BERTアップデートとは?SEOへの影響や対策のポイントを解説
BERTアップデートとはどのようなものであるか理解しておくことで、SEOにおける対策キーワードの選定やコンテンツ制作などに活かすことができます。
当記事では、BERTアップデートの概要やSEOへの影響、BERTアップデートを踏まえたSEO対策のノウハウについて解説します。
Webサイトの運営担当者の方、SEO施策に従事されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
BERTアップデートとは
BERTアップデートとは、「BERT」というAIを基にした自然言語処理技術を用いて、検索キーワードのニュアンスや文脈を読み取り、より優れた検索結果を表示できるようにしたGoogleのアルゴリズムアップデートです。
ただし、BERTアップデートによって従来の検索アルゴリズムが完全に置き換えられたのではなく、元のアルゴリズムと「BERT」の技術が連携され、「より検索ニーズに沿った検索結果の表示」が実現できるよう、実装されました。
なお、BERTはBidirectional Encoder Representations from Transformersの略であり、直訳すると「トランスフォーマーからの双方向エンコーダ表現」となりますが、正しく解釈するには以下のGoogle公式のツイートが参考になります。
和訳:
BERT は、Google 検索が言語をより深く理解し、検索結果を改善するための新しい方法です。現在、米国では英語で使用されており、検索 10 件に 1 件の割合で役立っています。将来的にはさらに多くの国と言語に対応する予定です。
このツイートは2019年10月のもので、同年12月には既に日本語を含む70言語以上のGoogle検索にBERTアップデートが適用されています。
「言語をより深く理解する」と述べているのは、ユーザーが入力したキーワードの“文脈”を検索エンジンがより正確に読めるようになるということです。例えば、BERTアップデート前後の検索結果の変化を示した以下の例を見てください。
(画像引用:Understanding searches better than ever before)
“2019 brazil traveler to usa need a visa”と入力した人は、「2019年にブラジルからアメリカに旅行するのにビザは必要か」を知りたい、というのは私たち人間であれば自然に理解できることです。ところがBERTアップデート前のGoogle検索は、「アメリカ人はブラジルにビザなしで渡航できる」という趣旨のページを検索結果に返しています。つまり主語がブラジル人からアメリカ人に替わってしまっているのです。これはBERTアップデート前のアルゴリズムが、「to(~へ)」という前置詞の重要性を認識できなかったことに起因します。
BERTアップデートによりこういった曖昧性の強い自然言語に対する検索エンジンの処理技術が高まり、Google検索はよりユーザーの検索意図に近いページを答えとして返すことができるようになった、ということです。
GoogleがBERTアップデートを行った理由
GoogleがこのようなBERTアップデートを行った背景にはどのような理由があったのでしょうか?主に2つの理由を挙げることができます。
- 検索クエリの多様化に対応するため
- 音声検索に対応するため
検索クエリの多様化に対応するため
GoogleがBERTアップデートを行った最大の理由は「検索クエリの多様化」に対応するためです。
インターネットやスマートフォンの普及により、今や検索エンジンは年代やシーンを問わず当たり前のように利用されるツールとなりました。それだけに、ユーザーの検索クエリは多様化しています。
実際にGoogleは以下のように検索される語句が日々変化していることを公表しています。
ユーザーによる検索の内容は絶えず変化しています。実際、日々使用される検索語句の 15% は、これまで見られなかったまったく新しいものです。
(引用:https://support.google.com/google-ads/answer/11031467?hl=ja)
また、短いキーワードだけでなく、長文の質問や自然な言い回しで検索を行うことも増えています。そういった曖昧な検索クエリを正しく処理できないままでは、検索エンジンはユーザーの意図と全く異なる結果を返し、結果としてユーザーの不満足に繋がります。
BERTアップデートはこの「不」を解消する画期的なアップデートだったと言えるでしょう。
音声検索に対応するため
スマートフォンやスマートスピーカーの普及により、音声検索の利用が急速に増えていることもBERTアップデートが行われた理由のひとつです。
音声検索では、テキスト検索とは異なる検索クエリの特性があります。
例えばテキスト検索であれば、「六本木 池袋 電車 行き方」というように単語をつなぎ合わせて検索する人が多数派ですが、音声検索であれば「六本木から池袋への電車での行き方を教えて」というように自然な言葉や文章で検索する人が多くなります。そういう点でも、検索エンジンの言語処理技術の向上は不可欠だったのです。
BERTアップデートによるSEOへの影響
BERTアップデートは、Google検索結果およびSEOに対してどのような影響を与えたのでしょうか。実際にBERTアップデートは、検索結果の順位変動を起こしていることが確認されています。特に影響が大きかったとされるのが以下のタイプの検索クエリです。
- 音声検索などによる会話型のクエリ
- ロングテールキーワード(3語以上からなるキーワード)
前述したように、BERTアップデート以前のアルゴリズムは文脈の読み取りが苦手であったことから、上記のような複雑性の高いクエリには的外れな検索結果を返してしまうことがありました。アップデート後は、よりユーザーの検索意図に即したページが上位に上がり、反対に、的外れであるにも関わらず上位表示されてしまっていたページは検索順位を落としたと言えるでしょう。
日本語検索結果への影響
ただし、海外(特に英語圏)に比べると、日本語検索結果におけるBERTアップデートによる影響・変化は、あまり大きくない傾向にあると思われます。
Google検索にBERTが導入されて数年たった現在においても、自然言語検索への対応は、いまだ黎明期といわざるをえません。たとえば「何度も北海道を訪れている人が行くべき場所」という検索には、「知る人ぞ知るスポット」を知りたいという意図がありますが、実際の検索結果にはビギナー向けの一般的な観光スポットを紹介するページが返されています。
このような自然言語検索に対する最適なツールとして、Googleは対話型のAIサービスである「Bard」をリリースしています。Bardには言語モデルとしてBERTが用いられており、「何度も北海道を訪れている人が行くべき場所」といった検索にも対応します。
一方Google検索は、近い将来、自動生成AIを用いた検索機能である「SGE」をリリースする予定です。このSGEにもBERTが用いられる可能性が高く、日本語による自然言語検索にもかなり精度高く対応すると予想されます。したがって、SGEが導入されれば検索結果・検索順位・SEOに甚大な影響があることは想像に難くありません。
SGEがリリースされると、検索すると以下図のように、AIによる回答が表示されるようになります。
BERTアップデートに応じたSEO対策
BERTアップデートにより、検索エンジンは検索キーワードの文脈まで読み取ることができるようになり始めています。このことから、現在のSEO対策においては以下の2つのポイントに気を付ける必要があります。
検索意図に沿ったページの作成
ひとつめのポイントはユーザーの検索意図に沿ったページを作成することです。
BERTアップデートのリリースは、これまで以上にユーザーの利便性を向上させようとしているGoogleの強い意思の表れです。そのため、コンテンツを作り始める前に、ユーザーの検索意図を正確に理解することが重要です。
キーワードの背後にある検索意図(ユーザーニーズ)はいくつかの種類に大別して考えることができます。
クエリの種類 | ユーザーのニーズ | キーワード例 |
Knowクエリ | ~を知りたい | 「ブロックチェーンとは」「花言葉」「日本 世界遺産の数」 |
Goクエリ | ~へ行きたい、 アクセスしたい | 「新宿 カフェ」「東京都美術館」「Yahooニュース」 |
Doクエリ | ~をしたい | 「新幹線 予約」「ハンバーグ 作り方」「TikTok 会員登録」 |
Buyクエリ | ~を買いたい | 「40代 女性 プレゼント」「iPhone クチコミ」「SEOツール 比較」 |
対策しようとしているキーワードがどの種類に当てはまるのかを考えましょう。同時に各クエリを検索するユーザーは、どんな情報が欲しいのかを、なるべく網羅的に考えることがポイントです。
例えば「40代 女性 プレゼント」であればBuyクエリ(~を買いたい)なので、40代の女性には「何を」プレゼントに買えば良いか、についてまずは書くでしょう。ただしそれだけではユーザーのニーズを満たしきれない可能性もあります。買い物をする人が通常よく持つ疑問である、「どこで」買えるか、「いくらで」買えるかといった情報も補足するとより有益なコンテンツになります。実際、「40代 女性 プレゼント」で検索して上位にくるページには、商品の紹介とともにECサイトへのリンクがあり、値段もすべて明記されています。
検索意図が分からない、どんな付加情報を足せばよいか分からないという場合は、実際にそのキーワードで検索して上位のページの構成を参考にしてみるのが良いでしょう。
また、「サジェストキーワード」や「関連キーワード」を眺めていると検索意図が明確になってくることもあります。
▼サジェストキーワード
▼関連キーワード
検索意図の調べ方や活用方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
「検索意図とは?調べ方や考え方、SEOに有効な活用法を完全解説」
ユーザーが理解しやすい文章にする
ふたつめのポイントはユーザーが理解しやすい文章にすることです。
BERTアップデートによって検索エンジンがコンテンツを読み取る力はより人間の感覚に近づいたと言えます。したがって、純粋に人間が読んで分かりやすく、また正確な情報を提供する文章を作成することが何より重要です。検索クエリのキーワードを無意味に何回も登場させるような小手先の対策(キーワードスタッフィング)は、検索順位が上がるどころかGoogleからペナルティを受けることもあるので注意してください。
文章の質を向上させるためには、例えば以下のような工夫ができます。
- 結論を先に述べる
- 一文が長くなりすぎないようにする
- 見出しや箇条書きを活用して情報を整理する
- 根拠となる数値やデータを引用する
- 不要な専門用語の使用は避ける(使用する場合は解説を付ける)
- 誤字脱字を無くす
- 表記ゆれを無くす
- 正しい接続詞を用いる
- 画像やグラフを挿入して視覚的な情報を補う
- 強調したい箇所を太字や下線などで分かりやすくする
Webライティングのポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
「Webライティングの基礎知識。執筆のポイントや注意点をわかりやすく解説」
まとめ
BERTアップデートとは、多様化する検索クエリに合わせて、クエリのニュアンス・文脈まで理解し、より関連性の高い検索結果を表示させるようにしたGoogleのアルゴリズムアップデートです。
BERTアップデートが行われた理由は以下の通りです。
- 検索クエリの多様化に対応するため
- 音声検索に対応するため
このアップデートを受けて、SEO対策の面では以下の点に注意する必要があります。
- 検索意図に沿ったページの作成
- ユーザーが理解しやすい文章にする
これまで説明してきた内容を参考に、ユーザーフレンドリーなコンテンツを作成し、検索上位を獲得できるようにしていきましょう。
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