購買プロセスとは?基本から最新まで13のフレームワークを紹介

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商品やサービスが数多く存在する現代において、購買プロセスを理解することは、効果的なマーケティング施策を打ち出す上で欠かせません。

「消費者はいかにして買うのか」

本記事では、消費者が商品やサービスを認知し、検討し、実際に購入・共有するまでの一連の流れ、つまり「消費者はいかにして買うのか」という購買プロセスの基本的な考え方について解説します。また購買プロセスを体系化した各種モデルやフレームワークについても、基本となるものから直近提唱されているものまで13個をそれぞれ一つ一つ丁寧に紹介します。最新のトレンドを押さえながら、マスメディア・Web・BtoB・SNSなど、さまざまな視点から購買プロセスを学び、具体的な改善方法を探っていきましょう。

購買プロセスとは

購買プロセスとは、消費者が商品やサービスを認知してから購入するまでの一連の流れを指します。購買プロセスを理解することで、企業は消費者心理を可視化し、消費者の行動を予測しやすくなるため、より効果的なマーケティング戦略やマーケティング施策を立てることができます。また、購買プロセスの各段階に応じて的確に消費者へアプローチすることで、購買行動を促すことが可能になります。

購買プロセスと購買行動、消費行動との違い

購買プロセスの他に「購買行動」や「消費行動」という言葉があります。これらの言葉はよく混同されがちなので、それぞれの意味を整理しておきましょう。

先述した通り、購買プロセスとは、商品やサービスを認知してから購入に至るまでの流れを意味します。「購買行動」も購買プロセスと同じ意味を持ち、「購買行動プロセス」と呼ばれることもあります。

一方、「消費行動」とは、消費者が商品やサービスを購入する行動そのものを指します。また、文脈によっては、消費者が商品やサービスを購入した後、どのように使用し、どのように反応するかという購入後の使用行動を意味する場合もあります。

その他、似た言葉として「消費者行動」という言葉もありますが、消費者行動はより包括的な意味を持ち、消費者の購買プロセス(または購買行動、購買行動プロセス)と消費行動を含む消費者の行動全体を指します。

購買プロセスを理解するメリット

購買プロセスを理解することで得られるメリットは3つあります。それぞれマーケティングをする上で非常に重要なメリットですので、理解しておきましょう。

  • 顧客のニーズを的確に把握できる
  • 効果的なマーケティング施策の立案
  • ブランドロイヤルティの向上

顧客のニーズを的確に把握できる

どの業界でも消費者に選ばれるためには、ニーズを捉えた商品・サービス開発だけではなく、購入までスムーズに導く仕組みが欠かせません。購買プロセスを理解することで、購買プロセスの各フェーズにおける消費者の不安や疑問、ニーズを的確に把握し、どの段階でどんな情報を提供すべきかを明確にすることができます。

消費者が必要とするタイミングで必要な情報を提供することで、購入までスムーズに導くことができるようになります。

効果的なマーケティング施策の立案

消費者の行動パターンが分からないままマーケティング活動を行っていると、無駄な広告費やミスコミュニケーションが発生しやすくなります。

購買プロセスを理解することで、消費者が何をきっかけに商品やサービスを知り、どのように比較検討し、どういう理由で購入に至るかを把握することができます。すると、購買プロセスの各フェーズに応じて最適な施策を打つことができ、消費者の購買意欲を段階的に高め、コンバージョン率(CVR)や成約率の向上を期待することができます。

ブランドロイヤルティの向上

消費者の購買プロセスを理解し、購買プロセス全体で消費者にポジティブな顧客体験を提供できれば、ブランドに対する信頼感や愛着が高まり、ロイヤルティの向上に繋がります。その結果、リピート購入や長期的なファンづくりの基盤となり、顧客生涯価値(LTV)の向上を期待することができます。

購買行動モデルを知ろう

なお、購買行動のメリットを得るためには、消費者の購買プロセスを可視化し、各フェーズで消費者が何を感じ、何を求め、どのような行動を取るのかを具体的に把握することが重要です。これから消費者の購買プロセスを理解する上で役立つ購買行動モデルを見ていきましょう。

購買行動モデル

購買プロセスの理解を深めるためには、購買行動モデルを知ることが近道です。

購買行動モデルとは、消費者の購買プロセスをわかりやすくフレームワーク化したものです。消費者の購買行動を可視化し、各段階で消費者に対してどのような関わり方(アプローチ)が有効かを示します。これから代表的な購買行動モデルを解説していきます。

購買意思決定プロセス

購買意思決定プロセスは、マーケティングの父と呼ばれているフィリップ・コトラー氏が提唱した購買行動モデルです。本モデルでは、消費者が商品やサービスを購入するまでの購買行動を以下の5段階で説明しています。

  1. 問題認識  :消費者が問題やニーズを認識する
  2. 情報探索  :消費者が問題解決につながる情報を探索する
  3. 代替品評価 :消費者が問題解決につながる複数の商品・サービスを評価する
  4. 購買決定  :消費者が商品・サービスを購入する
  5. 購買後の行動:消費者が購入した商品・サービスの価値や体験を評価する

それぞれの段階をより具体的に見ていきましょう。

問題認識

購買意思決定プロセスの第一段階は「問題認識」です。消費者が何かしらのニーズや課題を感じることで購買行動が始まります。問題を認識した段階が購買意思決定プロセスのスタート地点であり、この認識が購買行動を促進する重要なトリガーとなります。

消費者が抱える問題や課題は多岐にわたりますが、その認識が明確であるほど、購買行動につながりやすくなります。企業としては、消費者がどのような問題を抱えているのかを理解し、その解決策をどのように提供できるかを考えることが重要です。

情報探索

購買意思決定プロセスの第二段階は「情報探索」です。消費者は自分が抱える問題を解決するために情報収集を始めます。

様々な選択肢がある中で、消費者が自分に最適な商品やサービスを見つけるために必要です。消費者の信頼を得るためには、詳細な情報を各媒体で発信することが重要になります。情報の探索は、消費者がより自信を持って購入を決定するための重要なステップです。

代替品評価

購買意思決定プロセスの第三段階は「代替品評価」です。消費者は収集した情報をもとに最適な選択肢を見つけ出し、比較検討を行います。

情報の評価は単なる情報収集の延長ではありません。情報収集で得られたデータを総合的に整理し、消費者自身のニーズや状況に照らし合わせて評価するプロセスです。この段階では、消費者のもつ評価基準を正確に把握することが重要になります。そして、企業は消費者の比較検討を助けるコンテンツを提供することでこのプロセスに介入することができます。

例えば、分かりやすい製品比較表や詳細な製品レビュー、ユーザーの声を集めたコンテンツなどを提供することで、消費者の代替品評価をサポートすることができるでしょう。

購買決定

購買意思決定プロセスの第四段階は「購買決定」です。ここで消費者は最終的に商品やサービスを購入するかどうかを決定します。

この段階での消費者の満足度や信頼感を高めるために、企業は様々な施策を導入することが重要です。また、消費者の興味を引く情報を提供するだけでなく、購買プロセス全体を通じて適切なフォローアップやサポートを提供することが、購入を後押しする鍵となります。

購買後の行動

購買意思決定プロセスの第五段階は「購買後の行動」です。消費者は商品やサービスの購入後、その価値や体験を評価します。

消費者は「購買決定」前に商品やサービスに期待を持ちます。そして、購買後にその期待を上回れば満足し、下回れば不満を感じます。消費者が商品やサービスに満足すれば、再購入や口コミでの紹介、SNSによる拡散を期待することができ、企業のブランド価値も向上します。

企業は消費者の商品やサービスに対する満足度を把握しつつ、より満足度を向上するためのオプションやサービスを提供することが重要です。

まずは代表的な購買行動モデルとして購買意思決定プロセスを紹介しましたが、他にもさまざまな購買行動モデルが存在します。ここからはそれらのモデルをご紹介していきます。

マスメディア広告で使われる購買行動モデル

基本となる購買行動モデルについてみた後は、マス広告やWebといった各媒体における購買行動モデルについて、さらに詳しく見ていきましょう。先頭バッターはマスメディア広告の購買行動モデルです。

テレビCMや新聞・雑誌などのマスメディアを活用した広告では、消費者の注意や関心を引き、潜在的な欲求を刺激することで購買行動を促すという点がポイントとなります。ここでは、マスメディア広告で使われる代表的な購買行動モデルとして、AIDA、AIDMA、AIDCASを紹介します。

AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)のイメージ図

AIDA(アイダ)は、広告業界のパイオニアである米国のセント・エルモ・ルイス氏(1872年 – 1948年)によって提唱されました。この購買行動モデルは、消費者がテレビやラジオ、新聞、雑誌、チラシなどのマスメディア広告に触れてから商品・サービスの購入に至るまでの購買行動を説明するフレームワークです。以下4つの言葉の頭文字を取ってAIDA(アイダ)と言われています。

  1. Attention(注目):消費者が商品・サービスを認知する
  2. Interest(興味)  :消費者が商品・サービスに興味・関心を持つ
  3. Desire(欲求) :消費者が商品・サービスに欲求を持つ
  4. Action(行動)    :消費者が商品・サービスを購入する

AIDAの具体例

マーケティング観点から具体例を見ていきましょう。

例えば、化粧品を販売する場合、テレビCMや雑誌の広告などで消費者の注目(Attention)を集め、製品の成分や特徴を伝えることで興味(Interest)を抱かせ、その製品を使うことで得られる具体的なメリットや美肌効果を強調して欲求(Desire)を喚起。最後に、期間限定キャンペーンや割引クーポンを用意するなどして購入(Action)を促すといった流れがAIDAの購買プロセスに則ったマーケティングの例です。

AIDAを理解し活用することで、マスメディア広告やチラシ、店頭POPなどのマーケティング施策がより効果的になり、顧客の購買意欲を高めることが可能です。さらに、このモデルを基に「それぞれの段階でどんな施策が最適か」を考えることで、消費者の心理に沿ったプロモーションを行うことができます。

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)のイメージ図

AIDMA(アイドマ)は、AIDAにMemory(記憶)の「M」を加えた理論です。1920年代に米国で販売や広告の実務書を執筆していたサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱しました。テレビ・雑誌などのマスメディア広告、もしくは店頭やオンライン上での接触を通じて消費者が商品・サービスを認知し、興味を持ち、欲求を抱き、記憶し、最終的に行動(購買)に至るまでのプロセスを整理したモデルです。以下5つの言葉の頭文字を取ってAIDMA(アイドマ)と呼ばれています。

  1. Attention(注目):消費者が商品・サービスを認知する
  2. Interest(興味)  :消費者が商品・サービスに興味・関心を持つ
  3. Desire(欲求) :消費者が商品・サービスに欲求を持つ
  4. Memory(記憶) :消費者が商品・サービスを記憶する
  5. Action(行動)    :消費者が商品・サービスを購入する

AIDMAの例

AIDAと同様に化粧品ブランドを例にすると、テレビCMやSNS広告で注意(Attention)を引き、製品の成分や機能を調べて興味(Interest)を抱かせ、実際に使ってみたいという欲求(Desire)を喚起し、一度店頭でテスターを体験した記憶(Memory)が購買を後押しし、最終的に店舗やオンラインで購入(Action)に至るという流れが、AIDMAの購買プロセスになるでしょう。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)のイメージ図

AIDCAS(アイドカス)は、AIDAやAIDMAをさらに発展させた購買行動モデルで、消費者の購買行動をより詳細に捉えるために考案されました。購買行動を後押しする「確信(Conviction)」と購入後の「満足(Satisfaction)」まで含めた点が特徴です。購買後の顧客満足度や口コミの重要性を加味することで、より包括的な消費者の心理と行動を説明しています。以下6つの言葉の頭文字を取ってAIDCAS(アイドカス)と呼ばれています。

  1. Attention(注目)     :消費者が商品・サービスを認知する
  2. Interest(興味)  :消費者が商品・サービスに興味・関心を持つ
  3. Desire(欲求)      :消費者が商品・サービスに欲求を持つ
  4. Conviction(確信)  :消費者が商品・サービスを購入する価値があると確信する
  5. Action(行動)         :消費者が商品・サービスを購入する
  6. Satisfaction(満足):消費者が商品・サービスを購入して満足する

AIDCASの例

スポーツ用品店が新しいランニングシューズを売り出す場合で考えてみましょう。

まず広告で注意(Attention)を引き、デザインや新しい機能に興味(Interest)を持たせます。その後、実際に試着してもらい欲求(Desire)を高め、他のランナーの評価やプロの推薦で確信(Conviction)を持ってもらい、購入(Action)を促します。買った後も履き心地に満足(Satisfaction)してもらうことで、リピートやクチコミ、SNSでの好評を得るといった流れがAIDCASの購買プロセスになります。

Web上での購買行動モデル

インターネットが普及した現代では、消費者の購買行動に「検索」が不可欠となりました。これは、マス広告時代には存在しなかった新しい購買行動です。重要なのは「検索」という行為が消費者の能動的なアクションであることです。消費者が一方的に情報を受け取るだけだったマス広告との明確な違いはこの点にあります。

ここでは、オンライン上での消費者の購買行動モデルとして、AISASとAISCEASの2つを紹介します。

AISAS(アイサス)

AISAS(アイサス)のイメージ図

AISAS(アイサス)は、2004年に広告代理店大手の株式会社電通がインターネット時代における消費者の購買行動を説明するために提唱したモデルです。AIDAやAIDMAなどとは異なり、「Search(検索)」や「Share(共有)」といったインターネット上の行動が加わった点が特徴です。以下5つの言葉の頭文字を取ってAISAS(アイサス)と呼ばれています。

  1. Attention(注目)     :消費者が商品・サービスを認知する
  2. Interest(興味)  :消費者が商品・サービスに興味・関心を持つ
  3. Search(検索)     :消費者が商品・サービスを検索する
  4. Action(行動)         :消費者が商品・サービスを購入する
  5. Share(共有)    :消費者が商品・サービスの感想や体験を共有する

AISASの例

消費者の視点から新発売のスイーツを例にAISASを見てみましょう。

新発売のスイーツがSNS投稿などで注目(Attention)を集め、「美味しそう」と思って興味(Interest)を持ちます。そこで具体的に口コミや店舗情報を検索(Search)、実際に店舗へ行って購入(Action)し、写真付きでSNSに投稿(Share)するといった流れがAISASの購買プロセスといえるでしょう。

「Share(共有)」が次の「Attention(注目)」を生む循環が起きやすくなります。

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)のイメージ図

AISCEAS(アイシーズ)は、AISASを発展させた購買行動モデルで、2005年に有限会社アンヴィコミュニケーションズの望野和美氏によって提唱されました。AISASの「Search(検索)」以降をより細分化し、インターネット上での比較(Comparison)や検討(Examication)のプロセスが加わりました。以下7つの言葉の頭文字を取ってAISCEAS(アイシーズ)と呼ばれています。

  1. Attention(注目)      :消費者が商品・サービスを認知する
  2. Interest(興味)   :消費者が商品・サービスに興味・関心を持つ
  3. Search(検索)         :消費者が商品・サービスを検索する
  4. Comparison(比較) :消費者が他の商品・サービスと比較する
  5. Examination(検討):消費者がどの商品・サービスを購入すべきか検討する
  6. Action(行動)          :消費者が商品・サービスを購入する
  7. Share(共有)     :消費者が商品・サービスの感想や体験を共有する

AISCEASの例

AISASと同じく消費者視点の例を見てみましょう。

例えば、スマートフォンの新機種販売において、広告やニュースで注目(Attention)を集め、新機能に興味(Interest)を持つとします。その後、Webで検索(Search)を行い、スペックや評判を調べ、他社機種との性能や価格を比較(Comparison)し、実際に自分の用途に合っているか検討(Examination)。納得して購入(Action)し、使用感をSNSで共有(Share)するという流れがAISCEASの購買プロセスです。

AISCEASは、比較・検討段階が明確なほど、ユーザーのニーズに即した情報提供が要求されます。

SNS上での購買行動モデル

能動・受動の違いはあれど、マス広告もWeb検索も一方向のアクションに限定されていました。しかしSNSの登場により、ベクトルは双方向となり、企業だけでなく消費者の情報も購買行動に大きな影響を及ぼすようになっています。

SNSは、企業やインフルエンサーの情報発信を簡単にチェックできるようにしただけでなく、インフルエンサーやユーザー同士のコミュニケーションを活発にしました。写真や動画を通じて商品を紹介したり、友人の反応がきっかけで購入したりと、消費者の行動を左右する要素が多様化しています。SNS特有の拡散力を活かした購買行動モデルとして、VISASやSIPSが提唱されています。

VISAS(ヴィサス)

VISAS(ヴィサス)のイメージ図

VISAS(ヴィサス)は、インターネットやSNSを利用した情報拡散とユーザー同士の影響力が高まった現代の消費行動を整理するために考案された購買行動モデルです。VISASは、2010年にITビジネスアナリストの大元隆志氏によって提唱され、消費者がオンライン上での拡散や共感を通じて購買行動へ至り、さらにその体験を周囲へ共有していく流れを示しています。以下5つの言葉の頭文字を取ってVISAS(ヴィサス)と呼ばれています。

  1. Viral(口コミ)     :SNSの投稿や口コミによって消費者が商品・サービスを知る
  2. Influence(影響) :消費者が口コミから影響を受ける
  3. Sympathy(共感):消費者が口コミに共感する
  4. Action(行動)      :消費者が商品・サービスを購入する
  5. Share(共有)      :消費者が購入した商品・サービスの口コミを共有する

VISASの例

消費者の視点からカフェを訪れる例を参考にVISASについてみていきましょう。

SNSで「このお店のラテが美味しい」と話題になり(Viral)ます。有名なフードブロガーや友人が絶賛しているのを見て「行ってみようかな」と思い(Influence)、お店の雰囲気やコンセプトが「自分の好みと合う」と感じ、さらに行きたくなりました(Sympathy)。実際にお店に足を運び(Action)、ラテの写真や「美味しかった」という感想をSNSに投稿します(Share)。これがVISASの購買プロセスです。

VISASモデルは口コミを起点に影響を受け、共感が高まった段階で行動に移り、最終的には自分が得た満足を再び共有して新たなバイラルを生む循環を表しています。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)のイメージ図

SIPS(シップス)は、SNS時代において商品やブランドへの共感を通じて購入・共有へと繋がる購買行動を表すモデルとして、2011年に株式会社電通によって提唱されました。共感を起点に消費者が商品・サービスやブランドに惹きつけられ、情報収集や購入、企業の販促活動への参加を経て、最終的に共有・拡散する流れを説明しています。以下4つの言葉の頭文字を取ってSIPS(シップス)と呼ばれています。

  1. Sympathize(共感):消費者がブランドや商品・サービスに共感する
  2. Identify(確認)       :消費者が商品・サービスの詳細情報やレビューを確認する
  3. Participate(参加) :消費者が商品・サービスを購入したり、イベントやキャンペーンに参加する
  4. Share & Spread(共有&拡散):消費者がSNSや口コミを通じて商品・サービスの感想や体験を共有・拡散する

SIPSの例

アウトドアブランドが自然環境保護の理念を掲げ、SNSなどで消費者の共感(Sympathize)を得ます。興味を持った消費者はブランドの公式サイトや体験談を調べ(Identify)、製品を購入してキャンペーンに参加(Participate)します。その体験や写真をSNSで広め(Share & Spread)、さらに多くの人が共感するという流れがSIPSの購買プロセスです。

SIPSを活用したマーケティングでは、消費者の共感を生み、商品やサービスへの理解を深め、顧客参加型の施策を通じて顧客との関係性を強化し、商品やサービスの共有・拡散を促すことが重要で、ブランドロイヤリティを強く高めることにつながります。

BtoB(企業間取引)の購買行動モデル

BtoB(企業間取引)の場合、商品の検討期間が長く、意思決定プロセスに複数の部署や担当者が関わるため、一般的な消費者の購買行動モデルでは捉えきれない独自の特徴を持っています。ここでは代表的なBtoBの購買行動モデルであるASICAを紹介します。

ASICA(アシカ)

ASICA(アシカ)のイメージ図

ASICA(アシカ)は、一般社団法人日本BtoB広告協会のアドバイザーである河内英司氏が提唱した、BtoBの購買行動を説明するフレームワークです。BtoBならではの複雑さや特徴を整理し、BtoBの購買行動を分かりやすく説明しています。以下5つの言葉の頭文字を取ってASICA(アシカ)と呼ばれています。

  1. Assignment(課題) :企業が自社の課題を認識する
  2. Solution(解決)      :企業が課題の解決策を探す
  3. Inspection(検証)   :企業が複数の解決策を比較・検証する
  4. Consent(承認)      :関係者や意思決定者の承認を得る
  5. Action(行動)         :企業が商品・サービスを導入・契約・購買する

ASICAの例

生産ラインの自動化を検討している工場を例にASICAについて見てみましょう。まず「既存の工程でコストがかさんでいる」という課題(Assignment)を認識。次に、ロボット導入や外部委託など複数の解決策(Solution)を探し、ベンダー各社を比較・検討し、導入実績や費用対効果を検証(Inspection)。その後、経営陣や関連部署で協議を重ねて、承認(Consent)を得たうえで、実際に発注・設置を行う(Action)という流れになります。ASICAモデルを理解しておくことで、BtoBでの長期的かつ複雑な購買プロセスに沿ったマーケティング戦略を立案でき、見込み顧客に対して的確な情報提供とサポートを行うことが可能になります。

コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデル

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益な情報(コンテンツ)を継続的に提供することでユーザーとの信頼関係を築き、購買行動を促すマーケティング手法です。コンテンツマーケティングが注目される背景には、消費者が自ら情報を収集し、比較検討する流れが主流になったという時代変化があります。コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデルとして、DECAXやULSSASが代表的です。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)のイメージ図

DECAX(デキャックス)は、2015年に電通デジタル・ホールディングスの内藤敦之氏によって提唱された、コンテンツマーケティング時代の消費者行動を5つのフェーズで捉えた、新しい購買行動モデルです。従来のAIDMAなどとは異なり、消費者視点によりフォーカスして購買プロセスを捉えている点が特徴です。本モデルは、以下5つの言葉の頭文字を取ってDECAX(デキャックス)と呼ばれています。

  1. Discovery(発見):消費者がインターネット検索やSNSなどで商品・サービスを発見する
  2. Engage(関係構築):ブログやYouTubeなどのメディアやSNSなどを介して消費者との関係性を構築する
  3. Check(確認):消費者が企業や商品・サービスに興味を持ち、詳細情報や口コミなどを確認する
  4. Action(行動):消費者が商品・サービスを購入する
  5. eXperience(体験・共有):消費者が商品・サービスの感想や体験をSNSなどで共有する

DECAXの例

消費者に焦点を合わせてDECAXの具体例を見てみましょう。新しいコスメブランドを例にすると、SNSの投稿で商品を発見(Discovery)し、ブランドの世界観やコンセプトに惹かれてSNSアカウントをフォロー(Engage)。詳しい成分表や実際の利用者レビューをチェックし(Check)、納得したうえでオンラインショップで購入(Action)。届いた商品を使ってみて、SNSに「こんな風に肌が変わった!」と投稿して周囲に共有する(eXperience)という流れです。

DECAXでは、最初の「Discovery(発見)」と「Engage(関係構築)」が重視されており、コンテンツの質や魅力が鍵となります。また、購入後の「eXperience(体験・共有)」が共有されることで、企業にとっては新たなファンを獲得するチャンスとなります。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)のイメージ図

ULSSAS(ウルサス)は、2020年に株式会社ホットリンクが提唱したSNS時代における消費者の購買行動を捉えるための新しい購買行動モデルです。従来のAIDMAやAISASとは異なり、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を起点として購買行動が循環していく様子を表しています。本モデルは、以下6つの言葉の頭文字を取ってULSSAS(ウルサス)と呼ばれています。

  1. UGC(ユーザー投稿コンテンツ):消費者がSNSやブログ、口コミサイトなどで発信された投稿・レビュー・体験談を見る
  2. Like(いいね!):消費者がUGCに対して好意的な反応を示す
  3. Search① (SNS検索):消費者が商品・サービスをSNS上で検索する
  4. Search②(Google/Yahoo!検索):消費者が商品・サービスについてGoogleやYahoo!で検索する
  5. Action(行動):消費者が商品・サービスを購入する
  6. Spread(拡散):消費者が購入した商品・サービスの体験をSNSや口コミサイトで拡散する

ULSSASの例

DECAXと同様、消費者視点で見ていきましょう。たとえば、新作のコーヒーショップがオープンした場合、SNSに投稿された写真(UGC)を見つけて「いいね!」(Like)します。気になった人は「コーヒーショップ名」やハッシュタグでさらにSNS上で検索(Search①)し、その上でGoogleやYahoo!検索(Search②)で営業時間や場所、口コミサイトの評価を確認。情報に納得したら実店舗へ足を運び購入(Action)し、満足すれば再びSNSに写真を投稿する(Spread)という流れが典型的なULSSASの動きといえます。

このようにULSSASでは、ユーザー同士のSNS上での投稿が起点となり、いいね!や検索を経て購買に至るプロセスが整理されています。

購買プロセスの変化と最新の購買行動モデル

デジタル化やモバイル端末の普及により、消費者の購買プロセスは複雑化・多様化しています。特にSNSの影響力が大きくなったことで、企業からの一方的な情報発信よりも、ユーザー同士の口コミが購買意欲に強く影響するケースが増えました。

さらに、AIやビッグデータを活用したパーソナライズ化が進んでおり、消費者一人ひとりの嗜好や行動履歴に合わせて最適な商品をレコメンドするサービスが一般化しつつあります。こうしたテクノロジーの進化は、購買プロセスの短縮化や選択肢の拡大にも寄与し、企業には常に最新の消費者行動を捉えて施策をアップデートしていく柔軟性が求められます。

購買プロセスの変化

さて、近年の購買プロセスの変化は主に以下5つが挙げられるでしょう。

情報収集の多様化

消費者は検索エンジンだけでなく、SNS、口コミサイト、動画プラットフォームなど、様々なチャネルから情報を収集するようになっています。

また、消費者はインフルエンサーや専門家の意見を参考にしたり、コミュニティで質問したりするなど、様々な方法で情報収集するようになっています。

購買経路の多様化

消費者は実店舗だけではなく、オンラインストア、アプリ、ソーシャルコマースなど、様々なチャネルで購入するようになっています。

また、O2O(Online to Offline)のように、オンラインで情報収集し、実店舗で購入するといった複合的な行動も一般的になっています。

体験重視

消費者は商品やサービスを実際に体験できるような機会を求めるようになっています。

また、消費者は、試供品、サンプル、体験イベントなどを活用し、購入前に商品の価値を確かめたいと考えています。

パーソナライズ化の期待

消費者は自分だけの特別な商品やサービスを求め、パーソナライズされた提案を期待するようになっています。

また、AIを活用したレコメンド機能やカスタマイズ商品などが人気になりつつある。

共感と価値観の重要性

ブランドの価値観やストーリーに共感し、自分自身の価値観と一致する商品やサービスを選ぶ消費者が増えています。

また、消費者は、サステナブルな製品や社会貢献活動を行っている企業の商品・サービスを好む傾向があります。

新しい購買行動モデル

購買プロセスがデジタルシフトし、消費者の購買に対する考え方が変わっていく中で、新たに提唱されている購買行動モデルも増えています。ここでは、BOPIS、EIEEB、そしてコトラーの提唱で注目を集めている5Aモデルを概説します。

BOPIS(ボピス)

BOPIS(ボピス)は、「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字を取った言葉で、オンラインで購入し、実店舗で受け取る購買行動モデルを指します。ECと実店舗を組み合わせることで、送料を抑えつつ受け取りの迅速化を図れます。消費者は、好きなタイミングで商品を取りに行くことができるため、利便性が高まります。Apple Storeオンラインで新型iPhoneを購入し、実店舗のApple Storeで受け取る一連の行動はまさにBOPISです。

BOPISはコロナ禍で急速に普及しましたが、その後もオムニチャネル戦略の一環として利用する企業が増えています。店舗在庫のリアルタイム管理や、店舗まで行くモチベーションを高めるキャンペーンなど、企業側はITとリアルの融合が求められます。

EIEEB(イーブ)

EIEEB(イーブ)は、産業能率大学の小々馬敦教授が提唱したZ世代(1990年代中盤~2010年代序盤生まれ)特有の行動パターンに基づく購買行動モデルです。このモデルは、「自分たちはAIDMAやAISASの流れで買い物していない気がする」というZ世代の学生の声がきっかけとなって作られました。EIEEBは以下5つの段階で構成されています。

  1. Encounter :思いがけなく魅力なものに出会う
  2. Inspire       :魅力的な商品・サービスに共感・共鳴し、自分ごと化する
  3. Encourage:SNSや口コミなどを通じて消費者の不安が解消され、背中を押される
  4. Event        :購買をイベントと捉えながら商品・サービスを購入する
  5. Boost up   :自分が感じたときめきを共有し、他者と高め合う

5Aモデル(Aware, Appeal, Ask, Act, Advocate)

5Aモデルは、フィリップ・コトラー氏が2017年に自著で提唱した購買行動モデルで、インターネットやSNSが一般化した接続性の時代(消費者がネットに繋がっている時代)における消費者の購買プロセスを5段階で説明しています。特徴的なのは、最後の「Advocate(推奨)」によって口コミ効果が拡散し、新たな「Aware(認知)」を生む好循環が作られる点です。

  1. Aware(認知)     :消費者が広告や口コミなどを通じてブランドや商品・サービスを知る
  2. Appeal(訴求)    :消費者が特定のブランドや商品・サービスに惹きつけられる
  3. Ask(調査)         :消費者が魅力を感じたブランドや商品・サービスを調べる
  4. Act(行動)          :消費者が商品・サービスを購入する
  5. Advocate(推奨):消費者がブランドや商品・サービスを他者に勧める

購買プロセスを理解する際の注意点

ここまで購買プロセスを理解するために購買行動モデルを解説してきましたが、購買プロセスを理解する上で注意しなければいけないこともあります。それは以下の5つです。

  • 顧客は常に変化する:顧客の嗜好や行動パターンは時代や環境の変化とともに常に変化します。そのため、定期的に顧客調査を行い、最新の購買プロセスを把握する必要があります。
  • 顧客一人ひとりが異なる:顧客はそれぞれ異なる価値観やライフスタイルを持っています。そのため、一律の購買プロセスで全ての顧客を捉えることはできません。
  • 購買プロセスは複雑化する:デジタル化の進展により、購買プロセスはますます複雑化しています。多様なチャネルやタッチポイントを考慮した分析が必要です。
  • 因果関係の特定が難しい:購買行動に影響を与える要因は多岐にわたっており、全ての因果関係を特定することは困難です。
  • データの質が重要:購買プロセスを分析するためには、正確で信頼性の高いデータが必要となります。データの収集方法や分析方法を適切に行う必要があります。

デジタル化やSNSの普及によって購買プロセスは常に変化しています。現状のトレンドや顧客の状態を正確に把握しないと、実態とのズレや間違った理解をしてしまうリスクがあるので慎重にならなければいけません。

購買プロセスを理解するための方法

実際に、自社のターゲット顧客がどのような購買プロセスを辿っているのか理解するためには概念の理解だけでなく、データの収集や分析も必要になります。例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 顧客調査:アンケート調査、インタビュー、観察など、様々な方法で顧客の意見や行動を収集する。
  • データ分析:ウェブサイトのアクセスログ、購買履歴、SNSの投稿データなどを分析し、顧客の行動パターンを可視化する。
  • カスタマージャーニーマップ:顧客が商品やサービスと接触する一連のプロセスを可視化することで、顧客体験をより深く理解する。
  • A/Bテスト:異なるマーケティング施策の効果を比較し、最適な施策を特定する。

このように、データの収集や分析をした上で自社の顧客はどのような購買プロセスを辿っているか、どの購買行動プロセスに当てはまるか、逆に当てはまらない箇所はどこなのかを精査し、実際の購買プロセスを正しく理解することが重要です。

まとめ

本記事では以下の14個の購買プロセスを紹介しました。それぞれについて、具体例を挙げながら詳しく解説しています。

マスメディア広告で使われる購買行動モデル

  • AIDA
  • AIDMA
  • AIDCAS

Web上での購買行動モデル

  • AISAS
  • AISCEAS

SNS上での購買行動モデル

  • VISAS
  • SIPS

BtoB(企業間取引)の購買行動モデル

  • ASICA

コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデル

  • DECAX
  • ULSSAS

新しい購買行動モデル

  • BOPIS
  • EIEEB
  • 5Aモデル

購買プロセスを把握することで、消費者の行動に寄り添ったマーケティング施策を展開でき、効率的に購買意欲を高めることができます。また、顧客満足度の向上やリピート購入につながるのも大きな利点です。

しかし、デジタル化やSNSの発展により、AIDMAやAISASなど従来型のモデルだけでは把握しきれない購買行動が増えています。AISCEASやSIPS、DECAXのような新しいモデルを組み合わせて活用し、常に最新のトレンドを追いかけることが大切です。

ですが、どれかを理解して自社のマーケティングに生かすというよりは、顧客中心の視点で常に改善を続けていくことの方が重要になります。市場や消費者のトレンド変化を常にウォッチしながら、適切なモデルや分析方法をアップデートしていきましょう。

この記事を書いたライター
Keywordmap編集部
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