロセスを大幅に省略できてしまうのです。
SNSを頻繁に閲覧するが、検索エンジンはほとんど利用しないという消費者は、もしかすると今後どんどんと増えていくかもしれません。上図にあるSNS利用者層の年々の増加から考えるに、それは決して的外れな推測ではないでしょう。
もうおわかりだと思います。ようするに、SNSを無視したWebマーケティング(≒自社Webサイトだけのオウンドメディア運営)は、もはや時代遅れだということです。これからのWebマーケティングは、SEO(検索エンジン最適化)や、それを用いたSEM(検索エンジンマーケティング)といった検索エンジンに焦点を当てるだけでは不十分で、SNS、ソーシャルメディアの活用が絶対に必要なのです。
SNS(ソーシャルメディア)×オウンドメディア
さて、これからのWebマーケティングはソーシャルメディアと切っても切り離せないものだということはわかりました。では、いったいどのようにソーシャルメディアを活用すればよいのでしょうか?
その答えの一つが、今回のテーマであるオウンドメディア展開としてのソーシャルメディア運用です。
厳密にオウンドメディアというと、SNSを筆頭とするソーシャルメディアの運用も含まれた概念と考えられています。しかしながら、一般的には自社のWebサイトばかりが注目され、同じくらい重要であるはずのソーシャルメディアがおろそかにされている、あるいはその強みやメリットを上手く活かしきれていないというのが、実際のところではないでしょうか。
ところが、そんな中から昨今、新たなビジネスモデルであるオウンドメディアのソーシャルメディア展開を上手に実践している企業が増え始めているのです。たとえば、後述で紹介する大手電機メーカーのSHARPによるTwitter運用はその典型例として挙げられるでしょう。Twitterならではの特徴を押さえたユニークな施策で、SHARPは膨大な数のファンを獲得するに至りました。その手法は、新たなオウンドメディアの運用方法として多くの企業が模倣しているほどです。詳しくは下記で紹介します。
また、ソーシャルメディアの普及とともに台頭したUGC(User Generated Content)を巧みに利用することで、収益につなげている企業も増え始めています。これもソーシャルメディア展開の一例でしょう。
次の「ソーシャルメディア活用事例」の前に、まずはこのUGCについて簡単に触れていきたいと思います。
企業のSNSマーケティングを手厚くサポートするツール~Keywordmap for SNS
UGCを活用したビジネスモデル
UGCとはUser Generated Contentの略で、企業やそれに準ずる組織ではなく、一般的なユーザーによって生成されたコンテンツを意味します。具体的にはSNSやレビューサイトなどに投稿されたテキスト、画像、動画などのコンテンツが当てはまります。
UGCは、次のような影響をユーザーに与えます。
- 企業の宣伝目的ではない消費者によるコンテンツという信頼感
- UGCによって紹介された商品のリアリティ、同じ一般人が利用しているという安心感
ユーザーは、企業によるあからさまな宣伝コンテンツを忌避する傾向にあり、自分と同じ目線の消費者に親近感を抱くものです。その点においてUGCは、ユーザーの共感を呼び起こすコンテンツとして最適だといえるでしょう。
以上のような特徴から、先見的な企業では早々にUGCを活用して、ビジネスに結び付けてきました。広告CTR減少への集客対策や、自社ブランディング、認知拡大を目的としてUGCによる商品・サービス、あるいは自社ネームの拡散に取り組んでいます(ある化粧品メーカーなどは、自社のWebサイトにInstagramのUGCを埋め込むという活用を行っています)。
代表的な例として、Woodman Labs社のカメラブランド「GoPro」について紹介しましょう。
GoPro
様々なアクティビティに密着する高性能カメラとして世界的な人気を誇る「GoPro」シリーズのカメラ。2004年の発売当初は1,500台しか売れず4万5千ドル程度の売り上げだったそうですが、2014年には14億ドルまで業績を伸ばしました。この恐るべき成長にはUGC戦略が大きく寄与しています。
GoProにおけるUGCとは、GoProユーザーによって撮影・公開された動画や写真を指します。そしてそれらユーザーによって撮影されたUGCが、GoProへの集客、ブランディング、認知拡大を大幅に促進してきました。そこにはGoProによるユーザー心理を掴んだ巧みな戦略があります。
代表的な例が、ユーザーの撮影した動画や写真を公式サイト(オウンドメディア)で取り上げてフィーチャーするというもの。「素晴らしい動画を撮影・公開すれば、もしかするとGoPro公式に取り上げてもらえる!」というふうにユーザーの承認欲求をあおることで、ユーザーは競い合うようになり、ますますGoProの価値を高めるクオリティの高いコンテンツが制作されるようになります。
これは、現在Youtubeに引き継がれており、GoProカメラによって撮影された膨大なUGCを、GoPro公式の人間が審査し、1040万人もの登録者を誇る公式チャンネルで優れた作品を公開しています。2013年には、1日あたり6,000本のGoPro動画が投稿されたと推定されており、なんとこれまで(2021年6月現在)のGoPro公式動画の総再生回数は30億回を超えます。
当然ですが、UGCですからコンテンツを制作する費用は一切かかりません。また、Youtubeというトラフィック世界第二位のプラットフォームが膨大な広告費を肩代わりしてくれ、その影響力は登録者数という形で日に日に増加していきます。GoPro側としては、これらのUGCを評価することと、ユーザーエクスペリエンスを最大化するような最高のプロダクトを作り上げることに全リソースをつぎ込むことができるのです。
まさにUGCとソーシャルメディア(Youtube)を見事に活用したビジネスモデルといえるのではないでしょうか。ちなみにInstagramでも同じようなソーシャルメディア展開を行っており、こちらのアカウントはなんと1,600万人弱のフォローワーを抱え込んでいます。
GoProは、YoutubeやInstagramといったソーシャルメディアの公式アカウントをオウンドメディアと同等のビジネス戦略の柱にすることで、目に見えるかたちの見込み顧客(チャンネル登録者やフォロワー)を獲得し、ユーザーが撮影・公開した動画が再生されればされるほど認知拡大、ブランディングに結びつくという、極めて画期的な好循環を確立するに至ったのです。
▼実際にYoutubeに投稿されたGoProのUGCコンテンツ
ソーシャルメディアという集客手段
なお、GoProはECを兼ねたオウンドメディアを所有しています。
こちらのWebサイトでは、GoProAwardという賞金チャレンジキャンペーンなどが打たれたりしてはいますが、集客が主な目的ではないことは明らかです。つまりGoProのオウンドメディアでは、ECでのコンバージョンが重要視され、集客や認知拡大にはYoutubeやInstagramなどのソーシャルメディアが大きく貢献しているのです。
UGCに特化したビジネスモデルにおいて、このようなソーシャルメディア展開が現在注目されています。
たとえば、簡易的なECサイトだけを用意して、集客するのはソーシャルメディアに絞れば、以下のようなメリットがあります。
- シェア・拡散に期待できる
- SEOへ注力するリソースを大幅に削減できる
- SEO競合と戦わないで済む
- 広告費が削減できる
- Googleの検索アルゴリズムに左右されない
Google検索結果における全体のクリック率が50%※ほどであることや、ソーシャルメディア人口の増加を鑑みれば上記メリットは無視できないでしょう。
また、バイラル的にコミュニティが大きくなっていくところも魅力の一つです。以下で紹介するInstagramリポスト型の「古着女子」などはその典型といえます。
※参考リンク:Less than Half of Google Searches Now Result in a Click
さて、それではいよいよ実際に企業はどのようにしてソーシャルメディアを活用しているのかについて見ていきましょう。
―SNS(ソーシャルメディア)を活用した新しいオウンドメディア事例-
ここでは、実際にWebマーケティングの一環として、企業によるソーシャルメディアの活用例をいくつか紹介していきます。
ソーシャルメディアはInstagram、Twitter、Youtube、Facebookです。それぞれのプラットフォームごとに特徴があり、ユーザーとの関わり合い方も異なります。当然、企業は自社の商品・サービスと適合したソーシャルメディアを選択して、効率良く用いることに成功しています。
なお、ソーシャルメディアを活用する前に、まず真っ先にしなければならないのが、「何のために企業アカウントを運用するのか」ということを明らかにすることです。これから紹介する企業は、目的というその重要な点を明白に設定することで、最適なソーシャルメディア展開を行っています。ぜひ参考にしてみてください。
全世界の月間アクティブユーザー数が10億人を超え、日本国内でも月間アクティブユーザー数3,300万人以上を誇る、現在急成長中のソーシャルメディア「Instagram」
利用者はおもに10~30代の若年層で、女性の割合が多くなっています。そのためか、投稿はいわゆるお洒落でフォトジェニックな写真が多い傾向にあり、人気なアカウントは有名人を除くとレシピやファッション系が散見されます。
最近では画像だけでなく、動画コンテンツも注目を浴びており、2018年6月にはIGTVというシーク可能な動画アプリを公開しました。IGTVはスマートフォンに合わせた縦長フォーマットで、投稿できる動画の長さもこれまでよりも拡大されました。
さて、以上を踏まえた上で、Instagramを活用した事例をいくつか紹介していきます。
クラシル
株式会社delyが運営する、2016年5月にローンチしたレシピ動画サービス「kurashiru」
WebブラウザやiOS・Androidアプリにおいて、1分以内の短くてわかりやすい動画レシピを公開しています。2017年にはレシピ動画数で世界一を達成しただけでなく、アプリの年間総合ランキング1位を獲得。現在、最も勢いのあるレシピ系メディアです。
特徴
- 全ての動画レシピをプロが考案、作成している(キュレーション・UGCではない)
∟コンテンツの質が非常に高い - アプリの機能が優秀で、買い物や献立に役立つ
- レシピの気になる点について質問ができる
- ほとんどの機能が無料会員でも利用できるようになっている
レシピ系アカウントが乱立するInstagramにおいて、「Kurashiru」は200万人を超えるフォロワーを獲得してします。株式会社delyにとって「Kurashiru」のWebサイトやアプリが商品・サービスであるのならば、そのブランディングや認知拡大という役割を担うオウンドメディアは、このInstagramといえるでしょう。
Instagramでは、本サイト・アプリで紹介しているレシピ動画を公開しています。一方、ハッシュタグ「♯kurashiru」で投稿するユーザーの数(ファン)も多く、企業投稿と並行してバイラル的に認知度が急成長していると思われます。また、メディア展開の中心であるKurashiru以外にも、ライフスタイルSHOP「クラシルセレクト」など様々なInstagramアカウントを運営しています。
なお、Instagramのプロフィールには「クラシルミートキット」という人気レシピを販売する自社ECサイトへのURL導線があります。
注目すべきポイントとしては、とにかくコンテンツのクオリティが高いということ。
kurashiruは、TVコマーシャルといった高額な費用を投資した広告を打って初期認知度の拡大を図りましたが、その前提は高品質なコンテンツありき、ということでしょう。現在においても、Instagramのフォロワーが増加している大きな要因はそこにあります。
古着女子
「古着女子」は、ZOZOの傘下になったことも話題になった株式会社yutoriが展開するECサイトのメインチャネルとして、日々拡大を続ける日本最大の古着コミュニティです。
常識にとらわれない新しい世代の起業家として注目を集める片石貴展氏が、2017年12月にInstagramに「古着女子」というアカウントを開設し、現在までにフォロワーを33万人ほど獲得しています。
特徴
- お洒落な若い世代の女子がターゲット
- UGCによって拡大
- リポストメディア
注目すべきは、商品・サービスの宣伝のためにInstagramを始めたのではなく、片石貴展氏がInstagramアカウントを立ち上げたことによって、株式会社yutoriがスタートした点です。
それゆえ、他企業のアカウントとは根本的に役割と活用方法が異なります。Instagramアカウント「古着女子(furuzyo)」は、オウンドメディアのソーシャルメディア展開ではなく、「オウンドメディアそのもの」と考えた方がその実態を正しく捉えているでしょう。
Instagramでは、上記で紹介したGoProと同じようにUGCによってメディア展開が行われています。古着によるコーディネートをリポスト(ほかのアカウントが投稿した画像を、再度自身のアカウントで投稿すること⇒シェア)することで、集客、認知拡大を図っているのです。
リポストする画像は運営者によって厳選されているため、フォロワーは求めている情報をまとめてみることができます。また一方で、自身の画像がリポストされるというのはある種のステータスになることから、ユーザーは競い合うようにして@furuzyoや#フルジョというタグをつけて投稿します。
メリット
Instagramを用いることでGoProの場合と同様に、ユーザーの承認欲求を上手く突いて、UGCを効率よく収集するフローが出来上がっています。ですからメリットとしては、コンテンツ制作に関する工数・費用がまったくかからず、「古着女子」に関するタグをつけている画像の中から、質の高いものを選ぶだけで良いのです。また、SNS特有のバイラル的な知名度の拡散も無視できません。企業ではなく、ユーザーによってメディアが拡大していく好例といえるでしょう。
なお、「古着女子」Instagramアカウントには、いたるところに自社ECサイトへの導線が用意されています。ECサイトは、無料のネットショップ開設サービスによって用意されており、ここでもリソースの節約が実現されています。
続いて紹介するのは、日本ではコミュニケーションアプリ「LINE」に続いて第2位の月間アクティブユーザー数を誇るSNS「Twitter」です。男女と問わず若年層の利用率が高いところが特徴的で、月間のアクティブユーザー数は4,500万人を超えるほどです。
一般的なユーザーは実名ではなくハンドルネームを使用する傾向にあり、実名を公開しているのは有名人などに多いようです。そのためか、フォーマルでしゃちほこばったようなツイートはあまり見かけられず、率直で親しみのある会話の延長線上のようなやりとりが好まれる傾向にあります。
シェア・拡散されやすいツイートとしては、
- 面白い
- 話題性
- 感動的
- 役立つ
などが挙げられます。
ユーザーは企業による宣伝・広告の匂いに非常に敏感な傾向にあります。企業としては、露骨にサービスや商品の宣伝をするのは避けた方が良いかもしれません。一方でPRを行った方が良いという場合もあります。
これから紹介するTwitterを活用している企業は、宣伝・PRの要否における絶妙なバランスを保ち、ユーザーが興味・関心を寄せるような内容を発信するように心掛けています。
その代表的な例といえるのが、大手電機メーカー「SHARP」のTwitter活用でしょう。
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SHARP シャープ株式会社
日本を代表する大手電機メーカーのSHARPは、2011年より製品のPRや消費者とのコミュニケーションを目的としてTwitterの運用を開始します。現在(2020年10月)のフォロワー数は82万7千人。
実際にSHARPのツイートに触れてみると、我々が普通想像するような企業の情報発信というイメージを覆す新鮮な驚きがあります。Twitterの特性を活かし、堅苦しさの一切を排したフランクなツイートは、当時からすれば革新的なものでした。
▼役立つツイートも
ツイート内容からもお分かりいただける通り、とにかくフランクで率直な印象があります。ユーザーへの返信(リプライ)も怠らないところにも親しげなイメージを与えるのに一役買っていると言えるでしょう。売上に直結するような施策というよりも、認知拡大やブランディング、もっと具体的に言えば「親しみ」を感じさせるような、ある種のイメージ戦略なのかもしれません。
「企業公式アカウントなのにこんな気安いの!?」というギャップが、SHARPのTwitter運用・ソーシャルメディア展開の要となっています。なお、SHARPのTwitter運用は二重の意味で数多くの企業フォロワーを生み出しました。
忘れてはならないこととして、あくまでもターゲットがTwitter利用者のメインである若年層(語弊をおそれずに言えば冗談が通じるクラスタ)、であるからこそできる情報発信・ソーシャルメディア展開の方法であること。そして、決して製品のPRをまったくしないわけではないこと。適度に事業や製品紹介を混ぜながら、親近感の湧くツイートを頻繁に発信することで、熱しやすく冷めやすい一般ユーザーからの支持を得続けているのでしょう。
なお、ドリンクやお菓子類に関する宣伝・PRは、積極的にツイートしていくべきかもしれません。というのも、ユーザーの過半数がSNSで知った商品やサービスを実際に購入するという調査結果があるからです。中でも手頃な価格であるドリンクやお菓子類はその比率が高いと言われています。
前澤友作┃お金配りおじさん(Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作/元ZOZO社長)
2019年年始、当時ZOZOTOWNを運営していた前澤友作氏が企画した「総額一億円のお年玉」キャンペーンが大変な話題を呼びました。(なお、2020年10月現在、毎日10名に10万円を配るキャンペーンを継続中です)
この企画は、ZOZOTOWNの新春セールが史上最速で取引高100億円に突破したことを記念して、前澤社長が自らのポケットマネーで総勢100名に1億円を配るというものでした。参加方法が前澤社長のTwitterアカウントをフォローして、当該ツイートをリツイートするだけという手軽さから、未曽有のユーザーがこのキャンペーンに飛びつきました。
結果として、当該ツイートはおよそ、
- インプレッション:184,000,000回
- エンゲージメント総数:38,000,000回
∟リツイート:5,300,000回
という衝撃的な数値を記録しました。なお、このリツイート数は世界記録となっています。
このキャンペーンに対しては、多くの賛否両論の声が各方面から上がりました。しかしながら、前澤友作氏、ひいてはZOZOという企業におけるプロモーションとして絶大な効果があったということは、もはや解説するまでもないでしょう。
上記のような例は特殊かもしれませんが、Twitterを活用して懸賞などのキャンペーンを打つ企業は非常に多くなっています。もしも、可及的速やかにフォロワーを獲得したい、あるいは知名度を上げたいと考えているのであれば、ユーザーの興味・関心をひくキャンペーンを企画し、広告などで宣伝するというのは、かなり確度の高い施策かもしれません。Twitterにおけるソーシャルメディア展開のひとつの手法として参考になるものだと思われます。
企業でTwitter運用するならSNS分析ツールがぴったり!
▼なお、企業の活用事例について、Twitterが公式で紹介しています。大変参考になりますので、こちらも併せてご覧ください。
⇒活用事例 – Twitter Marketing
Youtube
Google検索に次いで、世界第2位のアクセス数を誇るプラットフォーム「Youtube」
世界で最も多く閲覧されているソーシャルメディアの一つであり、男女問わず幅広い年齢層が利用しています。日本国内において利用者数は6200万人を超え、10代~20代の約95%が日々閲覧しているという統計結果が出ています。
ほかのソーシャルメディアの場合と同じように、Youtubeチャンネルをオウンドメディアの一つとして活用している企業は多く、年々増加傾向にあります。
親和性の高い領域として、音楽、TV、映画、アニメ、ゲームが挙げられます。というのも扱っている商品・サービスが、視覚や聴覚、あるいはその両方に直接訴えかけるコンテンツだからです。実際に、この領域に属する企業は積極的にYoutube を活用しています。
とはいえ、ほかの業種だからといってYoutubeと相性が悪いわけではありません。これから紹介する企業は、自社商品・サービスと動画コンテンツを巧みに融合させることで、Youtube展開を行っています。
マルキユー株式会社
釣りエサ、釣り具の製造販売を行う株式会社「マルキユー」は、Youtubeを活用したメディア展開を推進しています。
もともと釣り愛好家の間では知名度の高いメーカーではありますが、Youtubeを通して新たな顧客層の獲得、社名・商品・サービスの認知拡大、既存顧客のファン化を目指しているように考えられます。
チャンネル登録者数は4万人を超え、月に5~6本、これまでに660本以上の動画を公開しており、総再生回数は3000万回近くを数えます。
動画の内容は、おもにマルキユー製品のエサを使った釣り映像がベースになっています。ただ、エサを紹介するだけでなく、ほかにも釣りのテクニックを教える動画など、TV番組並みの高品質なコンテンツを公開しているので、既存・新規関係なくユーザーが楽しめるチャンネルになっています。
チャンネル登録者数はそのままマルキユーのファン、および見込み顧客だと考えることができます。日を追うごとに総再生回数とチャンネル登録者数は増加しているので、Youtubeによるメディア展開としての効果は発揮され続けていると考えて良いでしょう。
なお、チャンネルの概要欄には自社サイト(オウンドメディア)へのリンクが張ってあり、導線が確保されています。とはいえ、Youtubeチャンネル自体がオウンドメディアとしての機能を果たしているので、どうしても自社サイトへ流入してほしい、というわけではなさそうです。マルキユーの自社サイトはコーポ―レートサイトかつオウンドメディアとしての役割があり、製品情報や釣りに関する多種多様な情報とともにYoutubeの動画が埋め込まれています。
リンク:マルキユー
日本政府観光局-JNTO
日本政府観光局(JINTO)は正式名称、独立行政法人国際観光振興機構といい、おもに訪日外国人観光客誘致のためのプロモーションやマーケティング活動を行う組織です。外国人観光客の来訪促進や受け入れ対策、国際観光に関する調査や出版物の刊行といった業務と並行して、ソーシャルメディア展開による認知度拡大、ファン育成というWebマーケティング施策を行っています。
ソーシャルメディアはFacebookやTwitter、Instagramなどを活用していますが、ここで紹介するのはYoutubeです。
チャンネル「visitjapan」の登録者数は8万人ほどで、総再生回数は2億2千万回を超えています。チャンネルの開設日は2006年の9月。動画が初めて投稿されたのは2014年であり、その後、現在(2020年10月)まで430本以上の動画を制作・公開しています。
動画の初公開からしばらくは、再生回数が1,000を割るような状況が続き、Youtube施策における成果は全く得られていなかったように思われます。しかしながら、2016年11月に投稿された動画「JAPAN – Where tradition meets the future | JNTO」により状況は一変しました。
「JAPAN – Where tradition meets the future | JNTO」は、プロによって撮影・編集された日本を紹介する3分間の動画であり、これが世界的な話題になりました。国内国外問わず、様々なキュレーションサイトで取り上げられ、SNSでは広く拡散。動画の再生回数は940万回を超えています。
この結果、チャンネルの知名度は大幅に上昇します。以降の投稿では数十万回再生が増え、さらには数百万、一千万を超える再生回数の動画も出現しはじめました。
このことは、冒頭で述べたようにJNTOの活動の主目的の達成に貢献していると考えてよいでしょう。つまり、近年の訪日外国人観光客数増加の要因である観光立国としてのブランディングに、少なからず影響を及ぼしたのは間違いないということです。
「visitjapan」のYoutube施策における成功から得られる教訓は、ひとつでも動画をバズらせることができれば、爆発的に知名度があがる可能性があるということ。そしてそのためには、競合を圧倒するようなクオリティの高いコンテンツを作る必要があるということです(適宜プロの協力を仰ぐことも必要)。
Youtube施策まとめ
Youtubeにおけるソーシャルメディア展開について、二つの事例を紹介しました。
マルキュー株式会社、JNTOはおもに以下の三点、
- 提供している「商品・サービス」と「動画によるコンテンツ発信」の相性が良い
- しっかりとした戦略を練っている
∟定期的にコンテンツを発信している - コンテンツが高品質
を満たすことで、Youtubeチャンネルをオウンドメディア化させ、各々の目的を達成していると考えられます。
世界最大級のプラットフォームであるYoutubeですが、参入している企業は他のソーシャルメディアと比較すると、いまだに少なという状況です。もしも自社の商品・サービスと動画コンテンツの相性が良いのであれば、Youtube施策をソーシャルメディア展開の一つに加えてみてもいいかもしれません。
問答無用で世界を代表するソーシャルメディア「Facebook」
全世界の月間アクティブユーザー数は、約23億8,000万人で、まだまだ増加傾向にあります。LINEやTwitterなどには劣りますが、日本においても月間に約2,800万人のアクティブユーザーが存在します。特徴的なのは、中小企業を代表にビジネス目的のページが増加している点です。
FacebookはTwitterやInstagramと比較すると、実名登録が基本ということもあってフォーマルな特色を持ったソーシャルメディアです。何かに特化しているといよりは、多種多様なコンテンツに対応しています。企業が注目すべき点として、ターゲット指定の精度が非常に高いので広告を考えているのであれば便利でしょう。
それでは実際にFacebookを活用している事例をみていきます。
Relux
株式会社Loco Partnersが運営する高級ホテル・旅館の会員制宿泊予約サイト「Relux」は、Facebookを活用した事例として有名です。
競合他社よりも早々にSNSマーケティングに目をつけ、様々な施策を次々と展開、2017年には「Relux」全体のトラフィックのうち60%以上がFacebookを経由するほどにまでなりました。
2020年10月現在、Facebookページにおいて115万人いいね、113万のフォロワーを獲得しています。間違いなくソーシャルメディア展開の大成功例の一つといえるでしょう。
ReluxのFacebookページの特徴として、目を奪うような美しい画像とともに紹介される一流宿泊施設の投稿が挙げられます。思わず見入ってしまうような絶景や旅館の写真は、エンゲージメントの獲得にとどまらず、ソーシャルメディア戦略の大きな要になっていると思われます。
投稿には抒情的で簡潔な文章とハイクオリティな写真、そしてRelux本サイトの宿泊プラン詳細ページへのリンクが張られています。この投稿が数時間おきに定期的に投稿されます。
Facebookでの成功の陰には、徹底したグロースハック戦略があるようです。データを集め、改善案を考察、ABテストなどで検証、実施、効果測定(データ収集)というPDCAサイクルから、効率の良いFacebook運用を導き出しています。
たとえば、画像ひとつをとっても、景色か旅設か、両方か。また旅館の中だとすれば、ロビー、客室、お風呂、料理、どれを選んで投稿すれば効果的なのか。このような難しい選択にも、ユーザーの反応をチェックしながら何度も検証することで、エンゲージメントに結びつけていくことに成功したそうです。
また、ただ投稿しているだけでファンを増やすというのは難しいことから、ローンチ当初は多額の費用を投資してFacebook広告の運用を行っていたとのこと。上述した通りFacebookはターゲットを絞るのが得意なSNSです。効率的に集客する必要があり、費用を割く余裕があるのであれば、積極的に広告を出して知名度上昇、コンテンツの露出を図っていくのが良いようです。
まとめ
今回は、オウンドメディアの一環として各種ソーシャルメディアを巧妙に活用している企業(個人)の事例をいくつか紹介しました。
日々、Webマーケティングは進化しています。SEOやSEMなどの検索エンジンだけに頼った集客はもはや時代遅れなのかもしれません。目まぐるしく変化するWebマーケティングの潮流に乗り遅れないためには、今後さらに拡大・普及していくと予想されるソーシャルメディアの活用が喫緊の課題だといえるでしょう。
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