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サブスクリプションビジネスとは?BtoCサブスクモデルのメリットや事例を紹介
本記事では、
- そもそもサブスクリプションモデルのビジネスとは何か
- どのようなサービス・運用がユーザーと企業双方に利益をもたらすのか
そして、サービス事例の紹介を通して、サブスクリプションビジネスを成功させるポイントについてお伝えします。
目次
サブスクリプションとは
サブスクリプションは「所有から利用へ」という価値観に合ったサービスです。
「所有から利用へ」とは一体どういうことなのか、まずはじめに、サブスクリプションビジネスを理解する上で重要な概念や特徴をご紹介します。
サブスクリプションビジネスとは
サブスクリプションビジネスとは、消費者がモノやサービスを利用した期間や量に対して対価を支払う課金提供型のビジネスを指します。つまり、モノやサービスを購入するのではなく、サービスを一定期間利用できる「権利」に対して定額料金を支払うサービスです。1カ月単位や1年単位等期間は様々ですが、契約期間内は定額でサービスを利用することができます。これにより、ユーザーはライフスタイルに合わせて、より効率的かつ実用的にモノやサービスの享受することが可能です。
では、元来の定額制サービスとの違いは何でしょうか。
従来の定額サービスとの違い
定額制モデルとサブスクリプショモデルは、ユーザー(顧客)が会員登録して利用する点は似ていますが、目的と重視するポイントが異なります。
定額制は、予め一定の収益を見込んだ上で決められたモノ・サービスをユーザーに提供しています。一方、サブスクリプションモデルはユーザーのニーズを起点にサービスおよび価格を決定します。単なるサービス提供形態ではなく、ユーザーファーストのサービス提供形態というわけです。
サブスクリプションモデルでは、サービス提供を通して蓄積した顧客データをユーザー視点で分析し、よりユーザーが満足し生活の一部として馴染むサービスになるよう改善し続けていきます。データの集積・分析・改善を行い、新サービスへの還元・提供を繰り返すことが、サブスクリプションモデルの本質であると言えるでしょう。
なぜ今サブスクリプションなのか
近年の「所有から利用」というユーザーの価値観・意識の変化が、サブスクリプションの人気が高まっている背景だと考えられます。
では、なぜ「所有から利用」へ人々の価値観は変わって来ているのでしょうか。その要因として以下の3点が考えられます。
- ネット(スマートフォン)の普及
- 社会環境の変化
- 企業側のサービス提供の限界
①ネット(スマートフォン)の普及
いつでもどこでもインターネットを利用できるようになったことで、決済と申し込みが手軽にできるようになったことが挙げられます。
また、ネットを通して様々な情報取集ができることで、ユーザーは消費に慎重になるため、開始や終了のハードルが低いサブスクリプションは手が出しやすいといえます。
②社会環境の変化
これまでモノは所有することが価値とされてきましたが、近年は経験や体験を重視する人が増えており、所有すること自体に価値を感じない風潮があります。
また、非正規雇用の拡大や低賃金等の経済的不安が高まる中、定額で自由度高く利用できるサブスクリプションが人々の心理にフィットするようになりました。
③企業側のサービス提供の限界
モノやサービスがあふれるに従い消費者ニーズが多様化するため、企業は従来のような特定サービスだけでは、ユーザーニーズが掴めなくなってきています。そこで、権利としてモノ・サービスを提供するサブスクリプションビジネスに移行することで、より多くのユーザーニーズを掴み結果的に企業の利益にもつなげることができます。
サブスクリプションモデルはユーザーファースト
このような様々な要因をもとに私たちの生活に浸透し始めているサブスクリプションモデルですが、ユーザー起点という言葉通り、ユーザーに以下のような有利な条件を持っています。
「権利」だけを得られること
会員登録をして定額の料金を支払うことで、そのサービスを利用する権利を受けることがでできます。そのため、利用時の一時的な保管を除き、利用後の保管やメンテナンス、処分は企業側の責任でありユーザーに負担はかかりません。
簡単にサービスを解約できること
最低契約期間が設けられていたり、それ以前に解約する場合に違約金がかかる等の制限・制約がかかるサービスは、サブスクリプションとは言えません。
価値観の変化にこれらも相まって、サブスクリプションモデルの需要は、急激に高まっていると考えられます。なお、たとえ定額制課金であっても、上記条件を満たしていなければサブクスクリプションとは認められないでしょう。
良く混合される「サブスクリプション」と「購入」「レンタル」を区別するためのそれぞれの違いが以下の図になります。
サブスクリプション導入のメリット・デメリット
では次に、サブスクリプションを導入・利用することでもたらされるメリット・デメリットを、ユーザー(顧客)側と企業側それぞれの視点から解説します。
メリット
①ユーザー側のメリット
- 販売価格が高い商品やサービスを手軽な料金で利用できるため、初期費用が大きくかからず利用開始のハードルが下がる
- 期間中は利用し放題のため、使いすぎる可能性もあるサービスの場合も、逆に使えば使うほど1回あたりの金額が低下してお得になる
- モノを持つ必要がなく、置き場所や管理が不要
- いつでも解約可能
②企業側のメリット
- 比較的安価に利用開始できるため新規ユーザーを獲得しやすい
- 継続的で安定的な収入が得られる(見込める)
- ユーザー数を予め把握できるため、在庫管理やアップセルの計画を立てやすい
- ユーザーと継続的な繋がりを得られプロフィールや利用データを蓄積・分析できるため、サービスの改善や他事業にも役立てることができる
- デジタル、アナログ問わず様々な業界や業種で導入できる
デメリット
①ユーザー側のデメリット
- 使用していなくても料金が発生する
- 利用開始のハードルが低いからこそ多くのサービスに手を出し費用がかさみやすい
- 使用しない機能や興味のないコンテンツやサービスも含まれる
- 自分に必要なサービスだけをカスタマイズすることが難しい
- 買切りではないため、利用を止めるとコンテンツやサービスが利用できなくなる
②企業側のデメリット
- サービス開始直後のユーザー数が少なく、契約時には売り上げが計上されないため即利益にはつながらない
- 先行投資をし、後から利益を回収するビジネスモデルのため、計画的かつ戦略的なビジョンが求められる
- 日々変動するユーザーニーズや市場に合わせたコンテンツを取り入れ続ける必要がある
- 新規コンテンツを導入し続けるためのコストがかかる
- ユーザーに継続契約してもらうための施策やノウハウが必要
このように、ユーザー・顧客それぞれにメリット・デメリットがあります。
導入する際はいかにユーザーとの関係性を継続し、利益を生み出していくサービスにするか施策立てていくことがサブスクリプションを成功させる秘訣です。
サブスクリプションモデルのサービス事例
では実際にサブスクリプションモデルを取り入れたサービスはどのようなものがあるのでしょうか。
具体的な事例とともに紹介します。
サブスクリプションカオスマップ
お花のサブスクリプションサービス「Bloomee LIFE」を運営する株式会社Crunch Styleが、2020年度版のtoCサブスクリプションサービスのカオスマップを公開しています。
ちなみに私もBloomee LIFEを利用していますが、なかなか自分では選ばないお花と出会える素敵なサービスです。また、季節を感じるお花がランダムに届くので毎回ワクワクしています。
新サービスが続々と展開され、CM等でも目にするものも多いのではないでしょうか。
サブスクリプションモデル新規参入の特徴として、TOYOTAの「KINTO」や資生堂の「oputune」、キッコーマンの「BOTTLE BREW」など、有形商品を扱う大手メーカーの参入が相次いでいることが挙げられます。
サブスクリプションサービス事例
サブスクリプションは大きく4つの種類に分類できます。
- 定期便タイプ:野菜や果物、花を定期的に送ってくるサービス
- 利用権利タイプ:音楽や動画視聴サービス
- レンタルタイプ:ブランド物等を貸し出すサービス
- 体験を売るタイプ:洋服のコーディネートなどの、カスタマイズを売るサービス
具体的なサービス事例をご紹介します。
snaq.me(定期便タイプ)
snaq.meは月額1,980円(税込)で2週ごとか4週ごとに、自分好みのおやつが届く定期便タイプのサービスです。
<特徴>
- 「ギルトフリー」というコンセプトをもとに、人口着色料やトランス脂肪酸、化学物質などは使わず、”Real Food=目に見えるRealな素材だけを使ったおやつ”だけを取り揃えている
- 申し込みの際に自分の味の好みや、いつどこで食べるか等を回答する「おやつ診断」をすることで、パーソナライズされた8種類のお菓子が定期的に届くようになる(1,000億通り以上の組み合わせがあるそう)
- 届いたおやつに対するリクエストや評価を行うことでパーソナライズ化の精度が上がり、より自分好みのお菓子が食べられる
- スキップやキャンセルも可能なため、お菓子が溜まる心配がない
snaq.meの最大の醍醐味は、ユーザーが届いたお菓子に対するフィードバックをマイページから行うことです。顧客データは常に更新され続けるので、セレクトされるお菓子はその人に合わせてアップデートを繰り返します。つまり、使えば使うほどユーザーが求めるお菓子が届くようになります。これは解約防止やアップセルへの強力な武器になると考えられるでしょう。
snaq.meが提供するのは、お菓子という単なるモノではなく、おやつの時間やおやつを楽しむサブスクリプションならではのおやつ体験と言えます。
Netflix(利用権利タイプ)
Netflixはご存じの通り、世界最大級の動画配信サブスクリプションサービスです。
月額800円(税抜)~で映画・ドキュメンタリー・アニメ・Netflixオリジナル作品などが楽しめます。
<特徴>
- オリジナル作品が多く、毎週毎月新しいコンテンツが追加されるため、いつでも飽きずに豊富なコンテンツを楽しむことができる
- フジテレビと提携しているため、フジテレビ系の映画やドラマ、アニメなどを多く配信している
- 膨大なユーザーデータをもとにオリジナル作品の監督や俳優をキャスティングする(ユーザー目線のキャスティング)
- ユーザーの視聴行動を細かくトラッキングし、個々のユーザーの好みに合わせたトップページが表示される
このように、Netflixは、膨大なデータを蓄積・分析し目に見える結果から商品開発やマーケティングを行なっているため、常にユーザー満足度の高いコンテンツを作成しています。
メチャカリ(レンタルタイプ)
メチャカリは、すべで新品・新作の洋服がレンタルできるおしゃれ好きにはもってこいのサービスです。
<特徴>
- 気に入った洋服を60日間続けてレンタルすると自分のものになるお得システム。
- 3点まで同時レンタル可能で返却すれば交換無制限
- 380円(税抜)の返却手数料がかかるが、クリーニング不要
- 2020年にお手軽プランも追加され、月額2,980円(税抜)~利用可能
新しいファッションに挑戦できるという声が多く、本当に気に入った服だけ欲しいという女性からの人気が高いです。
また、クローゼットがすっきりし断捨離できることもひとつの魅力です。
サブスクリプションビジネス成功のカギ
何度もお伝えしましたが、サブスクリプションビジネスの強みは、顧客と直接繋がることでデータが取れることです。
そのための施策と成功へのポイントについて説明します。
成功に導くポイントとは
サブスクリプションビジネスを成功させるためには、新規ユーザーの獲得はもちろんですが、解約率を減らし既存ユーザーを積み上げることが重要になります。したがって、顧客のロイヤリティを高めてモノやサービスに愛着を感じ利用し続けてもらうことが必須です。そのためにはユーザー視点の考え方が非常に重要となります。
では具体的なサービスのポイントを3つ挙げます。
①お得で気軽に手を出せること
多くのサービスでは、まずはサブスクリプションというシステムや自社サービスの良さを知ってもらおうと、無料お試し期間が用意されています。
これによりハードルを下げて実際にユーザー自身が使いやすいか、自分の要求にマッチしているかなどを確認することができます。また、紹介サービスや利用回数ごとにポイントを付与するなど、ユーザー獲得につながるキャンペーンも有効です。
②豊富なプランがあること
ユーザーを獲得し、ユーザーとの関係を長期的に継続するためには、顧客ひとりひとりに合った無駄のないプランが用意されている必要があります。
所有意識を刺激するために、安価または無料の「お試しプラン」、基本的、一般的なサービス内容を網羅した「ベーシックプラン」、ヘビーユーザーやより上質なサービスを求めるユーザー向けの「プレミアムプラン」、といった段階ごとにプランを用意することがポイントです。
③提案型であること
単なる定額制のサービスというだけではなく、サービス事例に挙げたように、オーダーメイドやレコメンドの機能を持つ提案型サービスが、ユーザー視点のサブスクリプションに求められています。
ビックデータを蓄積して分析できるサブスクリプションだからこそできる、自社独自のサービス提供を考えていきましょう。
カスタマーサクセス(サポート)の重要性
カスタマーサクセスを直訳すると「顧客の成功」であり、成功体験を増やすために、モノやサービスを利用している顧客のフォローや、アップセル・クロスセルによる顧客単価の向上のための能動的な対応が求められます。
よって、サブスクリプションモデルでは、顧客を成功に導くための「カスタマーサクセス」の活動が非常に重要となります。
カスタマーサクセスと混合されるワードとして、カスタマーサポートが挙げられますが、カスタマーサポートは顧客からの問い合わせやクレーム処理に特化しているのが大きな特徴で、基本的に顧客とは受動的なやり取りしかありません。
一方で、カスタマーサクセスは顧客の潜在的なニーズに対して能動的に先回りをして価値を提案することを目的としています。
従来のようなる売り切り型とは異なり、顧客との長期的な繋がりの中で売上を構築していくサブスクリプションモデルの場合、売り上げの増加と解約率の低下をKPIとする考え方が重要です。
カスタマーサクセスを実現させる体制の充実こそ、サブスクリプションモデルの成功に直結していると言えるでしょう。
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まとめ:「サブスクリプションの可能性」
IT分野や食品、ファッションにまで急激な広がりを見せるサブスクリプションビジネスですが、今後もよりサービスが増え市場が伸びていくことが予想されます。
企業の成長のためには、サブスクリプションビジネスを採用することも一つの戦略ですが、やみくもに導入するのではなく、継続的に蓄積した情報の中からユーザー要望を見出し、常にサービスの改善と開発を繰り返しながらユーザー目線のサービスを提案し続ける必要性があります。
そしてそのサイクルを実現できれば、企業と顧客は長期的なWin-Winの関係を築くことができ、結果的に企業は安定した収益を得られます。
ぜひ本記事をサブスクリプションビジネスの戦略立てにお役立てください。
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