D2C
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D2Cとは? 新時代のビジネスモデルを事例とともに紹介

近時、トレンドワードとなっている「D2C」は、消費形態が変化する中で、登場した販売モデルです。コト付きのモノ消費とも呼ばれ、世界観を構築するブランドが多く取り入れている手法でもあります。今回はD2Cモデルとはどういったものか、基本を確認し、日本での成功事例をご紹介します。

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D2Cとは

D2Cとは実際どのような販売形態なのでしょうか。簡単に説明したのち、D2Cが持つ特徴に迫っていきます。

D2Cとは

Direct to Consumerの略で、自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。ソーシャルメディア(SNS)やECサイト、直営店舗で消費者とコミュニケーションをとり、生産した商品を販売します。アパレルブランドや美容化粧品ブランドの多くが採用している形態で、ここ数年でよく取り上げられるようになりました。

D2C

海外のデジタルマーケティング向け市場調査会社eMarketerによると、今後5年の間に消費者は、購入する物の少なくとも一部をD2Cブランドから購入するというアンケート結果が報告されています。
これはアメリカに住む18歳以上を対象とした2018年の調査ではありますが、D2Cビジネスモデルの加速が進む日本においても、少なからず参考になる指標だといえるでしょう。

D2C
eMarketerを参考に作成

新たなビジネスモデルとして注目を浴びているD2Cですが、トレンドに至ったのは、従来までのBtoCモデルとあまりにも異なる特徴を持つことに起因しています。では、D2Cの特異な点を探っていきましょう。

D2Cの特徴

D2Cとは何か。従来のBtoCビジネスとどこかどう違うのか。
極端に言えば、両者は全く違います。それはD2CをD2Cたらしめる特徴からもわかります。

直接販売と直接コミュニケーション

その名の通り、D2Cは顧客とダイレクトに接点を持ちます。従来のBtoCなどの一般的な販売形態においては、小売店経由で商品を販売しています。そのため、ブランドはどのような人がどれほどの頻度で商品を購入しているのか把握しづらい状況でした。D2Cの場合は自社で販売チャネルを持つことから、上記のような顧客情報を蓄積でき、顧客に合わせたサービスを提供できます。

また、TwitterやInstagramを通して顧客とインタラクティブにやり取りを行います。広告代理店を挟まずコミュニケーションを行うため、顧客ロイヤリティが高まり、ブランドのファンになってもらいやすい特徴があります。

LTV(顧客生涯価値)

顧客と直接やり取りを行うことと併せて、D2Cでよく取り上げられるのがLTVです。Lifetime Value、顧客生涯価値と訳されるこの概念は、顧客が、ある企業との関係を持っている間に使った(またはこれから使うと考えられる)金額の合計を意味します。いわゆるサブスクリプションモデルにとって、利益創出のための最も重要な指標のひとつですが、D2Cにおいても重要視される指標です。

販売・購入を機に関係が切れるのではなく、関係を生み出し、深めていくことでLTVを積み上げていくのがD2Cの特徴だといってよいでしょう。後述しますが、そのためにはデータに基づく顧客に最適化されたコンテンツ(コミュニケーション)を定期的に発信する必要があります。

低価格化

D2Cは比較的安価で商品を提供できます。これまでは、商品が小売店で販売されるまでに中間業者が介在するため、コストがかさみ、高い値段で提供されていました。
しかし、直接顧客に商品を提供するため中間コストがかからず、高品質の商品を既存価格よりも低い値段で提供できます。

売り物はライフスタイル

これまでの販売形態では商品そのものの”機能”を価値として提供していました。一方で、D2Cブランドは商品の機能に加え、商品の世界観や歴史、それに合わせたライフスタイルを提供しているという特徴があります。

例えば、マットレスを提供するD2Cの雄Casperは高品質のマットレスを提供するだけではなく、質の良い睡眠を通した、新しいライフスタイルを提供しています。そのため、マットレスだけではなく、寝室照明などCasperというブランドを起点にした生活様式を提供しています。

顧客の捉え方

既存の商品ブランドは、顧客を商品を提供する人と捉え、売り手と買い手に明確な区別を設けています。D2Cブランドは売り手と買い手を区別せず、顧客をブランドをともに育て上げる仲間(コミュニティ)とします。
顧客からのフィードバックをもとに商品を改良し、より良い商品開発を行います。また、商品情報などを積極的に拡散したり、口コミなどのUGCを生み出すなどして、顧客は商品のエバンジェリスト※の役割を担います。

※エバンジェリスト
もとはキリスト教の伝道師の意味。ITのテクノロジーやトレンドなどを大衆向けにわかりやすく説明し、啓蒙する職種やその役割を担う人を指す。

ミレニアル世代がターゲット

D2Cブランドはミレニアル世代以下をターゲットとしています。ミレニアル世代は1980年~1990年後半までに生まれた世代を指します。幼少のころからデジタルが身近にある生活をしてきたため、新しい消費価値観がある世代と言われています。

消費の特徴として、倹約かつ慎重である一方、インターネットやスマートフォンを使いこなし、ネット上での消費に抵抗がありません。また、リサイクルやダイバーシティ、エコなどに対する感度が高く、エシカルなブランドを好む傾向にあります。

コンテンツマーケティング

すべてに当てはまるわけではありませんが、D2C企業の多くが「高品質で充足したコンテンツ」を「定期的」に発信しています。これは有益な情報を提供することで見込み顧客とのコミュニケーションを図り続け、購入・成約を促し、最終的にファン化してもらうコンテンツマーケティングの概念と非常に近いしいものがあります。

なお、D2Cにおけるコンテンツは、コンテンツマーケティング同様、オウンドメディアやメルマガがオーソドックスであり、近時は音声(ポッドキャスト)や動画(Youtubeなど)もコンテンツとして発信されています。発祥の地であり、D2C最先端を走るアメリカの意欲的な企業では、コンテンツとして雑誌を刊行していたりもします。

これらのコンテンツは、顧客とのコミュニケーション手段の一つであり、ブランド化されたイメージ(世界観)を植え付けるポジショニングの役割も担っています。

D2C企業の成功事例

海外のブランドが代表例として挙げられますが、日本発の企業でも成功している事例があります。ここでは海外からは2社、日本からは3社紹介します。

Glossier

Glossier

ニューヨーク発祥のコスメブランド「Glossier」。
Glossierは、VOUGE出身のエミリー・ワイスによって運営されていたInto The Glossという美容ブログから2014年に立ち上げられ、ユーザーの声を取り入れた製品作りを行っていることで有名です。

製品の質の高さもさることながら、シックでシンプルなパッケージにもこだわっており、SNS映えするとして人気を呼んでいます。また、「Skin first. Makeup second」を謳っており、メイクアップよりも肌質のことを考えた商品が特徴的です。それは、パラベンフリー・アルコールフリーといった有害な化学物質を含んでいないところにも表れており、こういった特徴が若い世代、特にミレニアム世代からの反響が高い理由だと考えられるでしょう。

D2C的な観点から捉えれば、製品を売るというよりも、「健康的なメイクアップ生活」を提供しているように考えられます。
instagramのフォロワーは280万人。ファンによる口コミ(UGC)の連鎖で拡大の一途をたどっている最中で、いまやアメリカだけでなく日本においても愛用者が増加しています。

THE 5TH

THE 5TH

オーストラリアのメルボルンで創業された時計ブランド、「THE 5TH」。
このD2Cブランドにおいて、何より特徴的なのは、初期の販売方法と顧客のフィードバックを余すことなく取り入れた点だといえます。

一般的にECの最大のメリットといえば、年中無休で24時間いつもで好きなときに買い物ができることでしょう。それだけに、THE 5THの当初の販売スタイルは非常に奇異なものでした。というのも、THE 5THは毎月の5日間だけECを稼働させたからです。つまり、その5日間だけしか消費者はTHE 5THの商品を購入できなかったのです。
明らかにデメリットしかないように思われるこの施策ですが、実際はプラスに働いたようで、希少性があるということから話題を呼び、口コミから新たな顧客層を開拓していきました。(なお、現在はいつでも購入できるようになっています。)

5日間のみの販売の一方で、余剰となったリソースはマーケティングやコンテンツの作成、顧客のリサーチに費やされ、製品は顧客の要望に沿って常に改善されていきました。THE 5THの根底には、創業者が語る「製品を作る前に顧客を作る」ということにも表れているように、顧客が欲しいものを教えてもらい、どんなものでも作るという顧客ファーストの概念が通奏低音のように流れています。仲介を通さないダイレクトなやり取りから得た顧客情報を存分に活用することが、ビジネスを発展させているーーというよりも、ビジネスそのものになっているのです。

希少性と顧客の「欲しい」に基づいた高品質な製品は、瞬く間にTHE 5THを熱狂的なファンを持つブランドへと成長させました。現在、日本でも徐々に認知されはじめており、今後の去就が注目されます。

参考:Direct-To-Consumer Brands: 6 D2C Companies That Are Killing It (And What You Can Learn From Them)

オールユアーズ

オールユアーズ

オリジナルウェアブランド「DEEPERʼ S WEAR」の企画・開発・販売、アパレルショップ「ALL YOURS」の運営を行う企業です。

「服=ファッション」ではなく、「服=身に着ける道具」として捉え、日常生活で感じるストレスを解消するファッションを提供しています。

特徴はファンコミュニティが確立されている点です。
ファンの数=企業の価値と捉え、コミュニティを形成しています。ブランドに共感したり、支援、購入してもらった人を「共犯者」と呼び、ワークショップやイベント、商品開発に参加してもらい、顧客とブランドを共創しています。

また、通常のアパレルメーカーよりも価格が安いのも注目ポイントです。D2Cの特徴で、中間コストがないため低い価格で顧客に商品を提供しています。

17kg

17kg

17kgは、若い女性を中心に人気を集める韓国レディースファッションの通販ショップです。Instagramを中心に欲しいと思えるプロモーションでファンを集め、急成長しました。

17kgのユーザーに人気のインフルエンサーをモデルに起用したり、魅力ある商品を洗練された見せ方で提供したりするなど、Instagram(SNS)を起点に展開しているのもD2Cブランドの特徴です。

新作商品を、投稿したファッションアイテム画像へのユーザーコメント(投票)で決定したり、「可愛いと思ったらコメント欄で教えて」というようなインタラクティブな運用が、ファンとのコミュニケーション活性化を促しています。
同時に、#17kgというハッシュタグでのユーザー投稿を募ることで、いわゆる承認欲求を煽るようなかたちで認知度を高め、ファンがファンを呼ぶように人気を集めています。

17kg

Basefood

Basefood

完全栄養食のパスタやパンを開発し、サブスクで販売する食品ブランドです。
糖質、カロリーオフを実現した食品が売りで、時間はないけど、おいしく身体に良いご飯を食べたいビジネスパーソンがターゲットです。

主に、InstagramとTwitterを活用し、顧客とコミュニケーションを取ります。
顧客一人ひとりから直接、意見を聞き商品に生かし、高速で商品開発を行っています。

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まとめ:「商品の質と世界観が重要」

D2Cモデルは、採用すれば商品が確実に売れるような画期的なビジネスモデルではありません。顧客に満足してもらえるクオリティの商品を提供したうえで、世界観を確立し、共感されるブランドを創り上げる必要があります。継続的にコミュニケーションをとりながら、満足度の高い商品を顧客とともに創り上げていけるかが成功のカギになるでしょう。

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この記事を書いたライター
Keywordmap編集部
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