Webサーバーとは?仕組み役割、ソフトウェアの種類からSEOへの影響まで徹底解説

公開日:

Webマーケ全般

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Webサイトをブラウザで表示するために、ユーザーには目に見えない裏側で使用されているWebサーバー。本記事では、Webサーバーとはそもそも何なのかという基本的な概要や仕組みの説明から、「Webサーバーってどんな種類があるの?」「どうやって選べばよい?」といった種類や選び方まで、用語の説明も交えながら、初心者にもわかりやすく解説していきます。Webサイトの裏側で動いているWebサーバーの仕組みを理解していきましょう。

目次

Webサーバーとは

Webサーバーとは、インターネットのブラウザ(GoogleChromeやMicrosoft Edge、Safariなど)において、Webサイトを表示するためのデータを届けてくれるコンピュータやコンピュータの一部のサービスプログラムのことです。

Webサーバーは、インターネット上でWebサイトを公開するために必要不可欠であり、重要な役割を担っています。その役割と基本的な仕組みについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。

Webサーバーの役割

Webサーバーは、インターネット上でWebサイトを公開し、ユーザーから「このページを表示したい」といった要求(リクエスト)に応じてWebページを提供する役割を担っています。具体的には、以下のような主な役割があります。

  1.  Webページの保存と管理:HTMLファイルや画像、CSSなどのWebサイトを構成するファイルを保存し、管理します。
  2. リクエストの処理:ユーザーがブラウザでURLを入力すると、そのリクエストを受け取り、適切なWebページを返します。
  3. セキュリティの確保:不正アクセスやデータの改ざんを防ぐため、セキュリティ対策を行います。

Webサーバーは、これらの役割を果たすことで、インターネット上でのスムーズなWebサイトの閲覧を可能にしています。

Webサーバーの基本的な仕組み

Webサーバーの基本的な仕組みは、クライアントサーバーモデルに基づいています。クライアントサーバーモデルとは、機能やサービスを提供するサーバーと、それを利用するクライアントを分離し、ネットワーク通信によって接続する仕組みです。おおまかに以下のような仕組みで動作しています。

Webサーバーの基本的な仕組みのイメージ図

「※」が付いた用語は後述で説明していますので、あわせて参考にしてください。

  1. ユーザー(クライアント)がブラウザでURLを入力します。
  2. ブラウザはDNSサーバー※に問い合わせて、URLに対応するIPアドレスを取得します。ブラウザはそのIPアドレス※に対してHTTPリクエストを送信します。
  3. Webサーバーがリクエストを受け取り、要求されたWebページを探します。Webサーバーは見つかったWebページをHTTPレスポンスとして返します。
  4. ブラウザはレスポンスを受け取り、Webページを表示します。

この一連の流れにより、ユーザーはインターネット上のWebサイトを閲覧することができるのです。Webサーバーは、この仕組みの中心的な役割を担っており、インターネットの基盤技術として欠かせない存在となっています。

Webサーバーに関連する用語説明

DNSサーバー

ドメイン名(例: example.com)をIPアドレス(例: 192.168.1.1)に変換し、インターネット上で正しい接続先を教える役割を担うサーバーです。WEBサイトやサービスにアクセスする際の「住所録」のようなものです。

IPアドレス

インターネット上でデータの送受信先を特定するために使われる番号です。インターネット上でコンピュータやスマホなどの機器を識別するための「住所」のようなものです。

HTTPリクエスト

WEBブラウザやアプリがWEBサーバーに対してデータやページの情報を要求するために送る通信メッセージのことです。たとえば、ホームページを開くときに「そのページを見せてほしい」というリクエストがサーバーに送られています。

HTTPレスポンス

HTTPレスポンスとは、WEBサーバーがWEBブラウザからのHTTPリクエストに応じて送る返信データのことで、リクエストに対する結果(ステータスコード)や、要求されたHTMLページや画像などのコンテンツが含まれています。

Webサーバーと通信の仕組み

Webサーバーとブラウザ間の通信は、インターネットの基本的な仕組みです。ここまででその全体像をみてきましたが、さらにその詳細な流れと使用される通信プロトコル(後述で説明)について、それぞれ順に解説していきます。

ブラウザからWebサーバーへの通信の流れ

ブラウザとWebサーバーの間の通信は、以下のような流れで行われます。

1. URLの解析

ユーザーがブラウザにURLを入力すると、ブラウザはそのURLを解析します。

2. DNSルックアップ

ブラウザはDNSサーバーに問い合わせ、URLのドメイン名に対応するIPアドレスを取得します。

3. TCPコネクションの確立

ブラウザは取得したIPアドレスに対してTCPコネクションを確立します。

※TCPコネクションとはデータを正確に送受信するために、通信を行う2つの機器間で確立される仮想的な接続のことです。接続の確立、データの送信、通信終了の手順を経て信頼性の高い通信を実現します。

4. HTTPリクエストの送信

ブラウザはWebサーバーにHTTPリクエストを送信します。このリクエストには、要求するページのURLや、ブラウザの種類などの情報が含まれます。

5. Webサーバーの処理

Webサーバーはリクエストを受け取り、要求されたページを探します。必要に応じて、データベースからデータを取得したり、動的なコンテンツを生成したりします。

6. HTTPレスポンスの送信

Webサーバーは処理結果をHTTPレスポンスとしてブラウザに送り返します。

7. ページの表示

ブラウザはレスポンスを受け取り、HTMLを解析してWebページを表示します。

これら一連の流れにより、ユーザーはWebサイトを閲覧することができます。

通信プロトコルについて(HTTP/HTTPS)

通信プロトコルとは、コンピュータ同士がデータをやり取りする際の「ルール」や「手順」を定めた通信規格や規約のことです。

ブラウザとWebサーバーの通信には、主にHTTP(Hypertext Transfer Protocol)とHTTPS(HTTP Secure)という2つのプロトコルが使用されます。

HTTP

HTTPは、Webページの転送に使用される基本的なプロトコルです。しかしながら、HTTPは暗号化されていないため、通信内容が第三者に傍受される可能性があります。

HTTPS

HTTPSは、HTTPにSSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)による暗号化を加えたプロトコルです。これにより、通信内容が暗号化され、セキュリティが大幅に向上します。

最近では、Google ChromeなどのブラウザがHTTPSを推奨しており、多くのWebサイトがHTTPSを採用しています。HTTPSの利用は、ユーザーの個人情報保護やWebサイトの信頼性向上につながるため、Webサイトの運営者にとっても重要な要素です。

Webサーバーと他のサーバーの違い

サーバーと呼ばれるものは数多く存在し、Webサーバーはあくまでもその中の一つです。サーバーはそれぞれ異なる特徴と役割を持っています。ここではWebサーバーとよく耳にする以下のサーバーを取り上げ、それぞれの違いについて解説します。

  • アプリケーションサーバー(APサーバー)とWebサーバーの違い
  • データベースサーバー(DBサーバー)とWebサーバーの違い
  • FTPサーバーとWebサーバーの違い

アプリケーションサーバー(APサーバー)とWebサーバーの違い

Webサーバーとアプリケーションサーバー(APサーバー)は、どちらもWebアプリケーションの運用に関わりますが、その役割は異なります。

▼Webサーバーの役割

  • 静的なコンテンツ(HTML、CSS、画像ファイルなど)の配信
  • HTTPリクエストの処理とレスポンスの返送
  • 基本的なセキュリティ対策(アクセス制御など)

▼APサーバーの役割

  • 動的なコンテンツの生成(PHPやJavaなどのプログラムの実行)
  • ビジネスロジックの処理(在庫確認など業務的な処理やルールを管理・実行)
  • データベースとの連携

多くの場合、WebサーバーとAPサーバーは連携して動作し、Webアプリケーションを実現します。例えば、ユーザーからのリクエストをWebサーバーが受け取り、必要に応じてAPサーバーに処理を依頼し、その結果をWebサーバーを通じてユーザーに返すといった流れです。

データベースサーバー(DBサーバー)とWebサーバーの違い

データベースサーバー(DBサーバー)は、Webサイトやアプリケーションで使用されるデータを保存、管理するためのサーバーです。

▼Webサーバーの役割

  • Webページの配信
  • HTTPリクエストの処理
  • 静的コンテンツの管理

▼DBサーバーの役割

  • データの保存と管理
  • データの検索や更新処理
  • トランザクション管理:データの一連の処理(トランザクション)が正しく実行されるように制御する仕組みのこと。
  • データのバックアップと復元

WebサーバーとDBサーバーは、多くの場合連携して動作します。例えば、ユーザーがWebサイトで検索を行うと、Webサーバーがそのリクエストを受け取り、DBサーバーに問い合わせて結果を取得し、その情報をWebページとしてユーザーに返すといった具合です。

FTPサーバーとWebサーバーの違い

FTP(File Transfer Protocol)サーバーは、ファイルの送受信に特化したサーバーです。

▼Webサーバーの役割

  • Webページの公開と配信
  • HTTPプロトコルを使用した通信
  • Webサイトの閲覧機能の提供

▼FTPサーバーの役割

  • ファイルのアップロードとダウンロード
  • FTPプロトコルを使用した通信
    ※FTPプロトコルとは、インターネット上でファイルを送受信するための「ルール」や「手順」を定めた通信規格のことです。
  • ファイル管理機能の提供

WebサーバーとFTPサーバーは、しばしば同じ物理サーバー上で運用されることがあります。例えば、Webサイトの管理者がFTPを使ってWebサーバーにファイルをアップロードし、そのファイルをWebサーバーが公開するといった使い方がよく見られます。

このようなサーバーごとの役割の違いを理解することで、Webサービスの構築や運用をよりイメージしやすくなります。各サーバーの特性を活かし、適切に組み合わせることで、安定性が高く、パフォーマンスの良いWebシステムを実現できます。

代表的なWebサーバーソフトウェアの種類

APサーバーやDBサーバーなどサーバーにはいくつもの種類がありますが、Webサーバー自体にも様々な種類(ソフトウェア)が存在しています。Webサイトの立ち上げ時などWebホスティングサービスと契約する際に、各ソフトウェアの特徴や強みを知っておくと、どれを選べばよいのか適切な判断が下せます。

以下の代表的な4つのWebサーバーソフトウェアについて、その特徴と利用状況を解説します。

  • Nginx(エンジンエックス)
  • Apache(アパッチ)
  • Lite speed(ライトスピード)
  • IIS(アイアイエス)

Nginx(エンジンエックス)

Nginxは、高性能で軽量なWebサーバーソフトウェアとして知られています。Nginxには以下のような特徴があります。

  • 高いパフォーマンス:少ないリソースで多数のリクエストを処理できます。
  • リバースプロキシ機能:負荷分散やキャッシュ機能を提供します。
  • 静的コンテンツの高速配信:静的ファイルの配信に優れています。
  • 設定の柔軟性:モジュール式の設計により、必要な機能を柔軟に追加できます。

Nginxは、大規模なWebサイトやアプリケーションで広く使用されており、特に高トラフィックのサイトで力を発揮します。WordPressなどのCMSと組み合わせて使用されることも多く、Webホスティング業界でも人気です。

Apache(アパッチ)

Apacheは、長年にわたって広く使用されてきたWebサーバーソフトウェアです。Apacheには以下のような特徴があります。

  • 高い安定性:長年の実績があり、信頼性が高いです。
  • 豊富な機能:多数のモジュールにより、様々な機能を追加できます。
  • 幅広いプラットフォームに対応:Windows、Linux、macOSなど、多くのOSで動作します。
  • 大規模なコミュニティ:多くのユーザーと開発者がサポートしています。

Apacheは、中小規模のWebサイトから大規模なサイトまで、幅広く利用されています。特に、PHPベースのアプリケーションとの相性が良く、WordPressなどのCMSでも広く使用されています。

Lite speed(ライトスピード)

LiteSpeedは、Apache互換の高性能Webサーバーソフトウェアです。LiteSpeedには以下のような特徴があります。

  • 高速性:Apacheよりも高いパフォーマンスを発揮します。
  • Apache互換:Apacheの設定ファイルをそのまま使用できます。
  • 内蔵キャッシュ機能:動的コンテンツのキャッシュにより、応答速度を向上させます。
  • セキュリティ機能:DDoS攻撃対策などのセキュリティ機能を備えています。

LiteSpeedは、特にWordPressなどのCMSを使用したサイトで人気があり、ホスティングプロバイダーでも採用が増えています。高速性と互換性を両立させているため、Apacheからの移行も比較的容易です。

IIS(アイアイエス)

IIS(Internet Information Services)は、Microsoftが開発したWebサーバーソフトウェアです。IISには以下のような特徴があります。

  • Windows統合:Windows ServerのOSに標準で付属しています。
  • .NET Framework対応:ASP.NETなどのMicrosoft技術との親和性が高いです。
  • 管理ツール:GUIベースの管理ツールにより、容易に設定や管理が可能です。
  • セキュリティ機能:Windowsのセキュリティ機能と統合されており、堅牢なセキュリティを提供します。

IISは、主にWindows環境でのWebアプリケーション開発やホスティングに使用されています。特に、.NET Frameworkを使用したアプリケーションの運用に適しており、企業の内部システムやMicrosoft技術を中心としたWebサービスで広く採用されています。

代表的なWebサーバーソフトウェアには、それぞれの特徴と強みがあります。Webサイトやアプリケーションの要件、運用環境、開発言語などを考慮して、最適なWebサーバーを選択することが重要です。また、多くの場合、これらのWebサーバーは単独で使用されるだけでなく、リバースプロキシやロードバランサー※と組み合わせて使用されることも多く、柔軟な構成にすることが可能です。

Webサーバーソフトウェアに関する用語説明

リバースプロキシ:リバースプロキシは、サーバーとインターネットの間に立つ「仲介役」であり、負荷の分散やセキュリティ、キャッシュ機能などを提供するために使われます。

ロードバランサー:複数のサーバーに負荷を均等に分ける仕組み。サーバーに負荷が集中して、操作が遅くなったり、応答できなくなることを防ぐために、リクエストを複数のサーバーに送る役割を果たしています。

無料で使えるWebサーバー

Webサイトを公開するにはWebサーバーを利用しなければなりませんが、必ずしも有料のサーバーを利用する必要はありません。無料でWebサーバーと契約してサイトを立ち上げることができます。

ここでは、無料で利用できるWebサーバーサービスについて紹介します。これらは、個人のブログや小規模なプロジェクトに適しています。なお記載の内容は、2024年12月時点のものになります。最新の提供内容の詳細は、各サービス利用時に確認のうえ、ご利用ください。

XREA(エクスリア)

XREAは、日本の無料レンタルサーバーです。無料プランは自動で表示される広告によって運営されています。以下のような特徴があります。

  • 容量:無料プラン(XREA Free)は、10GBのディスク容量を提供しています。
  • データベース:無料プランでは、最大5つのMySQL(MariaDB)※を利用可能です。
  • ドメイン:独自ドメインの利用が10個まで可能です。無料プランでも独自ドメインを設定できますが、広告が表示されます。
  • プログラミング言語:PHPが利用可能です。

※MySQL(MariaDB)とは、テーブル形式のデータを効率的に管理・操作するためのデータベース管理システムです。記事やブログの投稿などに代表されるデータを格納しています。

XREAは、個人のWebサイトやブログ、小規模なWebアプリケーションの運用に適しています。無料プランでは広告が表示され、広告なしのプランは有料のXREA Plusプランにアップグレードすることで利用可能になります。

シンフリーサーバー

シンフリーサーバーは、日本の無料レンタルサーバーです。主な特徴は以下の通りです。

  • 容量:無料プラン(シンフリーサーバー)では、10GBのディスク容量を提供しています。
  • データベース:無料プランでは、最大5つのMySQL(MariaDB)を利用可能です。
  • ドメイン:無料プランでは、独自ドメインの利用が10個まで利用可能です。
  • プログラミング言語:PHP、Perl、Pythonなどに対応しています。

シンフリーサーバーは、広告表示やサポートが利用できませんが、MySQLも利用でき、10GBの容量を提供しているため、個人のポートフォリオサイトや小規模なビジネスサイトの運用に適しています。また、SSHアクセス※も可能なため、開発者にも使いやすいサービスです。

※SSHアクセス:ネットワーク上の遠隔にあるサーバーやコンピュータに対して、安全に接続して操作を行うための暗号化された通信方法で、主にコマンドラインによる文字を使った指示(コマンド)によるリモート管理に利用されます。

StarServerFree(スターサーバーフリー)

StarServerFreeは、GMOインターネットグループが提供する無料のレンタルサーバーサービスです。特徴は以下の通りです。

  • 容量:無料プランのフリー PHP+MySQLプランでは、2GBのディスク容量を提供しています。
  • データベース:MySQLが利用可能です。
  • ドメイン:1件のマルチドメインの利用が可能
  • サポート:無料プランは、メールによるサポートを提供していません。

StarServerFreeは、大手企業が運営しているため、安定性と信頼性が高いのが特徴です。また、無料プランでありながら比較的大きな容量を提供しているため、画像や動画を多く使用するサイトにも適しています。

Google Cloud ウェブホスティング(グーグルクラウドウェブホスティング)

Google Cloud ウェブホスティングは、Google Cloud Platformの一部として提供されているサービスで、以下のような特徴があります。

  • 容量:無料ストレージの提供はありませんが、トライアルやプロモーションで期間限定で利用できるクレジットが提供されています。
  • スケーラビリティ:必要に応じて簡単にリソースを拡張や縮小が可能です。
  • 高性能:Google Cloudは、世界中に分散したデータセンターを持ち、高いパフォーマンスと安定した運用ができる環境を提供しています。
  • 開発ツール:開発者に向けて、多様な開発ツールやAPIを提供しています。

Google Cloud ウェブホスティングは、開発者向けのサービスであり、一定の技術力が必要です。しかし、高度なWebアプリケーションやクラウドサービスの開発・運用に適しています。

Wix(ウィックス)

Wixは、ドラッグ&ドロップで簡単にWebサイトを作成できるサービスです。Webサーバーも利用することが可能です。無料プランには以下のような特徴があります。

  • 容量:無料プランでは、500MBのストレージスペースを提供しています。
  • デザイン:豊富なテンプレートを提供しています。
  • ドメイン:無料プランでは、Wixのサブドメインを無料で利用できます。独自ドメインを利用する場合は、有料プランにアップグレードが必要です。
  • モバイル対応:自動的にモバイルフレンドリーなサイトを作成できます。

Wixは、プログラミングスキルがなくてもプロフェッショナルなWebサイトを作成できるため、個人や小規模ビジネスのオーナーに適しています。ただし、無料プランでは、高度なカスタマイズには制限があります。

これらの無料Webサーバーサービスには、それぞれ異なる特徴と制限があります。自分のニーズや技術力に合わせて適切なサービスを選択することが重要です。また、将来的なサイトの成長を考慮し、有料プランへのアップグレードも視野に入れて検討するとよいでしょう。

Webサーバーの選び方

Webサーバーの選択は、Webサイトやアプリケーションの性能、安定性、セキュリティに大きな影響を与えるため、丁寧な比較・検討が必要です。ここでは、いくつかの切り口から用途別に、どのようにWebサーバーを選んだらよいのかについて解説します。

企業サイトや個人ブログ

企業サイトや個人ブログなど、比較的小規模で静的なコンテンツが中心のWebサイトの場合、以下のようなWebサーバーを選択すると良いでしょう。

  • レンタルサーバー
  • VPS(仮想プライベートサーバー)

レンタルサーバー

レンタルサーバーとは、インターネット上でWEBサイトの公開やデータ保存などを行うために、サーバーの機能やスペースを提供するサービスのことです。

  • メリット:低コスト、管理が容易、初期設定が簡単
  • デメリット:カスタマイズ性が低い、他のユーザーとリソースを共有

VPS(仮想プライベートサーバー)

VPS(Virtual Private Server:仮想プライベートサーバー)は、大きなサーバーを仮想的に小さな部屋に分けて、1人1部屋ずつ貸し出すような仕組みです。自分専用の環境として使えるので、自由にソフトを入れたり設定を変えたりできますが、実際には他の利用者と同じ物理サーバーを共有しています。

  • メリット:独立したサーバー環境、柔軟なカスタマイズが可能
  • デメリット:レンタルサーバーより高コスト、ある程度の技術力が必要

これらのサイトでは、Apache、Nginxなどの一般的なWebサーバーソフトウェアが使用されることが多く、WordPressなどのCMSとの相性も良好です。セキュリティ面では、SSL証明書の導入やレンタルサーバー業者提供のセキュリティサービスの利用を検討しましょう。

大規模サービスやWebアプリケーション

大規模なWebサービス(ECサイトやDBサイト、SNSなど)や複雑なWebアプリケーション(ゲームなど)の場合、以下のような選択が考えられます。

  • 専用サーバー
  • クラウドサーバー

専用サーバー

専用サーバーとは、1台の物理サーバーをまるごと1人の利用者が独占して使えるサービスで、他のユーザーとリソースを共有しないため、高い自由度や性能、安定性が求められる用途に適しています。

  • メリット:高性能、完全な管理権限、セキュリティの強化が可能
  • デメリット:高コスト、管理に高度な技術が必要

クラウドサーバー

クラウドサーバー とは、インターネット経由で必要なときに自由に使えるサーバーで、物理サーバーを複数の仮想サーバーとして提供する仕組みを使い、利用者はサーバーのリソース(CPU、メモリ、ストレージ)を必要に応じて増減できる柔軟性があります。

  • メリット:柔軟なスケーリング、グローバルな展開が容易、従量課金制
  • デメリット:複雑な構成になる可能性、コスト管理が必要

大規模サービスでは、Nginxのような高性能なWebサーバーソフトウェアが選ばれることが多く、アプリケーションサーバーやデータベースサーバーと組み合わせて使用されます。また、負荷分散やCDN(Content Delivery Network)の導入も検討する必要があります。

※CDN(Content Delivery Network)とはWebコンテンツを迅速に配信するためのネットワークです。動画などの大容量コンテンツの配信や、アクセスが集中しているとき、サーバーとの物理的な距離が離れているときに、コンテンツの提供が早くなるようにするためのネットワークです。

補足:クラウドベースのサーバー(クラウドプラットフォーム)って何?

最近では、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud Platform、Microsoft Azureなどのクラウドプラットフォームを利用するケースも増えています。クラウドベースのサーバーには以下のような特徴があります。

  • スケーラビリティ:トラフィックの変動に応じて簡単にリソースを調整できます。
  • グローバル展開:世界中のデータセンターを利用して、遅延の少ないサービス提供が可能です。
  • 豊富なサービス:データベース、ストレージ、AIなど、様々なオプションサービスを利用して拡張ができます。
  • 安定した運用

自動的な冗長化やバックアップ機能により、安定した運用を実現できます。障害が発生しても自動で切り替えられる仕組みが整っており、サービスの停止やデータ損失を防ぎやすくなります。

クラウドベースのサーバーは、スタートアップから大企業まで幅広く利用されています。特に、急成長が見込まれるサービスや、グローバル展開を目指すプロジェクトに適しています。

Webサーバーの選択で考慮するポイント

Webサーバーの選択には、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。

  • トラフィック量と成長予測
  •  必要なパフォーマンスと応答速度
  •  セキュリティ要件
  •  予算
  •  運用・管理の容易さ
  •  スケーラビリティ
  •  使用する技術スタック

これらを総合的に評価し、プロジェクトやビジネスのニーズに最も適したWebサーバーソリューションを選択することが重要です。また、将来的な拡張性も視野に入れて、柔軟に対応できるソリューションを選ぶことをおすすめします。

WebサーバーとSEOへの影響

Webサーバーの設定や性能は、サイトのSEO(検索エンジン最適化)にも影響を与えます。ここでは、WebサーバーがSEOに与える影響の一例について、初心者の方にもわかりやすく解説します。

サーバーの速度とパフォーマンス

サーバーの速度とパフォーマンスは、SEOに影響がある要素の一つです。Google検索セントラルブログによると、Googleは、ページ読み込み速度をモバイル検索のランキング要素の一つとして使用しています。Google PageSpeed Insights で初期応答速度の確認をして現状を把握しながら、必要に応じて対策を検討するとよいでしょう。

サーバーレスポンスタイム

サーバーがリクエストに応答するまでの時間が著しく遅い場合は、サイトのパフォーマンスに影響します。応答が遅いとユーザーが離脱し、検索順位にも悪影響を与えることがあります。サーバーの応答時間を短縮するために、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • Webサーバーを選ぶ際に、高速なWebサーバーを選ぶ
  • 不要なプラグインを削除する

キャッシュの活用

キャッシュを有効化することで、ユーザーの再訪時に読み込みが早くなります。特に、画像やスタイルシートなどをキャッシュに保存する設定は、読み込みが早くなるため、ページの表示速度の改善に繋がります。

サーバーの稼働率

サーバーが安定していて稼働率が高いことは、検索エンジンクローラーにとっても良い影響を与えます。

ダウンタイムの最小化

サーバーが停止する時間(ダウンタイム)が長いと、検索エンジンは「信頼性が低いサイト」と判断し、ランキングの評価に悪影響を与えることがあります。サーバーを選ぶ際に、ダウンタイムが短く、稼働率が高いサーバーを選び、定期メンテナンスの時間を短縮しましょう。

エラーページの設定

ユーザーがアクセスしたページが存在しない場合には、404エラーページを表示すると、ユーザーが混乱せず、他のページに誘導できます。適切なエラーページを用意し、ユーザー体験を向上させましょう。

高い稼働率を維持することで、検索エンジンクローラーに安定してサイトをクロールしてもらうことができ、SEOにポジティブな影響を与えます。

SSL/TLSの設定(HTTPS対応)

HTTPS(SSL/TLS)の導入は、検索エンジンのページ評価にもプラスの影響を与えます。
Google検索セントラルによると、Googleの検索結果で、高い評価を得るためには、多くの要素について検討する必要があり、安全なHTTPSでコンテンツを配信していることについても、優れたページエクスペリエンスを提供するための一つとして説明されています。

Search ConsoleのHTTPSレポートを確認し、HTTPS以外で配信されているページを改善することで、セキュリティを強化し、間接的にSEOにもポジティブな影響を与えることができます。

サーバーのセキュリティ

サーバーのソフトウェアを定期的にアップデートすることで、ハッキングやマルウェア感染のリスクを低減できます。自動更新機能を活用したり、定期的にセキュリティパッチを適用したりして、常に安全な状態を保ちましょう。

適切なセキュリティ対策を講じることで、サイトの信頼性を高め、検索エンジンからも安全性の高いサイトとして評価されることで、長期的なSEOパフォーマンスの向上につながります。

SEOにおいてWebサーバーの選択・運用は重要

このように、Webサーバーの選択と適切な設定はSEOにおいて重要です。速度、安定性、セキュリティなどの要素を最適化することで、検索エンジンからの評価を長期的に高め、より多くのオーガニックトラフィックを獲得することができます。また、これらの最適化は、同時にユーザーエクスペリエンスの向上にもつながり、結果としてサイトの全体的なパフォーマンス向上につながります。

WebサーバーとSEOの関係を意識し、適切な対策を講じることで、競争の激しい環境においても、優位性を確保することにつながるでしょう。

まとめ:Webサーバーとは?種類や仕組みについてわかりやすく解説

本記事では、Webサーバーの基本概念から種類、仕組み、選び方、そしてSEOへの影響まで解説しました。

Webサーバーは、インターネット上でWebサイトを公開し、ユーザーからのリクエストに応じてWebページを提供する役割を果たします。主な機能として、以下があります。

  • Webページの保存と管理
  • リクエストの処理とレスポンスの返送
  • セキュリティの確保
  • 負荷分散

本記事では、特に主要なWebサーバーソフトウェア(Nginx、Apache、LiteSpeed、IIS)の特徴、選定時の重要な考慮要素(パフォーマンス、セキュリティ、予算など)、SEOへの影響、そして無料で利用可能なWebサーバーサービスについて説明しましたが、WebサーバーソフトウェアやWebサーバーサービスにはそれぞれ異なる特徴と制限があるため、ニーズに合わせて選択すると良いでしょう。

適切なWebサーバーの選択と設定は、Webサイトやアプリケーションの成功に貢献します。本記事で解説した内容を参考に、プロジェクトのニーズに合ったWebサーバーを選択し、最適化することで、パフォーマンスの高い、安定したWebサービスを提供することができるでしょう。

この記事を書いたライター
Keywordmap編集部
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