AI Overviewsで引用されるページの傾向についての調査

本調査では、通常の検索結果にはランクインしていないにもかかわらずAI Overviewsに引用されるページに着目し、その傾向を明らかにすることを目的としました。具体的には、DR指標を用いて、AI Overviews表示に必要なドメインパワーが通常の1ページ目獲得時よりも低い可能性(仮説1)と、“People Also Ask For”(PASF:他の人はこちらも検索)上位化がAI Overviewsへの引用に影響する可能性(仮説2)を検証。検証結果をもとに、AI検索時代の新たなSEO戦略への示唆をまとめます。
■サマリー
- AI Overviewsに表示されるために必要とされるDRは、1ページ目を獲得するために求められるDRよりも低い。
- PASFで上位を獲得しているページのAI Overviews表示率が4.5%であるのに対し、下位のページのAI Overviews表示率は2.3%であった。PASF上位ページのほうがAI Overviews表示率が高いことから、PASFでの上位化がAI Overviews表示に影響を与える可能性がある。
目次
調査概要
まずは本調査の概要について説明する。
調査背景
2025年3月以降、AI Overviewsの表示クエリが大幅に増加している。[1][2]
また、多数のレポートにて、AI Overviewsによりオーガニック検索結果におけるクリック率が低下していることが指摘されている。[3][4]
これらを踏まえると、AI Overviewsにより、SEOでの流入獲得が難しくなっているという懸念がある。しかし反面、AI Overviewsというこれまでの検索結果とは異なる仕組みを持つ表示領域の重要性が上がっていることで、チャンスが増えたという見方もできる。
通常の検索結果においては、サイトや運営者の信頼性などの評価比重が年々高まっており、領域に強力なプレイヤーがいるサイトや新興サイトにとってはSEOの参入難度が極めて高い状態となっていた。この点、通常の検索結果とは異なる仕組みのAI Overviewsであれば、これらのサイトであっても引用されうるとしたら、新たなチャンスとなり得る。
以上を踏まえ、本調査においては、通常の検索結果ではランクインしていないが、AI Overviewsに引用されているページにスコープをあて、それらが表示されている要因を調査する。
調査内容
「通常の検索結果ではランクインしていないが、AI Overviewsに引用されているページ」の傾向を示すにあたって、以下2つの仮説を設計し、それぞれについて検証を行う。
- AI Overviewsに表示されるために必要とされるDRは、1ページ目を獲得するために求められるDRよりも低いのではないか
- AI Overviewsに引用されるには、「他の人はこちらも検索(People Also Ask For:以下、PASF)」の対策が重要なのではないか
仮説1:AI Overviewsに表示されるために必要とされるDR*は、1ページ目を獲得するために求められるDRよりも低いのではないか
仮説の検証の前に、DRについて確認しておこう。DRとはAhrefsが独自に算出する指標で、ドメイン単位の被リンク状況を元に1〜100のスケールで算出される。一般的には、これが高いほど被リンク状況が良好であると考えられる。
本仮説の検証では、このDRがひとつの基準になる。
調査対象
インフォメーショナル(情報収集型)クエリに分類されるKW(n=10,000)を対象として、AI Overviewsで引用されるすべてのページを取得。(2025/3/14時点)
同KW群のうち、2,300KWでAI Overviewsの出現が確認されたため、同KWにおいて1位〜10位のランクインするページも同様に取得。
これらのページを対象として調査を行った。
▼対象KW例

検証方法
- 調査対象URLについて、ahrefsでDRを取得する
- 「通常の検索結果(以下、Organic)にのみ表示されるページ」「AI Overviewsにのみ表示されるページ」「OrganicにもAI Overviewsにも表示されるページ」の3つに分類し、それぞれのDRを比較した
検証結果
DRは以下の順に高い結果となった。
- OrganicにもAI Overviewsにも表示されるページ
- Organicにのみ表示されるページ
- AI Overviewsにのみ表示されるページ
▼ DR分布の比較

以上を踏まえると、OrganicとAI Overviewsでは、AI Overviewsに求められるDRはOrganicよりも低いと言えそうである。
仮説2:AI Overviewsに引用されるには、PASFで上位を獲得することが重要なのではないか
続いて、AI Overviewsへの引用とPASF(他の人はこちらも検索)の相関についてみていきたい。AI Overviewsに引用されるには、上位を獲得することが重要なのではないかという仮説を検証している。
仮説背景
2025年3月5日にGoogleが公開したAI Modeのドキュメントにおいて、”query fun-out”という仕組みを用いていることが明かされた。[5]
この”query fun-out”の仕組みでは、関連する複数の検索を同時に実行し、それをまとめるかたちで回答を生成する。
通常のAI Overviewsではそうした仕組みは明かされていないが、クエリに関連するトピックが回答に含まれる場合には、そのトピックにおいて評価されているページが引用される可能性はあるのではないかと考えられる。
PASFには通常、クエリに関するサブトピックとなるクエリ候補が表示されるため、上記の考えからすれば、PASFで評価されるページはメインクエリのAI Overviewsに引用される可能性がある。
以上を踏まえ、PASFでの上位表示とメインクエリのAI Overviewsでの表示に何等かの関係があるのではないかと仮説立てて検証を行った。
調査対象
- 仮説1でAI Overviewsの出現が確認できた2,300KWについて、PASFとその上位10ページを取得
- 取得した上位10ページのうち、Organicの1位~10位を獲得していないものを調査対象ページとした
例:
「スマートシティ」では上位10位圏外だが、そのPASFである「スマートシティ 候補地」では上位を獲得できているページ
検証方法
- 調査対象ページについて、PASFで3位以内を獲得しているものを上位ページ、それ以外を下位ページと定義
- 調査対象ページについて、AI Overviewsが表示されているかのフラグを設定
- 上位ページと下位ページ、AI Overviews表示とAI Overviews非表示それぞれでクロス集計を行い、上位ページが下位ページと比較してAI Overviewsが表示される傾向にあるのかを検証
検証結果
上位ページのAI Overviews表示率が4.5%であるのに対し、下位ページのAI Overviews表示率は2.3%であった。
上位ページのほうがAI Overviews表示率が高いことから、PASFでの上位化がAI Overviews表示に影響を与える可能性がある。
▼ クロス集計結果
上位(3位以内) | 下位 | |
---|---|---|
AIO表示あり | 2,043 | 3,004 |
AIO表示なし | 45,165 | 128,046 |
AI表示割合 | 4.52% | 2.35% |
まとめ
仮説1の結果より、AI Overviewsに表示させるためのDR水準は通常の1〜10位に必要なそれよりも低い可能性が示唆された。このことから、DRなどのドメイン関連指標の低さを理由に参入できていないKW領域においても、AI Overviewsへの表示であれば狙える可能性が考えられる。
また、仮説2の結果より、対策KWで通常の1〜10位を獲得できていないページであっても、PASFで上位をとれていれば、AI Overviewsに表示される可能性が高まることが示唆された。このことから、通常の10位以内獲得が困難なKWであっても、その周辺KWを対策することで、AI Overviewsに表示させることができる可能性が考えられる。
以上のことから、通常の検索結果で1〜10位を狙うのが難しい場合であっても、AI Overviewsでの表示を狙う方法はありそうである。
AI検索時代のSEO戦略を検討するにあたって、これまでとれていなかったKWでAI Overviewsへの表示を狙ってみるのも手かもしれない。
引用===
[1] https://searchengineland.com/google-ai-Overviews-spike-march-2025-core-update-453841
[2] https://www.seoclarity.net/research/ai-Overviews-impact

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