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SaaSビジネスとは?メリットや市場規模からSaaSを探る

最終更新日:

BtoBマーケティング

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SaaSビジネス

SaaSとは、「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略で、ソフトウェアをクライアント側に導入するのでなく、ベンダー側で稼働させ、クライアントはインターネット等のネットワーク経由で利用するサービスのことです。現在、世界的に注目が集まっているビジネスで、ここ数年でSaaS系と呼ばれるスタートアップ企業がハイスピードで増加しています。市場規模も右肩上がりに伸びており、その勢いは今後も続くと見込まれています。

今回は、SaaSビジネスに参入しようと考えている方、あるいはどんなものなのか興味がある、という方に向けて基礎知識や成功事例について解説します。

SaaSとは

SaaSとは、「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略で、ソフトウェアをクライアント側に導入するのでなく、ベンダー側で稼働させ、クライアントはインターネット等のネットワーク経由で利用するサービスのことです。

言い換えれば、既製品の買い切り型ではなく、継続利用型であり、費用を払い続けることで解約まで継続的にサービスを利用します。

SaaSの市場規模

海外市場

世界のクラウドサービス市場規模は、2021年には約3500億ドルの規模(※下図)になると予測されていて、今後もさらに成長を続けると考えられます。その中でも、SaaSはクラウドサービス全体の1/3の割合を占め、成長率は平均約20%/年と、類似サービス「PaaS・CaaS・IaaS※」とある中で、SaaSはクラウドサービスの中でも一番売上が高いことがわかります。

  • PaaS(パース)
    「Platform as a Service」の略で、アプリケーションを実行するためのプラットフォームをインターネットを介して提供するサービスのことです。
  • CaaS(カース)
    「Containers-as-a-Service」の略で、オンプレミス・データセンターまたはクラウドを使用して、ユーザーがコンテナベースの抽象化を通じてアプリケーションをデプロイおよび管理できるサービスのことです。
  • IaaS(イアース)
    「Infrastructure as a Service」の略で、アプリケーションを利用する環境も含めて一括で提供するSaaSとは異なり、IaaSはサーバーやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラまでを提供するサービスです。
出典:総務省|令和元年版 情報通信白書|レイヤー別にみる市場動向

国内市場

日本のクラウドサービス市場も成長を遂げており、2024年には2兆円を超えると予測されています。中でもSaaS市場は2023年までに8200億円まで拡大すると予測されており※、各企業、資金調達も活発におこなってます。

※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版

SaaS、代表的な資金調達例(順不同)

・フロムスクラッチ:100億円
マーケティングプラットフォームの開発や人工知能を用いたマーケティング開発を行っている

・SmartHR:61.5億円
クラウド労務ソフトを提供

・ヤプリ:30億円
スマートフォンアプリを開発できるSaaSサービス

・Sansan:42億円
クラウド名刺管理ツール

・freee:65億円
クラウド会計ソフト

なぜSaaS市場は急速に成長するのか

SaaSは、クラウド上にて提供され、インターネット環境さえあれば、どこでも利用可能です。この「クラウド上で提供される」という点が様々なメリットをもたらし、市場を急速に成長させました。

では、実際、SaaSにはどのような具体的なメリットがあるのでしょうか。利用する顧客の目線とサービス提供するベンダー目線で、押さえておきたいSaaSのメリット(デメリット)を見ていきます。

SaaSビジネスにおけるメリット

ユーザー側のメリット

1、スピーディーに導入できる

アカウントを取得するだけで使用できるのでソフトウェアのインストールなど手間をかけることなく導入することができます。

2、安いコストから使い始めることができる

多くは、使用する分だけ料金を支払う方式で毎月料金を支払う月額制なので無駄なコストが発生しません

3、デバイスの種類を選ばない

クラウド上で展開されているので場所と時間を選ばずに様々なデバイスからサービスを利用できます。

4、ソフトウェアの管理が要らない

バージョンアップなどをベンダーが対応するため、管理は不要です。ユーザーはサービスのアップデートの際にダウンロードをしたりする手間なくサービスを利用することができます。

5、一定の試用期間がある

無料トライアルなど、一定期間サービスを利用できるサービスが多いので、導入前に実際の使用感なども確認できます。

ベンダー側

1、継続的に利益を得られる

サブスクリプション方式の料金体系であるため、売上の予測がしやすく、キャッシュフロー主導型の事業拡大が可能です。

2、顧客と継続的な接点を持てる

一定期間にわたって関係が持続するため、獲得した顧客データを調査・分析することで、アップセルの機会が得やすく、ロイヤルティ顧客を作りやすいです。

3、フリーミアム (無料戦略)が採用できる

フリーミアムとは、基本サービスを無料で提供して追加機能に課金する仕組みです。ユーザーとしては無料で使っているので導入するハードルは下がります。
サブスクリプションのビジネスモデルでは、多くのサービスで採用されております。

フリーミアムで成功している例といえば、海外ではMailChimp(メールチンプ)・Dropbox(ドロップボックス)が有名です。一方、国内では、ChatWork(チャットワーク)・BowNow(バウナウ)がフリーミアムで成功しているといえます。

SaaSビジネスにおけるデメリット

ユーザー側

1、カスタマイズの範囲が小さい

パッケージソフトと比較すると大幅なカスタマイズができないので、使用範囲をサービスに合わせないといけません。

2、セキュリティガイドラインの整備が必要

企業内のインターネット利用は外部ソフトウェアとの接続が制限されている場合があるため、接続のために制限を解除するなどの対応が必要となります。

3、プロバイダーの開発計画による制約を受ける

新機能のリリースなどのバージョンアップやシステムメンテナンスはベンダー都合で行うため、
その間利用が制限されるなどの制約を受けることがあります。

ベンダー側

1、初期的には、先行投資の側面が強くキャッシュアウトが大きい

SaaSビジネスは、プロダクト開発に時間や資金がかかるため初期に負担が大きくなります。また、初期に投資した資金を回収するまでに時間がかかることがあります。
逆に言えば、上記を乗り越えることでビジネスはスケールしていきます。

2、常にアップデートやコンテンツの作成が必要になる

SaaSビジネスは日進月歩の世界です。
競合も多く、差別化のためサービスのアップデートや利用促進を図るためコンテンツを作成する必要があります。

顧客の声を吸い上げより良いサービスに進化させていく、あるいは、より使いやすいサービスにするためマニュアルなどのコンテンツを作っていかなければ、新規顧客が獲得できないばかりでなく、ユーザーが競合ツールにリプレイスする可能性があるため、常に気を抜けません。

3、継続的なフォローアップが必要なためカスタマーサポートの負担が大きくなる

「SaaSは導入して終わりでなく、導入してからがスタート」とよく言われていますが、正にその通りです。SaaSは継続的に利用して成果が出て初めて利用価値を感じるサービスですので、成果がでるまで継続的にサポートしなければなりません。そのためカスタマーサポート(サクセス)担当者の負担が大きくなります。一方で、カスタマーサポート(サクセス)担当者のオンボーディングが上手くいくことでユーザーはサービスを継続的に利用していきます。

SaaSビジネスにおける重要指標

ARR(MRR)

ARR(年間経常収益)とは、Annual Recurring Revenueの略で、毎年決まって得られる1年間分の収益や売上のことを指します。
MRR(月間経常収益)とは、Monthly Recurring Revenueの略で、月ごとに繰り返し得られる収益や売上のことです。

ARR(MRR)は、SaaSビジネスで最も重要な指標と言われています。
新規契約ARR(MRR)と解約ARR(MRR)の指標で見ていくケースが多く、この指標を足し引きすることすることで、年間、もしくは月間で上げられる収益を把握することができます。

LTV

LTVとは、Lifetime Valueの略で顧客が契約期間を通じてもたらしてくれる利益のことです。SaaSビジネスにおいて、LTVは重要な指標であり、LTV向上の施策は継続的に取り組む必要があります。

LTVの計算方法は、月額課金額×契約期間/月×売上総利益率=LTVとなります。
LTVを最大化するためには、年間の取引額を多くする・サービスをより長く使ってもらうことが必要です。

CAC

CACとは、「Customer Acquisition Cost」の略であり、顧客1社獲得するためにかかるコストのことを指します。CACの計算式は、顧客獲得のために費やしたコスト÷新規顧客獲得数=CACとなります。このCACがLTVを上回ってしまうと企業にとって良くない状況です。

事業状態が良好だとされる目安は、LTVがCACの3倍以上であることと言われています。

LTV・CACについて詳しく知りたい方は、こちらの記事、
LTV(ライフタイムバリュー)とは?SaaSにおける重要性やCACとの関係性」にて、さらに詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

チャーンレート(解約率)

チャーンレートとは、サービスの解約率のことです。契約ユーザーのうち、解約したユーザーの割合を示す指標になり、解約率や顧客離脱率、退会率といわれることもあります。

SaaSにおいて重要な指標であり、可能な限り、このチャーンレートを下げてビジネスをスケールさせることがキーポイントになります。そのため、必ず把握しておかなければならない指標です。

カスタマーサポート(サクセス)がSaaSビジネスの成功を左右する

SaaS型ビジネスで特に重要になるのはカスタマーサポート(サクセス)です。
継続的に利用してもらうためには、顧客の疑問を解消し、フォローアップすることが大切です。また、顧客からの声を集め、サービスの改善に繋げることも重要な役割になり、その積み重ねが自社サービスのLTV最大化に繋がります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。
∟「なぜカスタマーサクセスがSaaS型ビジネスで重要なのか?

SaaSビジネスの成功事例

SaaSビジネスの成功事例を2つ紹介します。

カオナビ

株式会社カオナビは、クラウド人材マネジメントシステムサービスを提供する会社で設立は、2008年5月27日(事業開始日:2012年4月16日)従業員数は116名(2019年9月末時点)となっています。サブスクリプションモデルで人材マネジメントに特化したサービスです。ベネフィットとしては、人材情報を整理することにより、人材の配置、異動、評価というマネジメントの生産性が上がります。

成功ポイント

出典:カオナビ:2021年3月期第1四半期 決算説明資料

カオナビはカスタマーサクセスへの注力と情報蓄積による人材データベースの価値向上により解約率の低減を実現。

中でもデータベースを価値を向上させるため、ユーザーが自由にカスタマイズできるUIを開発し、ユーザーがより使いやすいサービス提供を実現。

Sansan

Sansan株式会社は、クラウド名刺管理サービスを提供している会社で設立は2007年6月11日で従業員数は650人となっています。

主なサービスとしては、法人向けクラウド名刺管理サービス(Sanan)、個人向けクラウド名刺管理サービス(Eight)を提供しています。現在、様々な名刺管理サービスが登場していますが、市場シェアの80%以上を獲得しています。

成功ポイント

出典:Sansan2021年3月期第1四半期 決算説明資料 

Sansanといえば直近カスタマーサクセス領域で成功している企業の一つです。

解約率を低減させるためCSプランという導入後の活用サポートをサービス化しよりユーザーに活用いただける仕組みを作っており、伴走型のサービス提供を行っております。そもそも解約率が1%以下というのもすごいですが、さらなるチャーンレートの減少のために、徹底した施策導入が見事に奏功しているようです。

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SaaSビジネスにおける成功ポイント

SaaSビジネスのおける重要指標と成功事例についてまとめました。
いま、ベンチャーやスタートアップ企業から様々なサービスが日々リリースされています。そして、世界が生み出す新しい価値に伴走するよう、ともに成長を続けているSaaSは、「多様なニーズ対応できる」ように常に進化しています。当記事から、SaaSビジネスの成功について何かヒントをつかんでいただければ幸いです。

この記事を書いたライター
Keywordmap編集部
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