マーケティングに必須のフレームワーク20選を完全図解!マーケ戦略の立案・実行・分析に
ビジネスの様々な状況下に対応できるように、思考整理・現状理解・顧客理解/分析・目標設定・改善における、マーケティング・ビジネスフレームワークを用意しました。それぞれ分かりやすく図を用意し、解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マーケティングにおけるフレームワークの役割
ビジネスにおける「フレームワーク」は、思考・課題抽出をおこない、課題を解決するために確立された枠組みを指します。施策を最短で成功に導くために活用する共通言語のようなものと認識いただければいいでしょう。
施策の立案・実行を行うにあたり、様々な段階で課題が発生することがあります。そういったときに、フレームワークを活用することで「そもそも課題がどこにあるのか」「課題を解決する糸口はどこにあるのか」「解決策はうまく回っているのか」等、課題解決のためのお手伝いをする役割を果たします。
フレームワーク活用の注意点
フレームワークは、活用することが目的ではなく、その先の成果を創出するために存在するものです。あくまで「手段の一つ」であるという認識を忘れてはいけません。フレームワークを活用することにこだわるのではなく、臨機応変に最適なフレームワークを選択できるよう「知識として知っておく」ことが大切となります。
一方で、先述したように「フレームワークは共通言語」としてチームのコミュニケーションを円滑にする役割を持っています。当記事で、マーケティングフレームと各フレームワークのポイントと考え方をそれぞれ紹介しますので、自身の思考を整理する際にはもちろん、チームで議論する際の「共通言語」としても活用してみてください。
さて当記事では、以下の5つのフレームワークについて図解で解説していきます。
- 思考整理のためのフレームワーク
- 現状理解のためのフレームワーク
- 顧客理解/分析のためのフレームワーク
- 目標設定のためのフレームワーク
- 改善のためのフレームワーク
思考整理のためのフレームワーク
マーケティング、ひいてはビジネスにおいて施策を立案し、実行していくにあたっては、必ず「思考」が伴います。以下で解説する「MECE」と「ロジックツリー」という二つのフレームワークは、ビジネス・マーケティングで思考する際に意識したい考え方や、自分の思考した結果(アウトプット)をセルフチェックする際に活用することができます。
思考を補助するものであるため、毎回見返すというよりは、身に着けることを目指しましょう。
MECE(ミーシー・ミッシー)
MECEは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字をそれぞれとったもので、「相互に 重複しておらず、集合として完全である」ことを意味します。論理的思考(ロジカルシンキング)の基本的なフレームワークであり、言い換えると、全体集合から物事や事象を分類していく際に「モレなく、ダブりなく」整理をおこなう際の考え方です。
「モレなく、ダブりなく」整理を行うMECEでは、例えば、市場のセグメント分けを行う際に「一部のターゲットが重複するセグメンテーションをおこなっていないか」「一部の層を見逃していないか」を確認する際に活用できます。
MECEは以後紹介するフレームワークの中でも通奏低音のように流れている、根本的な考え方になります。各要素の切り口に大きな差異はないかなどを意識しながら分解を行うと、MECEな思考整理ができます。
上図では、要素の切り口が「MECE」である例と要素の切り口が「MECEでない」例を比較してみました。左側のように要素の切り口がMECEだとすべての花が綺麗に分類できますが、右側のようにそれぞれの要素がMECEではない場合は抜け漏れが発生してしまいます。
たとえば、サクラは「バラ科」であり「ピンクの花」、かつ「双子葉類」なのでダブりが発生してしまいまいますし、「白いユリ」は単子葉類でユリ科、そしてもちろん色はピンクではないのでどこにも分類できない…というように抜け漏れが発生してしまいます。
抜け漏れ・ダブりの発生をふせぐためにも「要素の切り口が一定であるか」を意識した上で思考整理をしてみるといいでしょう。
ロジックツリー
ロジックツリーもMECE同様、論理的思考を手伝う手法のひとつです。
ロジックツリーは、一つの事象や問題点を、複数の要因・要素に分解していくものとなります。
ロジックツリー作成には、現在起きている事象を複数の要因・要素に分解していくフローが発生します。この流れの中で、一見複雑な事象が複数の解決可能な要因で構成されていることが可視化されます。
一例として、「昼間なのにねむたい」という事例を取り上げてみましょう。
昼間なのにねむたい、という事象のみを見ているだけでは何から解決していくべきかわからないため、まず、昼間なのにねむたい原因をいくつかに大別します。
すると、昨晩夜ふかしをしたこと、お昼に糖分を摂取したこと、気温がちょうどいい、の3つが昼間なのにねむたい原因だと見えてきます。さらに、そこからさらに要因を分解していくと、いくつかの解決可能な事象で課題が構成されていることが見えてきます。
ロジックツリーの作成のメリットは、それぞれのメンバーが問題解決にあたり、何をすればよいのか、共通理解を持つことができる点です。チームで向く方向を統一するために、推進力をもって動かす必要がある課題の分解に活用するといいでしょう。
現状理解のためのフレームワーク
新たな施策を考える前に、ビジネスを展開しようと考えている市場や周辺環境について、現状を正しく理解することは欠かせません。この章では市場・自社・ビジネスモデルの三点について、現状を正しく理解するためのフレームワークを解説します。
市場理解
ビジネスを展開する領域を決めるにあたり、現在、対象となる市場や業界、情勢がどのようになっているかを理解する必要があります。
このような市場理解に役立つのが、以下の5つのフレームワークです。
- PEST分析
- 3C分析
- 4C分析
- 4P分析
- STP分析
PEST分析
PEST分析はPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)4つの外的環境から対象の業界をマクロ的な視点で紐解いていくフレームワークとなります。
例えば、政府が対象の業界に対して厳しい法整備を行っている最中に、サービスを開発・リリースしたとしても、市場的に逆風が吹く中で事業を成長させることは困難となるでしょう。一方で、対象事業の利用に補助金を給付する制度の発表があれば、市場環境が事業を後押しし、利益が出るまでにあまり時間がかからない、ということが考えられます。
このように、<PEST>で構成される外的環境の変化は、自社の事業戦略で状況を変えられるものではありません。そのため、事業戦略を練る前に予め外的環境を分析し、事業判断を行うといいでしょう。
3C分析
3C分析はCustomer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3つの観点について分析を行う手法で、先述したPEST分析と比較するとミクロな視点の分析となります。
分析を行う際、特に自社の分析が絡むものについては主観的・感覚的な情報を入れ込んでしまう方が多いです。しかし、3C分析を行うにあたっては市場・自社・競合それぞれについてポジティブ/ネガティブの両側面を第三者から見た、客観的事実に基づいた分析を行うのが重要となります。
施策実施を行うチーム内外の人を巻き込んで、複数の視点から分析していくことが、現状を正しく理解するために必要です。
3C分析については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。
「3C分析とは?マーケティングフレームの基礎から競合と市場を分析」
4C分析
4C分析はCustomer Value(顧客価値)、Customer Cost(顧客の経費・負担)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)それぞれの頭文字をとったもので、消費者視点での分析を可能とするフレームワークです。
4C分析は、現状の買い手 / ユーザーに絞った分析を行うため、マーケットイン(市場視点)でどういった戦略を行っていくかを考えるフレームワークとなります。
■Customer Value:顧客価値
顧客がある商品やサービスに対して感じる「価値」を示す指標です。ここでの定義はあくまで「顧客が感じる価値」なので、製品が実際に持つ価値や機能性に加え、ブランドや企業に対してのイメージも踏まえたものとなります。
■Cost:顧客の経費・負担
顧客が商品・サービスの購入にどれくらいの支払いをおこなうか、また、時間を費やさなくてはならないかを考える指標です。
■Convenience:利便性
顧客が商品を購入する際やサービスを受けるにあたっての、「購入場所」や「支払い」等に関する利便性の指標です。購入場所では、オンラインか実店舗か、実店舗ならどこに店舗にするか、また、支払いに関しては、決裁方法や決裁の条件などを踏まえて考える必要があります。
■Communication:顧客とのコミュニケーション
顧客が情報を収集する中でどういったコミュニケーションを行うのが適切かを考える指標です。TVCMやセミナー、SNSやSEO等、様々な施策がある中で顧客の行動を理解して施策を設計することが好ましいでしょう。
アップルがiPhoneをリリースして新たにスマートフォン市場を開拓したのとは異なり、どちらかといえば4C分析は、すでに成熟している市場においての事業戦略の実行 / 検討を行う際に活用するのが一般的です。
4P分析※ブランド理解
4P分析はProduct(プロダクト:製品)・Price(プライス:価格)・Place(プレイス:流通)・Promotion(プロモーション:販売促進)それぞれの頭文字をとったものです。企業活動にベクトルを向けて分析を行うフレームワークとなっており、先述の4C分析がマーケットインであるのに対し、プロダクトアウト(企業視点)でマーケティング活動を考えるものとなります。
各Pについては以下図を参照してみてください。
マーケティング戦略を考える上では、マーケットイン・プロダクトアウト両方の視点をもった分析が必要となります。4C分析・4P分析それぞれを行った結果を鑑みて施策に落とし込んでいくといいでしょう。
STP分析
STP分析はSegmentation(市場細分化)、Targeting(狙う市場の決定)、Positioning(自社の立ち位置の明確化)の三つのステップで分析を進めていくフレームワークです。この手法は市場全体における自社製品やサービスの強みを見極め、自社がどの領域を狙いに行くべきかを固める非常にポピュラーな考え方となります。
(セグメンテーションによって)細分化した市場の中から、自社の強みや第一想起をとりやすい市場(ターゲティング)、およびそこでの立ち位置を狙いに行く領域を確立する(ポジショニング)を目的とし、自社が競合優位性を取りやすい領域でビジネスを行うために必要な現状分析ができる考え方となります。
自社理解
ビジネスを展開しようと考えている市場について、現状を正しく理解したあとは、自社の立ち位置や既存事業を分析した上で施策の実行について具体に落とし込んでいきます。
こちらでは自社理解に活用できる5つのフレームワークをお伝えします。
SWOT分析
SWOT分析は内部環境を分析するStrength(強み)Weakness(弱み)、外部環境を分析するOpportunity(機会)Threat(脅威)を埋めていくことで、企業の現状を理解し、戦略の立案の基盤を築くフレームワークです。
SWOT分析は、自社の社内リソースと、自社をとりまく外部要因を照らし合わせて分析することで、今後挑戦できる市場領域や解決すべき事業課題が見えてくるのが特徴的です。
また、SWOT分析を行ったあとは、内部環境と外部環境をかけ合わせ、現状分析を戦略に落とし込む「クロス分析」を行うといいでしょう。以下図参照。
SWOT分析とクロス分析をうまく活用することで、ビジネス機会の最大化・リスクの最小化を実現させる戦略立てが可能になります。
詳細については以下のページで具体例も交えて説明しているのであわせて参考にしてみてください。
「SWOT分析とは? 事例から方法やコツ、注意点を解説」
バリューポートフォリオ
バリューポートフォリオは、現在行っている事業を「企業のビジョンとの整合性」と「事業としてのROI」のバランスを4象限で評価していくフレームワークです。
ビジョンとの整合性は、「企業が掲げるビジョンにかなった事業であるか」を考える経営視点であり、一方、ROI(投資収益率)は事業投資額に対して、しっかり利益回収できているかの株主視点の指標です。
企業としてどの事業にリソースを投下すべきか、または事業撤退すべきでないか、を図る指標として役立つフレームワークです。施策単位でも、ビジョンとROIから「推進・撤退」の判断ができるようになるので、応用して使ってみましょう。
バリューチェーンモデル
バリューチェーンモデルは、「一連の事業活動を俯瞰して、顧客満足を生み出し利益を創出するにはどこに目を付けるべきか」、というポイントを見いだすための思考フレームです。
バリューチェーンモデルでは、企業活動を商品材料の調達や商品の提供、消費者へのサポートなどの活動をまとめた「主活動」と、滞りなく主活動を行うために必要となる「支援活動」に大別します。
上図のように主活動と支援活動それぞれの工程を個別に分析することで、どの工程でどれだけの付加価値を生み出せているかを可視化するフレームワークとなります。
付加価値、といっも分かりづらい部分があると思うのでここではパンを例に考えてみましょう。
購買・物流では、まずパンを作るために必要な「小麦」「牛乳」「バター」等の原材料を仕入れます。しかし、当たり前ですが原材料の状態ではお客様は食べることができません。そのため、「製造」という主活動を通して、原材料を「食べられる」ものにする(パンにする)のが購買から製造までにステップで価値として付与されます。
その後のステップ「出荷」における付加価値は、製造されたパンをお客さんが「買える」場所に移動させることにあります。
また、上記のようにそれぞれのステップにおける付加価値・各工程における問題点を可視化、競合と比較することで、「ビジネスモデル」の強みや弱みが明らかになる点もバリューチェーンモデルの特徴です。競合のバリューチェーンと自社のバリューチェーンをそれぞれ比較し、自社にしかない強みは独自性として残しつつ、他社より弱みとなっている点は効率化やコストカット等を通して補完していくことを意識するといいでしょう。
5forces分析
5Froces分析は、事業活動に影響を及ぼす可能性のある5つのフォース(脅威)である「競合他社」「代替品」「売り手」「買い手」「新規参入」それぞれについて、整理をおこない、自社の事業に影響を及ぼしかねない要素を事前に明確にするためのフレームワークです。
上図のように自社事業と周辺の要素を可視化することによって、以下の4つが明確になっていきます。
- 何が脅威となるのか
- 何に対抗しなくてはならないのか
- 事業参入領域の収益構造はどうなっているのか
- 周辺要因と比較して何にリソースを投下していくべきか
上記明らかになる項目からもわかる通り、市場への新規参入、新サービス・製品の開発・販売などの戦略立案の際に、その成否を予測・検証したりするのに非常に有用です。
現状と今後起きうる脅威などを理解し、限られたリソースを最適な形で分配して事業を行うために必須のフレームワークといえるでしょう。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、顧客セグメント・価値提案・チャネル・顧客との関係・収益の流れ・リソース・主要活動・パートナー・コスト構造の9つの要素で構成された、ビジネス構造を可視化するフレームワークです。
ビジネスモデルキャンバスは、想定している顧客や、その顧客にどういった価値を提供するかを整理し、ビジネスモデルにおける強み・弱みがどこにあるのかを可視化します。
例えば、以下ではスポーツ自転車をレンタルする架空の会社のビジネスモデルキャンバスを作成したものです。
想定ターゲットを明確にした上で、活動やパートナーについて分析するので収益までの全体感を意識した設計が可能になるのが特徴です。そのため、新規事業を行う際、社内で共通認識を持ちたい場合や、既存事業の見直しを行いたい場合に、活用することが一般的です。
顧客理解/分析のためのフレームワーク
ここまでは市場や自社の理解のために活用できるフレームワークについて言及してきました。この章では、より視点をミクロに移し、「顧客の行動理解・分析」のためのフレームワークについてお伝えしていきます。
顧客がどういった行動を行うのか、顧客をどのように分析するのかを理解することでそれぞれのターゲット顧客に「カスタマイズ」した施策を打つことができます。この章では、「企業との接触までの行動理解」と「企業と接触後の行動理解」にそれぞれフェーズを分け、6つのフレームワークをご紹介します。
顧客接触までの行動理解
以下の章では、顧客が製品、ブランド、もしくは企業に接触するまでの行動を理解するためのフレームワークについて言及します。
前述した顧客や市場全体の顧客について理解することはもちろん重要ですが、購買行動におけるそれぞれの段階の顧客の心情や意識正しく認識することで、顧客フェーズへ次の段階に効率的に移行させる施策を行うことが可能になります。
AIDMA(アイドマ)
AIDMAは顧客が購買決定までに踏むプロセスを表したフレームとなっており、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)それぞれの頭文字をとったものです。
AIDMAではユーザーがどういった心理で、購買に対する態度変容を起こすのか、また、そのためにそれぞれのフェーズにいる顧客に対してどのような施策を行うべきかを考える際に有効な構成になっています。
AISAS(アイサス)
AISASは、インターネットの普及に伴い、ユーザーの購買行動に起きた変化に応じて、先述したAIDMAから派生したもので、Attention(認知・注意)・Interest(興味・関心)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)それぞれの頭文字をとったものです。
インターネットの普及に伴って、顧客の購買プロセスは「購買」で終わるのではなく、購買後における購入者の情報発信も当たり前のものになりました。消費者は購買体験を経たあと、購入品や体験に対して口コミの投稿等で、周囲に共有します。いわゆる「シェア」です。
顧客は企業発信のプロモーション情報よりも、自分のような顧客が商品に対してどう感じたのかといった口コミ情報を重視・参考にする傾向にあります。したがって、Webマーケティングでの施策を行う上でこの顧客の行動、ないし態度変容の理解を行うことは、非常に重要となります。
この一連の流れを「AISAS」モデルとして捉えています。
SIPS(シップス)
SIPSは、Sympathize(共感する)Identify(確認する)Participate(参加する)Share&Spread(共有・拡散する)それぞれの頭文字をとったもので、SNS中心の購買心理モデルを示しています。
SIPSモデルでは、会社の理念や社会活動等のブランドへの共感と、生活者が発信した情報を起点に顧客が生まれると想定しています。
顧客が態度変容を経て、購買・もしくはブランドの活動に参加したあとに情報を発信することでその情報への共感者が次の顧客になりうる…というフローで顧客が循環していくイメージとなります。
DECAX(デキャックス)
DECAXもSIPSと同じくSNSの活用を視野にいれた消費者行動モデルとなります。
Discovery(発見)Engagement(関係構築)Check(確認)Action(購買・行動)eXperience(体験と共有)それぞれの頭文字をとったもので、消費者がそれぞれの行動フェーズに応じてたくさんの情報にふれることを前提としたフレームです。
DECAXでは顧客がEngagementとCheckを行き来することから、購買まで有益な情報を提供し顧客接点を持ち続けることが重要と考える方も多く、このモデルでの分析を通して、コンテンツマーケティングにマーケティング戦略の主軸を担わせる判断を行う企業も少なくありません。
※コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値あるコンテンツを作り、顧客に伝え、潜在顧客との接点を得ることに焦点をあてたマーケティング戦略のひとつを指します。
接触してからの行動理解
続いて顧客が企業と接触(お問い合わせや初回購買等)を行ったあとの顧客行動を理解するためのフレームワークについて見ていきます。
RFM分析
RFM分析は、Recency(直近の購買)、Frequency(頻度)、Monetary(購入金額)で現在自社と関わりのある顧客を分析する手法です。
あくまで以下は一例ですが、ECサイトを運用する企業であれば……
■最新購買日が直近・来店頻度が高い・購入金額の総額が高い顧客を優良顧客
⇒優良顧客は「お得意さま」の意識・ロイヤルティを高めたいので、次回製品購入時に〇〇をおまけとしてプレゼント。
■最新購買日が直近・来店頻度は低い・購入金額の総額が低い顧客を新規顧客
⇒新規顧客には「なにに興味があるユーザーか」を理解したいので、何種類かステップメールを送ったのち、効果の高い要素で来店促進、育成していく。
■直近で製品を購買していない・来店頻度が低い・購入金額の総額はそこそこの顧客を離反顧客
⇒離反顧客は誕生日やギフトのタイミングで確実に来店させ、再度接点をもちたいので次回イベントごとのタイミングで「¥1000円オフ」のクーポンを配布。
……のように3つの要素に応じて顧客の区分し、それぞれの顧客にたいして個別アプローチを行っていくという考え方になります。
マーケティングファネル
マーケティングファネルはユーザーの購買行動に伴い、対象のユーザーの総数が変遷していく様子を図式化したものです。
一般に購入までの段階である「購入ファネル」においては、認知→興味・関心→比較・検討→購入、と段階を踏むにつれユーザーの総数が減っていく様子を漏斗(ろうと)のように示しており、購入後の「影響ファネル」においては、継続→紹介→発信と段階を踏むにつれ、顧客が商品情報を拡散する役割を果たす様子を三角形で示しています。
対象顧客がファネルのどこにいるのか仮定し、プロセスごとにマーケティング施策を思案する際などに用います。
マーケティングファネルについては、以下のそれぞれが状況に応じて使い分けられます。
- 認知から購入までを示した「購入ファネル」
- 購買後の継続から発信までを示した「影響ファネル」
- 認知から発信までを示した「ダブルファネル」
現代においては、購買者はSNSや口コミサイトを通して情報を発信し、その情報が次の顧客への宣伝の役割を担うことから、ダブルファネル的な考えが一般的です。
個別の顧客によってニーズや求められる対応策は変わるので、一概に「このフェーズにいるユーザーにはこの施策」と決め打ちで施策を決めるのは好ましくないですが、全体感の把握、理解、また、次のフェーズに移行させる動機づけを考えるために非常に有用なマーケティングモデルの一つです。
目標設定時に使うフレームワーク
マーケティング施策を実行する際には、施策開始の前に正しい目標設定を行うこと、そして正しく振り返り、改善していくことが欠かせません。この章では適切な施策実行に必要な目標設定の質を高めるために活用できるフレームワークをご紹介します。
SMART
SMARTはSpecific(具体的か)・Measurable(計測可能か)・Achievable(達成可能か)・Related(関連性があるか)・Time-bound(期限があるか)の頭文字をとっており、目標設定の際にチェックすることで、質の高い目標を設定するために活用できるフレームワークです。
目標設定が抽象的であれば、目標達成のための手法も抽象的になってしまいますし、目標が計測できないものであれば、達成したかの振り返りができず、成果に対して正しく評価ができない可能性があります。
目標設定の質はその後の施策実行や振り返りに大きく影響します。
目標については上記指標を参考に、適切なものが作れているのかチェックしつつ設定するといいでしょう。
KGI/KPI/KDI
KGI / KPI / KDIは、最終達成すべきゴール=KGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標)から逆算し、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)・KDI( Key Do Indicator =行動回数の記録数値)を設定するフレームワークです。
最終目標を中間目標・アクション目標に落とし込むことで、最終目標から逆算して組織内の各人が何を行うべきかが明確になります。
また、万が一最終目標が達成に至らなかった際に、どこに要因があったのかが明確になるため、次回以降の改善への取り組みスピードも高められるメリットがあります。上図からもわかる通り、構造としてはロジックツリーが根幹にあります。
なおKPI/KGIに関しては、以下の記事で解説していますので併せて参考にしてみてください。
「KPIとは?業界ごとの具体例や設定のコツをわかりやすく解説」
改善フレームワーク
施策立案・実行までのフレームワークを見てきましたが、施策は行って終わりではなく、間断なくブラッシュアップしていく必要があります。
そこでこの章では、有名なPDCAサイクル含め、改善に関するフレームワークを紹介します。細かに振り返りを行い、適宜改善を行うことで成果を最大化しましょう。
PDCA
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の順で施策の計画→改善を繰り返していくフレームワークです。非常に有名であるため、普段から利用している方も多いでしょう。
計画を立て、実行した後、過程・結果を評価し、改善すべき事項を明らかにした上で、次回以降の計画に生かしていくのがPDCAサイクルです。
PDCAサイクルを適切に回すことにより、目標に対して踏むべきステップの可視化、また、改善のステップを計画に落とし込むことが可能になるので、適切な計画に基づいて施策を順次ブラッシュアップできるのがPDCAの特徴です。
なお、PDCAについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。
「営業におけるPDCAとは?効果的にサイクルを回す方法を事例とともに紹介」
KPT YWT
知名度はそこまでありませんが、改善のフレームワークとして優秀なのが「KPT YWT」です。
継続すること(Keep)・問題点(Problem)・次に挑戦すること(Try)からなる「KPT」とやったこと(Yattakoto)・わかったこと(Wakattakoto)・次にやること(Tsugini-yarukoto)からなる「YWT」をかけ合わせたフレームです。
上記で、一例としてフィクションですが、それぞれKPTとYWTでデートの振り返りをしてみました。
KPTは、①継続すべき点②現在の運用上の問題点③次に何に挑戦すべきか?といった質問形式になっており、「解釈を整理する」という意味合いが強いです。また、「問題点」に目が行ってしまいやすい「挑戦すること」に課題が置かれやすいフレームワークです。
一方で、YWTは①実行したこと②事実からわかったこと③踏まえて次にやりたいことは?と事実から解釈~改善策提示までを共通認識を持つフレームワークになるため、「事実を学びに活かす」意味合いが強いです。
こちらは、フレームの枠組みとして、「事実→解釈→改善」の順になっており、「課題」のみならず、「実行してよかったこと」「成長実感」にも視点を向けやすいものになります。
まとめ
ここまで、マーケティング活動におけるそれぞれのフェーズごとにお使いいただけるフレームワークをご紹介してきました。
冒頭でもお伝えしましたが、フレームワークはあくまで手段です。目的は「フレームワークを使いこなすこと」ではなく「適切な場で適切なコミュニケーションを取り、最終目的を達成すること」です。
ぜひチーム内での共通言語としてマーケティングのフレームワークを活用してみましょう!
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