株式会社マイナビ
セッション数・コンバージョン数が200%!?半年でトラフィックをV字回復させた『マイナビバイト』のオウンドメディア運用法に迫る【Keywordmap活用術】
-
目的
-
キーワード選定、コンテンツ制作、サイト流入増加
業種
-
人材・情報サービス
利用部門
-
デジタルテクノロジー戦略本部
コンテンツプランニング統括部
アルバイトコンテンツ推進課
課長
田中 裕之介 様
就職・求人・採用などの人材情報に関するサービス提供を始め、数多くの事業を展開している株式会社マイナビ。学生のための就職情報サイト『マイナビ20××』や、日本最大級の転職サイト『マイナビ転職』、『マイナビエージェント』といった多数のメディア・サービスを展開する上で、特に力を入れているのがWebマーケティングです。各メディアが日々検索エンジンからのアクセスを最大化すべくSEOを推進しているなかで、アルバイト求人に特化した情報サイト『マイナビバイト』でオウンドメディア運用・コンテンツ制作を統括しているのが田中様です。
今回は、日本最大級のDB(データベース)型サイトにおいてコンテンツに基づいたSEOに注力する理由や戦い方、また効率的に成果を追い求めるため導入したKeywordmapの活用方法など貴重なお話を伺っています。ぜひご覧ください。
(取材・文:Keywordmap事務局 、カスタマーサクセスチーム 撮影:矢島 宏樹)
導入に至った経緯
-
- ■導入前の課題
-
定量的に競合サイトを分析できていなかったこと。自社と競合のどこに差異があるかわからなかった。
-
- ■導入の決め手
-
定量的に競合サイトを分析できること。また、競合サイト同士を比較したり、ユーザーニーズをファクトベースで調査できること。UIのわかりやすさ・見やすさ。
-
- ■導入後の成果
-
直近6か月でセッション数とコンバージョン数が2倍に伸長。いずれも過去最高値を更新。
インタビュー
ユーザーとのタッチポイントを増やすためーーマイナビがオウンドメディアの価値を見直した理由
ーーさっそくですが田中様の業務内容について教えてください。
『マイナビバイト』というアルバイト求人の情報サイトでSEOを担当しています。2018年からなので、もう丸6年になりますが、もともとはマイナビバイトのデータベース側とオウンドメディア側の両方をみていました。ただ、現在はこれまで以上に記事ページからの集客にも力を注ぐということで、目下、オウンドメディアのSEOに注力して担当しています。
ーーマイナビといえば強大なデータベース型サイトを数多く展開していて、『マイナビバイト』もその一つだと思うのですが、なぜオウンドメディアにも注力するのでしょうか。
たしかに自然検索からの流入数でいえばデータベース側の割合が圧倒的であり、その分コンバージョン(ユーザーによるアルバイトの応募)数も断然多いため、長い間データベースサイトの運用を重要視していました。マイナビバイト全体のSEOを推進する上でも、8:2くらいでデータベースに傾注していて、オウンドメディア側の運用がかなり疎かになっていたと思います。
そういう事情をふまえた上で、オウンドメディアの価値が全社的に見直されたことがキッカケでした。特に、ユーザーとのタッチポイントを増やすことの重要性が増している今だからこそ、オウンドメディアに注力するのは不可欠だと思っています。
ーーユーザーとのタッチポイントですか。
時代が進むにつれて情報を取得する媒体は進化していますよね。それに伴いユーザーが情報をインプットする手段や方法も多様化しています。アルバイトを探す場合も同じで、ただ単に仕事を探すだけに留まらず、関連する情報を並行して取得するのが一般的になりつつあります。たとえば、履歴書の書き方だったり、面接時の服装、心得などについて知りたいというニーズがあり、それらを検索エンジンで調べる傾向は確かに存在しています。
このような、アルバイトや仕事そのものの周縁部に位置するような情報は、現状の検索結果においてベースサイト側で対策することは難しく、基本的に上位表示されるのは記事型のページばかりです。つまり、アルバイトに関する様々なユーザーニーズに対応するには、どうしてもオウンドメディアの運用が必要不可欠ということになります。
ーーオウンドメディアを使い、アルバイトを探すユーザーの様々なニーズに対応することで、タッチポイントを増やしていくわけですね。上位表示されるのが記事ページばかりということは、競合も対策しているということですか。
大手のアルバイト情報サイトをはじめ、多くの競合が軒並みオウンドメディアで対策しています。正直に言えば、一歩も二歩も出遅れている状況です。しかし、視点を変えれば成長の余地が十分に残されているとも考えられ、今はKeywordmapの力を借りたり、いろいろと試行錯誤することでキーワードを広げて、時流やトレンドをキャッチアップしながら様々な切り口でコンテンツ作成に取り組んでいます。
効果測定は手入力!?マイナビバイトの独特なモニタリング、効果検証とは?
ーーキーワードを広げているとのことですが、何か意識していることはありますか。
出遅れた分、まずはとにかく競合との差分を埋めていくことが喫緊の課題です。ただし、本当に対策すべきキーワードなのかどうか見極めることは強く意識しています。工数やリソースは有限なので、競合が対策しているからといって、なんでもかんでもトレースする必要はないと思っています。
その一方で競合よりも優位に立つための戦略は必要ですから、キーワード選定は工夫するようにしています。主に3つの軸、「バイトの掛け合わせ」キーワード、「バイトが含まれないバイト関連」のキーワード、「バイトに関係ない」キーワードに分けて拡張して、キーワード選定を進めています。
ーーバイトと関係ないキーワードですか。
一見するとアルバイトとは関係ないように思われるものの、視点や考え方によってはアルバイト関連のテーマと捉えられるキーワードです。たとえば、敬語、丁寧語に関するキーワードがわかりやすいかもしれません。初めてアルバイトに挑戦するにあたって敬語の使い方を学ぼうとするのは自然ですし、であれば検索エンジンで「敬語 使い方」と検索するでしょう。ユーザーとのタッチポイントとして全く不自然ではありません。
当たり前ですが、世の中にはアルバイト関連ではないキーワードの方が圧倒的に多いです。ほとんど関係ないように見えるテーマやトピックの中に、いかにしてアルバイトとの関連性を見出すか、そしていかにして自然に関連付けるか、キーワード選定ではKeywordmapと脳みそをフル回転させながら、そういうところにこだわっています。
ーーほかにオウンドメディア運用で力を入れていることはありますか。
僕個人がどこに課題があるのか明確にしたい性分ということもあってか、現状の分析や効果測定には力を入れています。
記事などのコンテンツ制作はキーワードの検索意図にどれだけこたえられるかが重要ですが、そもそも検索意図が正しく拾えていなかったら元も子もありませんよね。正しい施策を打つためには現状を正しく分析して、課題の質を正しく見極めることが重要です。課題を明確にすることは、正しい施策を打つことや課題の質を上げることに直結します。だからこそ現状分析や効果測定は大事にしています。
ーー現状を分析する上で、どのような指標を見ていますか。
いろいろ計測していますが、特に注視しているのは自然検索のセッション数と対策キーワードの順位、ページ毎のキーワード獲得数です。付け加えると、現状のフェーズではまだ大きく期待しているわけではありませんが、かなり成果が出ているためオウンドメディア経由の応募数(コンバージョン)も見ています。
すべての指標というわけではないのですが、セッションや順位などの一部の主要な指標は、ただ眺めるだけのモニタリングではなく、数値を見てスプレッドシートに手打ちしています。短いスパンだと毎日手入力している指標もあります。計測の一つの工程として、敢えてそうしています。
ーー数値の手入力ですか。なんのために行うのでしょうか。
現状分析の精度を高める一環として、数値への感度を上げるためです。面倒な作業だし工数の無駄遣いにも思えるかもしれませんが、ここで養った感覚がオウンドメディア運用にとってプラスに働いている実感があります。
たとえばサイト全体ではトラフィックにほとんど変化が見られなくても、個別ページで見ると実は大きく変動しているところがあって、早急にリライトの判断ができたり、あるいは獲得しているキーワードの順位にちょっとした違和感を覚えて、よくよく調べてみたら表示されているページがスイッチーーいわゆるカニバっていて、すぐに対処できたりみたいなことはありましたね。
ーーただモニタリングしているだけでは養えなさそうな感覚ですね。数値に対して入力するというアクションを紐づけることで、感覚的かつ迅速に変化をキャッチできる。
たとえば、パートナー様と協業していくなかで特に頼りきりになってしまっているような場合は、課題発見や施策実行に致命的なタイムラグが発生してしまうケースがあります。機会損失をしないようにパートナー様と共に、そして自社内でも現状分析や効果測定を高頻度で行うことをおすすめします。
ポイントは「競合分析」と「具体化・抽象化」ーーマイナビバイトのKeywordmap活用術
ーーKeywordmap導入前に抱えていた課題について教えてください。
競合サイトの分析がほとんどできていなかったことです。
当時はまだオウンドメディアよりもデータベース側に注力していたのですが、とにかく自然検索からのセッションを増加させることが重要なミッションでした。どうすればより多くのキーワードで上位表示できるのか、獲得キーワードを増やすことができるのか、いろいろ調査した結果、自社だけを視野に入れて施策を回しても限界があるとわかりました。やはり、先行しているーー言い換えればすでにGoogleから評価されているような競合のSEO戦略・施策を把握した上で、自社とどれくらい差分があるのか、データに基づいてチェックしなければならないなと。
そのタイミングで、もともと契約していた別のSEOツールの更新時期がきたので、機能的な相性であまり使いきれていなかったこともあって、本格的に他ツールの導入を検討しました。
ーーでは、Keywordmap導入の理由は競合サイトの分析ができる点ということですね。
最大の理由はおっしゃる通り競合サイトの分析ができるということです。他にも、競合サイト同士を比較できる機能やユーザーのニーズがファクトベースで調査できる機能の便利さ、あとはUIのわかりやすさ・見やすさみたいなポイントも導入の後押しになりましたね。関わるメンバーにKeywordmapをパッと見せると、みんな「うんうん」と納得するみたいな。僕だけでなく上長も、その点を特に気に入っていたようです。
ーーありがとうございます。続いて、現在Keywordmapをどのように活用しているかお伺いしたいのですが、やはり競合サイトの分析が多いのでしょうか。
コンテンツ制作に関する機能やキーワード選定に関する機能もよく使いますが、やはり最も活用しているのは競合サイトの調査分析機能ですね。自社サイトの分析はGoogleのツールを使えばいくらでもできますが、「じゃあ結局、競合サイトと比較してどうなの?」となると、普通、どうやっても調べられないじゃないですか。だからこそ、それを叶えてくれるKeywordmapの競合分析機能にはお世話になっていますね。なかでも「競合サイト比較」と「サイトキーワード分析」を頻繁に活用しています。
「競合サイト比較」は、自社や競合サイトが獲得しているキーワードを比較できる機能ですが、おもに対策すべきキーワードを細かく分析するために使っています。自社サイトとベンチマークしている競合複数社のキーワードを、「自社だけが獲得」「競合だけが獲得」といったように、様々なパターンで絞り込め、また検索ボリュームやCPCなどの指標も同時に参照できます。
▼Keywordmap:競合サイト比較
この時点ですでに有益なデータなのですが、もう少し深く分析するためにデータをcsvでダウンロードして、「具体化」と「抽象化」を繰り返し行います。これによって、対策キーワードが選別されていきます。
ーーキーワードの「具体化」と「抽象化」ですか。
先ほども述べた3つの軸、「バイトの掛け合わせ」キーワード、「バイトが含まれないバイト関連」のキーワード、「バイトに関係ない」キーワードを調べるために、ひとつひとつキーワードを目検で調べていく作業が「具体化」です。データを機械的に分析してキーワード選定している方もそこそこいると思うのですが、僕はとにかく細かくキーワードを調べて本当に対策すべきなのか、そもそも対策できるのか判断しています。
競合サイトと大きな差が開いているように見えても、それがじつは対策する必要がないノイズキーワード群に起因するのであれば、まったくネガティブに捉える必要はないと思います。対策キーワードを精度高く取捨選択するためにも、目検でのチェックにはこだわっていますし、コンテンツSEO的な感覚を養うためにも必要な作業だと感じています。
一方の「抽象化」は、具体化で調べたキーワードをカテゴライズする作業です。たとえば、「高校生 履歴書 書き方」と「履歴書 志望動機 書き方 バイト」というキーワードは、「履歴書カテゴリー」に分類することができます。このようにカテゴライズ(抽象化)することで、カテゴリーレベルで競合サイトと比較して、差分を把握できるようになり、優先して対策すべきキーワードを決めやすくなります。「面接カテゴリー」の獲得キーワード数に競合サイトとの大きな差分があるから、この差分を埋めていくために「面接×○○」の掛け合わせキーワードの対策に注力しようみたいな。
ーーツールから洗い出したデータの細かいチェックとカテゴライズを繰り返して、本当に対策すべきキーワードを選定しているわけですね。「サイトキーワード分析」機能も同じようにキーワード分析で使っているのでしょうか。
キーワード分析というよりも、自社や競合サイトの現状分析として活用しています。
「サイトキーワード分析」は、調査対象サイトのURLを入力すると、サイト全体で獲得しているキーワードや順位、ほかにも順位レンジごとのキーワード個数、想定流入数がチェックできます。特筆すべきなのは、各キーワードのクエリタイプまで調査できることです。つまり「Knowクエリ」や「Doクエリ」「Buyクエリ」といったキーワードの検索意図までわかります。
この機能をフル活用して、日次・週次の頻度で想定流入数や獲得キーワード数、記事のタイプ(Doクエリ系記事・Knowクエリ系記事)の動向を確認しています。特にクエリタイプの判別機能は、Googleの検索結果に基づいているということで、実際のサイト運用でもかなりお世話になっています。
ーークエリタイプはどのように活用しているのでしょうか。
おもにCVR改善として用いています。
一般的な傾向として、Knowクエリはニーズが「知ること」で終わりやすいですが、Doクエリは「実際に行う」までがニーズなのでややコンバージョンに近いですよね。この特性を活かすようにして、Knowクエリ系の記事であれば、さらにニーズを醸成するために別記事に飛ばしてサイト内回遊を促すよう内部リンクを設置したり、Doクエリ系の記事であれば、コンバージョンにつなげるためにデータベース側の一覧ページへ遷移するCTAを置くといった対策をしています。
参考:クエリタイプ
▼Keywordmap:サイトキーワード分析
ーー競合サイトの分析以外で、たとえばコンテンツ制作において活用している機能はありますか。
ユーザーニーズを調査できる「ワードマップ」機能や、記事構成案が自動で作れる「AIで見出し案生成」機能は頻繁に活用しています。
基本的にコンテンツの制作は外部のパートナー企業様に依頼しているのですが、クオリティを担保するために、記事構成案と原稿のチェックは我々で行っています。まず記事構成案が提出された段階で、Keywordmapを使ってニーズや必要なトピック(共起語)が抜け漏れていないかチェックします。もし抜け漏れがあれば、フィードバックするなどしてブラッシュアップしてからライティング作業に移ってもらっています。たとえば「春休み バイト」というキーワードで分析した結果、ニーズに「高校生」というワードが含まれていたので、トピックとして「高校生におすすめの春休み短期バイト」を含めるみたいなイメージですね。
▼Keywordmap:ワードマップ
対策キーワードによっては、品質の担保を目的に、外部パートナーの記事構成案と事前に我々が作った記事構成案を突き合わせることがあります。その際には「AIで見出し案作成」を活用しています。対策キーワードを入力するだけで、短時間で記事構成案が出来上がってしまうのには驚きました。もちろん、ユーザーの検索意図を考慮して一部テコ入れは必要ですが、プロンプトを考えなくてもいいので、とても使いやすくて重宝しています。
▼Keywordmap:AI見出し案生成
短期間でトラフィックがV字回復!セッション数・コンバージョン数が2倍に
ーーKeywordmap導入の成果について教えてください。
2023年10月から2024年3月までの直近6か月で、セッション数とコンバージョン数が2倍程度に増加したのは大きな成果ですね。
2022年の初頭からサイトのトラフィックが減少し始めて、2023年の中頃まで低迷が続いていたのですが、全社的にオウンドメディア運用に注力するようになってから徐々にセッションが戻り始めました。その間はKeywordmapを活用して先ほど述べたような施策を進めていたわけですが、蓋を開けてみれば、いまでは数ヵ月連続でセッション数の最高値を更新する状態まで成果を上げることができました。
これはコンバージョンも同じで、2024年3月まで数ヵ月連続で最高獲得数を更新しました。
ーー見事にV字回復ですね。しかもまだまだ伸びている最中だと。競合サイトと比較していかがでしょうか。
大手の競合の中でも媒体4番手だったのが、今年の3月には逆転して、現在は3番手で上位2媒体を追いかけている状態です。
獲得キーワード数ベースではありますが、こうやって競合サイトと自社のアクセス数を比較することができることもKeywordmapならではであり、気に入っている理由ですね。実際、オウンドメディア運用メンバー全員が定期的にKeywordmapを見るようにしていて、3番手の媒体を逆転したときも皆で喜びあいました。実績とともにチームの雰囲気も良くなってきたのは、自分の目で見て、定量的に成果が出ていることがわかるKeywordmapのおかげだと思っています。そういうこともあってか、今では「Keywordmapで確認したところ~」みたいな言葉が現場でよく出るようになっています(笑)。
ーー嬉しい言葉ありがとうございます。最後に今後の目標について教えてください。
オウンドメディアの自然検索流入で上位競合2媒体を抜き去り、No.1を奪取することです。そのためには、より精度の高い競合サイト分析やキーワード分析、より品質の高いコンテンツ制作が必須になるので、今後もどんどんKeywordmapを活用していきたいと考えています。
-
- 株式会社マイナビ
株式会社マイナビは、人々の暮らしや人生において成長と成功のきっかけを提供しています。そのために、一人ひとりに寄り添ったサービスの開発・提供に努めており、時代が変化していく中で、すべての人と向き合い、可能性が広がるよう、さらには豊かな生活を実現するための数多くの選択肢を提供できるよう尽力しています。
業種:人材・情報サービス
https://www.mynavi.jp/
Keywordmap事務局
-
Keywordmap事務局 カスタマーサクセスチームです。
ツールを通してクライアントの成果創出を支援してきた経験豊富なメンバーが、ツールの活用から「事業成長の貢献」まで徹底的にサポートいたします。
大袈裟かもしれないですが、Keywordmapはオーナーズ・スタイルのWEB事業に光を照らしてくれたサービスです。