マーケティングファネルとは?最新モデルまで具体例付きで解説

公開日:

Webマーケ全般

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マーケティング業務に携わっていると、よく「ファネル」という言葉を耳にすることがあります。マーケティングにおけるファネルとは、消費者が商品やサービスを知り、興味を持って、比較検討したのちに購買に至るまでの過程を段階的に表したモデル・フレームワークのことです。各段階で顧客が絞り込まれていく形状が漏斗(ファネル)に似ていることから、マーケティングファネルと呼ばれています。

ファネルを理解することで、いま展開中のマーケティング施策が正しいのかどうかをはじめ、今後取り組むべき施策の発見に活かせるなど、効果的に戦略を立てながら施策に取り組むことが可能です。

本記事ではマーケティングファネルとは何か、その種類や使い方を解説していきます。

マーケティングファネルとは

「マーケティングファネル」というモデル・フレームワークは、潜在顧客が製品やサービスの認知から興味、検討、購入に至るまでの各段階を体系的に示す概念です。この概念を利用することで、企業は消費者行動および顧客の意思決定プロセスを具体的に把握し、段階ごとに効果的なマーケティング戦略の設計、施策の策定が可能になります。

マーケティングファネルのイメージ図

上図:マーケティングファネルの基本形状。ファネルの形状は通常、上部が広く一番下が狭い漏斗状をしており、プロセスが進むにつれて顧客数が減少する点が表現されています。

たとえば、家電のCMを観た(認知した)場合、それを観たすべての人が家電に興味を持つわけではありません。実際に店を訪れるのは一部であり、なおかつその家電を見つけ、検討するのもその一部でしょう。さらに購入まで至るのはCMを観たごく一部にまで絞り込まれます。10,000人に認知されたとしても興味を持つのは100人、そこから実際に比較検討まで入るのに10人……のように、最終的に認知してから購入するまでの人数は減少していきます。

このフレームワークに基づいて戦略・戦術を設計することで、各段階同士の接続性をスムーズにして、マーケティング活動全体を最適化することが可能となります。

マーケティングファネルの必要性

マーケティングファネルによる顧客理解は、マーケティングにおいて戦略を立てて、実行する際に欠かせない要素となっています。ターゲットがどの段階にいるかを明確にすることで、各フェーズにおける特有の課題やニーズを正確に把握し、対応策を講じることが可能になるからです。

例えば、まだ商品・サービスを知らないような認知段階にいる消費者にはマス広告を活用して情報の露出を増やし、注意を引き付ける施策を行います。一方、購買意欲が高まっている段階では、メールやSNSでのDM、あるいはリターゲティング広告・リスティング広告を用いるなど購買を促す施策を打ちます。このようなプロセスに基づいた最適な行動を取ることによって、消費者体験を最大化し、最終的には購買行動を促すことにつながります。

また、こうしたファネルの活用は単にマーケティングやセールスの効率化を図るのみならず、企業の成長にもつながる戦略的な改善点の発見にも寄与します。購買後の顧客フォローやファン化に向けた取り組みを行うことで、売上を支え続けるようなビジネス基盤を築く鍵になるでしょう。

カスタマージャーニーとの違い

消費者行動にフォーカスしていることから、やや混同しがちなカスタマージャーニーとマーケティングファネルですが、視点と目的が異なります。

カスタマージャーニーは顧客の視点に立ち、購入前後を含む体験をマッピングするものに対し、マーケティングファネルは企業側の視点で効率的なコンバージョンを目的とします。そのため、カスタマージャーニーは顧客の感情や行動を軸として設計され、マーケティングファネルは収益や成果の最大化を軸に構築されます。

それぞれの視点で作成しておくことで、顧客の体験を損なわず、マーケティング施策を効率的に実施することが可能になります。

▼カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーの例

マーケティングファネルの種類

マーケティングファネルには3つの代表的な種類があります。それが、「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」です。

それぞれの概要を説明していきます。

パーチェスファネル

パーチェスファネルは、顧客が商品を「認知」してから「購入」に至るまでのファネルです。一般的には新規顧客に向けて購入を促す際に活用し、購入に至るまでを可視化できるのが最大の特徴です。

▼パーチェスファネル:一般的に知られている漏斗型であり、認知から購入までを表すマーケティングファネル。

パーチェスファネルのイメージ図

このフレームワークを用いることで、顧客の行動を段階的に理解し、それぞれの段階において最適なアプローチを実施することが可能になります。具体的には、認知、興味、検討、購入と分かれ、それぞれの段階で必要とされる施策が異なります。

認知の段階ではブランド知名度の向上を目指した情報発信、購入段階では購買意欲を高めるための魅力あるキャンペーンが効果的です。

パーチェスファネルを用いることで、集客から購買に至るまでを効率化して、売上を最大化する戦略を設計できるため、多くの企業がこの手法を導入しています。

インフルエンスファネル

インフルエンスファネルとは、商品を購入後の顧客が次の顧客へと影響を与え、更に購入が生まれるという形のファネルです。サービス・商品を購入した顧客が「継続」して「紹介」「発信」するまでを表しています。

▼インフルエンスファネル:先述したパーチェスファネルと逆で、下にいくにつれて太くなっていくマーケティングファネル。

インフルエンスファネルのイメージ図

このファネルは、特にソーシャルメディアや口コミの力を活用することで、現代の消費者行動における重要な手法になります。

たとえば、インフルエンサーが自身のフォロワーに向けて商品の紹介を行うことで、製品やサービスの認知度を迅速に広め、消費者の購入意欲を刺激するキャンペーンがこれに当たります。

またこのファネルには、従来の一方向的な情報提供型マーケティングとは異なり、顧客との双方向のコミュニケーションを促進する特徴があります。そのため、消費者との関係構築にも寄与し、長期的なビジネス価値を生む可能性を秘めています。

ただし、インフルエンスファネルを活用する際には、適切なターゲット設定と影響力のあるパートナーの選択が重要です。

ダブルファネル

ダブルファネルは、認知から購入までと継続から発信を繋げた形であり、通常の購入までのファネルと異なり、購入後の顧客に対するアプローチも含めて考え、ファンとなる顧客の創出など、相乗効果を生むために考えられたファネルです。

▼ダブルファネル:顧客獲得からその後の関係維持に至るまでの包括的なファネルであり、先述したパーチェスファネルとインフルエンスファネルを繋げたイメージ。

ダブルファネルのイメージ図

ダブルファネルでは、一方向の購買プロセスを越え、顧客との長期的な関係を構築し、維持する重要性を反映しています。

たとえば、カフェがスタンプカードで常連客の再訪を促し(継続)、「友達を連れてくると割引」という紹介キャンペーンで新規客を獲得(紹介)。満足した顧客がSNSで投稿し、店舗の魅力を広める流れです(発信)。

ダブルファネルを活用することで、顧客との接触機会を最大限活かし、全体としてより効果的な戦略設計が可能となります。顧客基盤の強化だけでなく、企業価値の向上にも寄与します。

マーケティングファネルは古いのか

マーケティングの手法は時代とともに進化を遂げていますが、その中で従来のマーケティングファネルは現在の多様化した顧客行動や市場環境において適合性が疑問視されています。

マーケティングファネルはなぜ古いと言われてしまうのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

消費者の行動の変化

パーチェスファネルを元にマーケティングファネルが誕生し、「購入まで」「企業側が」実施する施策がメインのファネルでした。

ただ、近年のSNSや口コミサイトなどの普及により、既に購入しているユーザーの意見も重視されているため、一般的な購入までに企業が行う施策では賄えなくなっていることが「古い」とされる理由として挙げられます。

オムニチャネルの普及

オムニチャネルが普及したことにより、消費者との接点が多岐にわたり、シームレスで一貫した購買体験の提供が求められるようになっています。

オンラインストア、SNS、実店舗やアプリ内購買など、消費者が情報を得て購買決定を行う場が広がり、企業はどのチャネルでも一貫したブランドメッセージとサービスを提供することが重要になっています。しかし、こうしたオムニチャネルの普及により、一般的なファネルの流れに沿って顧客が行動しないパターンが増加傾向にあります。

順を追って顧客が行動しないことも鑑みると、一般的なマーケティングファネルに当てはまらないことが多く、場合によっては別の新しいフレームワークを取り入れる必要があります。

新しいファネルやフレームワーク

現代の市場においては消費者行動が著しく複雑化しており、伝統的なマーケティング手法だけでは対応しきれない状況です。こうした変化を踏まえて、新しいマーケティングファネルやフレームワークが発展してきました。

以下で紹介する3つのモデルも、近時の購買行動に照らし合わせて提唱された新しいマーケティングフレームワークです。

  • フライホイールモデル
  • バタフライサーキット
  • マイクロモーメントファネル

フライホイールモデル

フライホイールモデルとは、これまでの一方通行であるファネルの考え方ではなく、フライホイール(車の部品)のように循環していく形のフレームワークです。MAツールを展開しているアメリカのHubspot社が提唱しました。

フライホイールモデルでは、企業成長につなげるために、円そのものを大きくすることが目的となります。具体的には、顧客の獲得、エンゲージメント、満足度が増加し、顧客がリピーターとなったり、他の顧客を紹介することでさらに新しい顧客を引き込むことで円を大きくしていくことが可能です。

フライホイールモデルのイメージ図

特徴としては、「ファネル」のように顧客が上から下に流れていく形ではなく、顧客を中心として循環していく形を取っています。 

従来のファネルではあくまで顧客は「事業活動の成果」として扱われていました。それに対してフライホイールモデルは画像の通り、Attract(惹きつける)、Engage(信頼関係を築く)、Delight(満足してもらう)の3つの段階で構成されます。この場合、顧客は事業成長のための原動力となり、それぞれ3つの段階において企業が適切な対応を行うことで、持続可能で本質的な成長につなげていくことが可能だと考えられます。

Attract(惹きつける)の段階で有益なコンテンツにより顧客を自社の情報収集をスムーズに行なってもらうこと(SEOやWeb広告など)、Engage(信頼関係を築く)では顧客の状態に合わせたコミュニケーションや最適なチャネルでのマーケティング施策を実施し、スムーズに成約を得るだけでなく、関係性を構築することが大きな目的として挙げられます。最後のDelight(満足してもらう)では、顧客の目標達成を支援することが目的となります(カスタマーサクセスによる継続的な支援、チャットボットなど)。

顧客の成功を通して新たな顧客を呼ぶべく、「既存顧客からの評価を高めてエネルギーを循環させること」「企業内のメンバー、企業と顧客の摩擦を少なくすること」を重要視しながら円を大きくしていき、ダブルファネルのように一方向ではなく、2つの輪により循環し、更に回転を早く成長を加速させることができるのが特徴となります。

バタフライサーキット

バタフライサーキットは、Google社が提唱した従来のマーケティングファネルに代わる循環型モデルであり、顧客体験の複雑なプロセスをより現代的に反映した概念です。

バタフライサーキットのイメージ図

出典:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと 8 つの動機

このモデルの基本的な考え方は、顧客体験を単線的に進む直線的な流れではなく、「さぐる」「かためる」をキーワードにさまざまな接点を繰り返し持ち、ファネルのように認知→興味→比較検討→購入のように直線的でなく、認知→興味の段階で他の情報が気になり検索し認知に戻る、と言うふうに逆流も生まれたりする、非線形なイメージとなります。

例えば、ある人が友人のSNS投稿や口コミを見て、特定の商品を知ります。通常のファネルでは調査や比較を行いますが、信頼する友人の意見だけで直接その商品を購入し、リサーチフェーズを飛ばしてしまうことがあったり、違う例では最初に商品Aを検索して情報を集めた後(さぐる)、すぐに購入せず、他のブランドBやCの商品を比較します。その後、再度商品Aに戻り、最初に得た情報を再確認して(かためる)購入を決定したりするイメージです。

上記のような消費者の行動に対して、消費者の情報収集や意思決定を阻害しないよう、企業はSNSや広告、レビューサイトなど複数の接点で一貫した情報を提供することが重要です。また、リターゲティング広告やパーソナライズされたメールを使って、再び興味を引き、購入を促すことが効果的です。これにより、どの段階でも消費者が必要な情報を得て、購買決定をスムーズに進められます。

このようにして、全体として有機的な循環が生じます。このモデルを適切に活用することができれば、顧客との持続可能な関係を築くことができ、顧客エンゲージメントやロイヤリティの向上につながります。

マイクロモーメントファネル

マイクロモーメントファネルは、Google社が提唱している、消費者がオンラインで情報を探す瞬間的な行動に焦点を当てた新しいフレームワークです。このモデルでは、消費者の「知りたい」「行きたい」「買いたい」「したい」といった具体的な欲求に応じて、瞬時に最適な情報を提供することが重要です。

消費者の行動は、スマートフォンや検索エンジンの普及によって従来の購買プロセスよりも速く、より断片的になっています。そのため、こうした「マイクロモーメント(瞬間的に喚起される「知りたい」「行きたい」「買いたい」「したい」)」に対応するセグメント化されたマーケティングのアプローチが必要になります。これが、消費者のニーズを満たし、行動を促進することに繋がります。

例えば、旅行を計画している消費者が「安い航空券を探したい」と検索した瞬間に、それに関連したオファーや情報を見せることで、消費者の決定を左右することができます。このタイミングが適切であればあるほど、購入につながる可能性が高まります。訴求の仕方は様々ですが、関連ページをレコメンドしたり、フローティングバナーでのアピール、リターゲティング広告などはよく用いられる手段でしょう。

このように、マイクロモーメントファネルでは、消費者の欲求が顕在化する瞬間を逃さずにキャッチし、それを満たすコンテンツを提供するために、リアルタイム性と的確なデータ分析が不可欠です。企業はタッチポイントを拡大し、適切な対応を迅速に行う体制を整えることが求められます。

マーケティングファネル活用方法と事例

マーケティングファネルの解説を中心に行ってきました。本章では、ファネルを実践的なマーケティングに活かすために、どのように取り入れていくべきなのか詳しく解説します。

マーケティングファネルの具体的な活用方法

マーケティングファネルを活用する場合の基本的な流れは以下の通りです。それぞれ詳しく解説します。

▼ファネルを利用してマーケティングアプローチを考える場合

  • カスタマージャーニーの理解
  • 現状分析:マーケティング施策の洗い出し
  • ファネル/フレームワークの選択
  • KPIを設定する

▼既存の施策の成果を測る場合

  • 現在のKPIの進捗や取り組みを具体的に考え、ファネルのどの段階に課題があるのか特定
  • 課題に対しての解決策を検討

カスタマージャーニーの理解

自社ターゲットのカスタマージャーニーマップを作成し、顧客がどのようなプロセスを経て自社の商材を認知し興味を示し、購買に至るのか調べ、さらに、どういった感情を元にそれらの行動選択をするのか洗い出します。また同時に、どのようなチャネル(Webサイト、SNS、広告、実店舗、イベントなど)で接点を持つ可能性があるのか、詳細にカスタマージャーニーマップへ記述していきます。

現状分析:マーケティング施策の洗い出し

現在、行っているマーケティング施策の内容と成果を洗い出します。Webサイト、SNS、広告、メールといった各チャネルのパフォーマンスを客観的に評価します。コンバージョン数・コンバージョン率といった分かりやすい指標から、カスタマージャーニーの各段階において、どこがボトルネックになっているか、どこに改善の余地があるかといった課題を特定します。

ファネル/フレームワークの選択

BtoB、あるいはBtoCといったビジネスモデル、単価や有形・無形といった商材の特性、ターゲット、ファネルを取り入れる目的、カスタマージャーニーなどを考慮し、最適なファネルモデル/フレームワークを選択します。

パーチェスやダブルファネル、フライホイールなど、上記で紹介したファネルモデルを参考にしながら、自社なりにカスタマイズするのが良いでしょう。必ずしも各モデル通りに当てはめる必要はありません。選択したファネルのどの段階にどのような施策を当てはめるか自社の実態に合わせて計画します。

ファネルごとのマーケティング施策イメージ図

KPIを設定する

ファネルの各段階におけるKPIを設定します。KPIを設置することで施策の効果測定と改善、つまりPDCAを回して、常によりよいマーケティングを行える体制を整えます。なお、KPIは次のような指標があります。

  • ユーザー数
  • ページビュー数
  • 直帰率
  • CVR
  • リード獲得数(問い合わせ数、資料請求数)
  • 商談化率
  • 受注率
  • 顧客獲得単価
  • SNSエンゲージメント率
  • リピート率
  • 解約率
  • 顧客生涯価値(LTV)

現在のKPIの進捗や取り組みを具体的に考え、どの段階に課題があるのか特定

なお、マーケティングファネルは、実行中のマーケティング施策を適切に評価する際にも用いられます。選択したファネルに既存マーケティング施策を当てはめて、それぞれ状況を確認しましょう。「施策が未実施だった」「実施していたがKPIが達していない」「達成している」と施策ごとに分かれますが、冒頭2つがマーケティングにおける課題といえるでしょう。

課題に対しての解決策を検討

上記で洗い出した課題を元に、新たな施策を実施するのか、現在行っている施策が上手くいっていないのはなぜなのかなどを検討します。そのようにしてPDCAをまわしていきましょう。

成功ポイント

先述したマーケティングファネルの活用のためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

カスタマージャーニーマップの精度

活用方法の冒頭で触れたカスタマージャーニーマップが非常に重要となります。ファネルの各段階で詳細なターゲットの動きを明確化することで、具体施策に落とし込んだ時の精度が左右されるでしょう。

成果の定期的な分析と改善

一度ファネルをカスタマイズして終わりではありません。ファネルの各段階及び、施策ごとに効果測定を行うまでの期間を設定しておき、定期的な施策の見直しが非常に重要となります。

SNSや広告であれば1ヶ月、SEOであれば3ヶ月~半年など、施策の成果創出までの時期感を鑑みた振り返り時期を設定しておきましょう。

AIとマーケティングファネル

従来、マーケティングファネルは、フレームワークを元に人が考えて作成するものでした。

しかし、「どのフレームワークを使うべきか」から「カスタマージャーニーの草案の作成」など、マーケティングファネルの活用にAIを組み込み、効率的に行うことが可能になっています。

生成AIを使いながら、より効率的にマーケティングファネルを利用するための方法について見ていきましょう。ここでは、以下2点について解説します。

  • 生成AIを活用したマーケティングファネルの作成
  • マーケティングファネルの段階ごとのAI活用イメージ

AIを活用したマーケティングファネルの作成

ChatGPTなどの生成AIを用いれば、素早く簡単に実践的なカスタマージャーニーを作成することが可能で、またそれに基づいたマーケティングファネルを計画することができます。

AIの最適な使い方は業種・業界、企業によって異なるため、以下で紹介する活用方法はあくまでも一例として参考にしてみてください。

カスタマージャーニーの制作

生成AIを使えば、簡単かつスピーディにカスタマージャーニーの骨子を作ることができます。

やり方は実に簡単です。生成AIからの質問に対して回答していくような壁打ちのイメージで作り上げていくのが良いです。以下はその一例です。

  • あなた:カスタマージャーニーを作りたい。質問に対して回答するイメージで、ステップバイステップ方式で進めて
  • AI:【ステップ 1: 目的と目標の明確化】質問①:あなたのカスタマージャーニー作成の目的は何でしょうか?
  • あなた:「手軽に食べられて意外と安価」がコンセプトの高級和菓子ブランドの認知を拡大したい
  • AI:【ステップ 2: ターゲット顧客(ペルソナ)の設定】質問②:この高級和菓子ブランドのターゲットとなる顧客像について、具体的なイメージを教えてください。
  • あなた:・・・・
  • AI:【ステップ 3:・・・・】 

AIと壁打ちしながら、潜在層~顕在層の顧客のニーズやペルソナ、打つべきアクションなどを考えることができ、カスタマージャーニーマップを簡易的に作成することができます。

カスタマージャーニーマップ作成後も、AIとキャッチボールするイメージで使用すべきマーケティングファネルのフレームワークや、マーケティング戦略を練り上げていく道筋まで相談することが可能です。

マーケティング施策の整合性/点数付け

カスタマージャーニーに基づいたファネルを作成したあとは、現在のマーケティング施策が正しく顧客へアプローチできているのか、実施できていない施策はないのかなどを調べます。自社ではファネルの段階ごとにどんな施策が向いているのか、予算やリソースといった補足情報を伝えて、AIに優先順位を教えてもらいましょう。

カスタマージャーニーの制作時のアウトプットを元に相談することで、生成AIが前提情報を理解した状態で実施すべきマーケティング施策や、効果的だが気づけていなかった施策の洗い出しなどが可能となります。

▼例:生成AIによって提案された施策とその重要度

例:生成AIによって提案された施策とその重要度

重要度の高い施策から順に、ファネルの中に当てはめ、現在実施している施策/未実施だが今後行うべき施策の洗い出しが可能になります。

ファネルの段階ごとのAI活用イメージ

続いて、一般的なパーチェスファネルの各段階において、AIがどのように施策として用いられているのか見ていきましょう。以下は、AIチャットボットやAIエージェントを活用することで、見込み顧客の獲得から購入後のエンゲージメントに至るまでのマーケティング、ならびにセールスプロセス全体を自動化・パーソナライズするアプローチです。

認知(Awareness)

ブランドや商材を認知する段階では、おもにリードジェネレーションとして、SNSや広告などの施策が多く実施されるでしょう。AIエージェントはWebサイト訪問者やソーシャルメディアユーザーと能動的に対話し、潜在顧客を発掘・獲得することができます。

たとえば、それぞれの顧客の状態に合わせてパーソナライズされた完全にオリジナルな文章によるチャットの問い合わせ対応やメッセージの送信などが挙げられます。

「顧客がどういった状態になれば興味を持ってもらえるのか」を元に社内の知見、情報を活かしながら、AIエージェントに学習させていくことが重要となります。

興味(Interest)

リード化した顧客が興味を示したタイミングでは、リードナーチャリングを実施します。Webサイトを訪問した顧客に対し、これまで収集した各種顧客データに基づいて、個々の興味やニーズに合わせたコンテンツや情報(ブログ記事、メルマガ、ウェビナー招待など)を提供し、関与を深めていきましょう。

次の段階(検討)に進んでもらうため、行動データの分析を行なった上で関心度合いに合わせたコンテンツの提供やメールの配信など、どういった手法でアプローチするのが最適なのか、AIによって出し分けを自動化するイメージです。

検討(Consideration)

顧客が商品の比較や検討をする際に、詳細な情報を提供してサポートします。

AIエージェントやチャットボットにより、製品・サービスに関する質問への自動応答、関連情報の提供(サービス比較、デモの予約など)を通じて、顧客の意思決定を支援することができます。

検討段階まで顧客が辿ってきたコンテンツを鑑みた上で、検討度合いの把握、ならびに、その状態に合わせたよりパーソナライズされた情報の提供を行うことで、検討を進めてもらうようなAI活用が望ましいでしょう。

行動(Action)

購入を検討している顧客に対して、関連性の高いケーススタディや口コミを提供し、製品・サービスの価値を具体的に示し、購入への意思決定を後押ししていきます。また、割引やパーソナライズされたおすすめ情報の提供、適切なタイミングでのフォローアップを通じて購買を促します。

一方、同時に、リードクオリフィケーションもAIによって自動化します。AIによる顧客行動分析とスコアリングに基づき、営業担当者への引き継ぎが必要な有望リードを特定し、自動で営業担当者にリード情報を提供する仕組みを構築します。

マーケティングオートメーションやCRMなどを活用することで、顧客のスコアリングを行い、購入意思の強い層に優先的に営業できるようにしたり、購入に近づけるために購入体験の口コミや事例を送付したりと、ここでも情報の出し分けや最終的な意思決定のための後押しとなる施策をAIに行なってもらいます。

まとめ

マーケティングファネルは、顧客が認知から購入、さらにはその後の段階を経るプロセスを可視化するフレームワークです。これを活用することで、企業は顧客の行動を深く理解し、各段階で最適な施策を実施できます。

本記事で紹介した代表的なマーケティングファネルは以下の通りです

  • パーチェスファネ
  • インフルエンスファネル
  • ダブルファネル

また、消費者行動の複雑化に伴い新しい次のようなモデルも紹介しています

  • フライホイールモデル
  • マイクロモーメントファネル

まずは顧客の状況を正確に把握し、今回ご紹介したフレームワークを適切に活用することで、より大きな売上創出へ繋げていきましょう。

この記事を書いたライター
Keywordmap編集部
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