SPIN営業とは?潜在ニーズに迫る4つのステップを事例と共に紹介
今回は、顧客の潜在ニーズを掘り起こし、提案の前段階として有効なステップである「SPIN話法」を、実例を踏まえてご紹介いたします。
SPIN営業とは?
SPIN営業は、英国の ニール・ラッカムが発表した「SPIN Selling(1988)」で提唱された営業方法です。この「SPIN Selling」は12年の調査と35,000件の営業訪問に基づいて生まれた営業話法で、発表から30年以上が経った今もBtoB営業の基盤となっています。
SPIN営業は、「Situation」「Problem」「Implication」「Need payoff」の順に4つの質問を顧客に投げかけ、顧客自らに自身の潜在ニーズに気づいてもらった上で、商談にスムーズに入ることを目的としています。
また、SPIN話法に則ってクライアントの状況を理解し、状況に即した提案をすることで、「頼れる営業」として認識してもらったり、親近感の醸成にも期待できます。
SPIN話法の特徴
SPIN営業の目的は、4つのステップを踏んだコミュニケーションを行うことで顧客の潜在ニーズを引き出すことにあります。潜在ニーズを引き出すために必要な「ヒアリング力」を発揮できるのが、SPIN営業の特徴です。
まずは、SPIN営業それぞれのステップを見る前に、SPIN営業の効果を最大限発揮するためのポイントをお伝えします。
事前に営業先の情報を把握しておく
SPIN営業の始めのステップは「状況理解」の質問から始まります。
しかし、だからといって顧客の状況を全く知らない状態で臨むと、顧客の状況理解に時間がかかりすぎてしまいます。
結果として、商談の前段として不可欠な「示唆質問」「解決質問」を十分に行えない可能性がありますので、事前に営業先の情報をしっかり収集するようにしましょう。
目的は「顧客の潜在ニーズを引き出すこと」
また、SPIN営業の目的は顧客の潜在ニーズを引き出すことである点を忘れてはいけません。顧客がBtoBの営業に求めるのは、自社の顕在化したニーズに対する解決策の提示ではなく、あくまでも潜在ニーズへの解決策の提示です。
この後、順を追ってSPIN営業のステップをお伝えしますが、SPIN営業それぞれのステップの目的が「潜在ニーズを引き出すこと」であることを忘れないようにしましょう。
SPIN営業の全体の流れ
それではここからSPIN営業の実際の流れをお伝えします。
SPIN営業は、「Situation(状況質問)」、「Problem(問題質問)」「Implication(示唆質問)」「Need payoff(解決質問)」の順に行っていきます。
Situation:状況質問
ここでは、まず顧客の立場、現状を理解することが目的です。業務状況や、業務の遂行方法についての質問を行いましょう。
気を付けなければならないのが、「自分の売り込む商材に関連した状況把握」をすることです。これから売り込む商材にまったく関係のない質問をしてしまうと、自社の商材に関連した潜在ニーズを把握してもらえません。
Problem(問題質問)
問題質問では、状況質問の回答を踏まえて、「ここに問題があるかもしれない」と仮説を立てたうえで質問を行います。業務に必要以上の時間や人員を割いていないか、等の質問が考えられます。
「こんなところに課題を感じていませんか?」という質問に対し、「そうそう!そこに困っていたんです!」と答えてもらえるのがベストです。
Implication(示唆質問)
示唆質問は、問題を解決しないことによって起こり得るものに対して解決策を講じなければならない!と感じてもらうことが目的です。
SPIN営業を提唱したニール・ラッカムは「トップセールスは、普通のセールスの4倍ほど示唆質問を投げていた」と評しています。
示唆質問を通して、いかにクライアントに課題解決の必要性を感じさせられるかがカギになると言えるでしょう。
Need payoff(解決質問)
最後のステップでは、顧客が現在抱えている課題を実際に解決できたらどうなるか、についてイメージしてもらうための質問を投げかけます。また、実際に課題を解決する方策として、自社のサービスが有効であると感じてもらうことも忘れないようにしましょう。
もちろん、ここで自社の提供サービスでは解決できない問題を想起させる発言は控えなければなりません。解決質問の後に行う提案に違和感を感じさせてしまうきっかけとなってしまいます。
上の図ような流れでSPIN営業は進んでいきます。
事例「KeywordmapをSPIN営業で提案」
ここからは実例とともにSPIN営業を紹介します。弊社のSEM分析ツール『Keywordmap』を、サイトの集客を担当されているクライアントに紹介する想定で考えてみましょう。
Situation(状況質問)
まず、顧客の状況を理解するための質問を行います。
Problem(問題質問)
次に、状況質問から得られた情報から、「課題があるのではないか」と思ったポイントについて、言及しましょう。
Implication(示唆質問)
ここでは、前段階の「課題質問」によって明らかになった課題によって起こりうる状況を示唆します。
Need payoff(解決質問)
最後に、実際に顧客が抱えている課題を解決できたらどうなるか、具体的なイメージを持たせる質問をしましょう。
あくまで上記はSPIN営業の話法の流れの一例ですが、具体的なイメージの補助にしてください。
「SPIN営業」アレンジのススメ
SPIN営業は約30年前に提唱され、30年経った今でも広く用いられている営業話法です。基本的な話法や原理は現代でも大いに通用します。
しかし、30年前とはビジネスの形態や情報の流通性も大きく変わりました。今回は、現代風にアップデートをするとより大きな効果を生むであろう「SPIN営業」のアレンジ方法をお伝えいたします。
Situation/Problemにまつわる質問は最低限にする
始めのほうにも触れましたが、顧客がBtoBの営業に求めているのは「潜在ニーズを掘り起こしてもらうこと」です。
30年前に比べ情報の流通量が各段に増えた現代において、顧客は自分で認知している課題の解決策を、自分自身で情報収集して獲得することができます。 そのため、すでに認知している課題を想起させやすい「Situation(状況質問)」や「Problem(問題質問)」は最小限にしましょう。
そのためにも、こちらで情報を提示するのではなく、顧客自身に考えさせる余地のある質問を積極的に行うのが良いでしょう。
例)× もうすでに解決の目途は立っていらっしゃいますか…?
〇もうすでに(解決の)目途は…?
これによって、「問題を指摘された」という認識より、「課題に気づかせてくれた」という認識を抱いてもらうことができます。
販売戦略に「Social Selling」を組み込む
先ほども述べましたが、自らが手に入れようと思えば様々な情報を手に入れられる時代です。
営業に出向く前に、ソーシャルメディアや会社のHP等を使用して、事前に顧客の「目的」や「優先したいこと」、「担当者の人柄」等々…集められる情報を収集しておきましょう。
顧客の購買プロセスの補助する
近年、企業のステークホルダーは増加し、また、企業の購入プロセスは複雑化しています。顧客が自社のツールに魅力を感じてくれたといっても、必ず導入に結びつくとは限りません。
したがって、顧客が実際にサービスを導入するために必要なプロセスを手伝いましょう。たとえば、担当者の上司が知りたがるであろう点を事前に予想し、顧客に伝えておくと良いでしょう。加えて顧客が上司にプレゼンテーションを行う際に使用できる資料も合わせて送っておくのもおすすめです。
顧客の「欲しい」を掘り起こす営業を
SPIN営業は、4つの種類の質問を経て、顧客の潜在ニーズを掘り起こすことができるフレームワークです。
情報の流通量が増えている現代こそ、顧客が知りえなかった課題に対して提案する営業が求められています。
顧客に寄り添い、顧客を理解する。課題を発見し、一緒にその課題を解決するスタンスで営業活動を行うことで、商談成立の後にも顧客にとって信頼できるパートナーになれると考えられます。そしてSPINはそんな関係を築くうえで非常に重要なフレームワークなのです。
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Keywordmapのカスタマーレビュー
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