認知を獲りにいく ― モバオクはなぜTwitterマーケティングを行うのか?
──Keywordmap for SNSを導入する以前から、モバオクとしてTwitterでの発信を行ってこられたと思うのですが、Twitterマーケティングを推進していた理由を教えてください。
生田目様(以下、生田目) ユーザーの率直な反応を知ることができるというのが、Twitterマーケティングを行う理由の一つですね。「いいね」や「リツイート」といったリアクションを発信するハードルの低さや、それに伴うTwitterの拡散力の強さは、我々が目指す方向性としての「認知拡大やコミュニティとしての盛り上がり」を形成するのにうってつけでした。
──では、Twitter運用の目的は認知度を高めるところにあるのですか。
生田目 そうですね、目的は認知の拡大です。
モバオクはガラケー時代に始まったサービスであり、当時はフリマサービスを牽引するような存在であったかと思います。しかしながら、デバイスの潮流がスマートフォンに移ると、競合となるフリマアプリが数多く台頭し始めて、第一想起や認知がどんどん奪われていきました。認知を取るというのは、マーケティングの基本ですし、失った認知を取り戻すような努力を継続的に行わないと忘れ去られてしまう、というのは数々の歴史が証明していると思います。Twitterは、そういった認知を取り戻し、また新たに獲得するユーザーとの接点構築の場として最適であると考え、積極的な活用を推進しています。
──モバオクにおいては、ビジネスの成果に直接かかわるサービス会員の獲得を目的としていると考えておりました。
生田目 新規会員の獲得ももちろん重要で、ひとつの成果として捉えています。一方で、そういうサービスに直結するポイントだけをKGIに置いてしまうと、施策のフレキシブルさが欠落してしまうのではないかという危惧がありました。現状においては市場における認知を取っていくことを目的にしたかったし、会員数の増加もその先についてくるものだと考えています。
──Twitterで認知を取っていくために、どのような戦略をとっているのか教えていただけますでしょうか。
生田目 戦略としては大きく分けて二つあって、一つが「どのような領域でも良いので、ナンバーワンになれるポイントを押さえる」というものです。
いまのところCtoCアプリで、本格的にTwitterに注力しているところはそれほど多くありません。そのような状況で、我々モバオクはユーザーと密接につながりつつ、コミュニティとして盛り上がっているアカウントという面において、いまならパイを取り合うことなく圧倒的な競合優位性を持つことはできるのではないかと考えました。モバオクのアカウントを中心とした一つの盛況なコミュニティを形作ることができれば、その輪を同心円状に広げていくのはさほど難しくなく、認知度も加速度的に拡大していくと考えられます。Twitterというプラットフォームの影響力の大きさを鑑みれば、そういうコミュニティ面でナンバーワンを取ることが、ひいてはモバオクというサービス全体にも追い風になると思っています。
二つ目が、コミュニティを活性化させるうえで、フォロワーの離脱を極力抑えようという戦略です。たとえば、インフルエンサーと組んで10万人フォロワーが増えたとします。しかし、それがサービスとの親和性というよりも、インフルエンサーの人気にあやかったような成果だった場合、短い期間でフォロワーが減少してしまうというのは想像に難くありません。それはビジネス上の成果とは言えないでしょう。したがって、「フォロワーの離脱率」という視点から、一過性ではない定着フォロワーを増やしていくような運用を行うようにしています。俗にミルフィーユなんて呼ばれていますが、ビジネス上のターゲットとなるフォロワーを積み上げていくイメージです。
──アカウント運用を担当されている大仏様にお聞きします。マーケティングを行うプラットフォームとして、Twitterをどのように捉えていますか。
大仏様(以下、大仏) Twitterの特徴として、口コミ的な役割を果たす部分が大きいと感じています。しかも、忖度のない生の声として受け取ることができるので、実際にモバオクがどのようにメンション(言及)されているのかであったり、サービスに欠けている点は何かという有益な情報を獲得できます。
認知拡大を目的にしつつも、そういう生の声から得られた情報を、新しい企画やサービスの改善に活かすことができるのも魅力であり、Twitterをマーケティングとして用いるべき理由だと思っています。
──ソーシャルメディアにはほかにもFacebookやInstagramといったプラットフォームがある一方で、Twitterに注力するのは、そういう情報をキャッチできるというところがポイントなわけですね。
大仏 Twitter以外のSNSは毛色が違うな、と感じます。たとえばInstagramは、コンテンツが拡散するようなプラットフォームではありません。拡散しないということは、効率よくユーザーと接点を持てないことを意味します。他社さんのアカウントでも固定ファンづくりに難儀している印象で、Twitterの方がフォロワーは増えやすいというのは、「中の人」の共通認識でもありますね。
生田目 ユーザーが多いのはいいですが、やはりInstagramは難しい。写真・画像が最重要であるばかりか、それが必ずしも質の高い写真・画像であれば良いというわけではなく、不明な要素が多い印象です。その点においてTwitterは、コンテンツそのものやユーザーの反応に対してデータを集めやすく、かつ効果測定しやすいですから、マーケティングには向いているのではないでしょうか。
──ありがとうございます。効果測定というお話が出ましたが、モバオクではKeywordmap for SNSの導入前からTwitter運用においてデータをしっかり分析していた印象があります。それは企業カルチャーなのでしょうか。
生田目 そうですね。モバオクというサービスを利用していただいている方のことをよく知ろう、というスタンスが組織内に染みついています。それは、Twitterという違う畑でも同様で、フォロワーやそれ以外のユーザーについて深く知ることが、結局は、サービスを伸長させるために役立つと考えています。たとえば、Twitterユーザーのデモグラフィックな部分や興味・関心といった属性について、データを集めて分析すればするほど、モバオクというサービスのペルソナを補強することができるようになり、より正確にターゲットを絞ることが可能になります。
公式Twitter担当者が語るTwitter運用に大切なコト
──Twitterマーケティングの成功を定量的に図るのは難しいイメージがあります。モバオクにおけるTwitterマーケティングの成功を図る指標などがあれば教えてください。
大仏 大きな目標、KGIとしてモバオクというサービスの認知度を高めると先ほど述べましたが、もう少しマクロ的な視点では、やはりTwitterを経由したモバオクサービスへの新規会員登録も、ひとつの定量的な成功になると考えています。
──新規会員を増やすため、具体的にどのようなアプローチを行っていますか。
大仏 Twitter上で「モバオク」と検索すると、サービスを利用して出品した方がその紹介を行っているようなツイートが出てきます。公式アカウントとしてそれらを個別に直接取り上げることはできないのですが、少しでも出品者様の品物が売れるようにお手伝いすることはできます。たとえば、時候やトレンドにあった商品が現在出品されているという旨を、Twitterでアナウンスするといったかたちです。これは、必ずしも出品者様のお役に立つばかりではなく、商品を探している人への手助けにもなり、フォロワーや非フォロワーの新規会員登録を助長するのにも一役買っています。
ほかには、積極的なコミュニケーションを心掛けていますね。定性的なことですが、少なからずモバオクサービスの周知に貢献していると思います。
──モバオクのツイートを拝見していますと、ユーザーの方々と気軽にコミュニケーションを取られているような印象を受けます。これから企業のTwitter運用を行っていく方に向けて、担当者として大切にしていること、そして苦労していることなどがあれば聞かせてください。
大仏 最も大切にしていることは、やはりフォロワーさんと仲良くすることです。フォロワーさんの中にはモバオクの利用者も大勢いらっしゃり、またこれから利用者になる方もいらっしゃると思うので、お客様であることは常に意識しています。一方で、ごくまれに理不尽なリプライなどをいただくことがあるのですが、客観的な判断をし、冷静に対応します。
いずれにしても丁寧に接すれば、ほとんどの場合、良い関係を築くことはできると思います。ネガティブなリアクションや不合理なリプライであっても、あからさまにスルーするのではなく、しっかりと向き合って対応した方が、結果としては良くなるのかなと。
──苦労したこと、大変なことなどはありますか。
大仏 「繋がり」を作るのには苦労しました。
──繋がりですか。
大仏 はい、企業、公式アカウント同士の繋がりです。そこが一番大変だと思います。自分の場合は、ある企業アカウントさんと交流するようになって、そこから少しずつ関係を広げていったのですが、とにかく毎日話し掛けるとか、コミュニケーションをとるという地道な作業が必要です。そもそもTwitter運用、ひいてはマーケティング自体、華々しいことばかりではなく、ときには一歩一歩、着実に段階を経ていかなければならないものですので、当然といえば当然でしょう。
フォロワー数増加、工数削減を実現した、モバオクのKeywordmap for SNS活用法
──Keywordmap for SNSを導入いただく前は、どのようにTwitterを運用されていて、どのような課題があったか教えてください。
生田目 一言でいえば、ざっくりした運用でした。Twitterアナリティクスを見て、一通りデータの集計を行うのですが、それをどのように施策に反映して実行に移すかという議論にまで至っていなかったというか。
大仏 そうですね。企画しているイベントやキャンペーンをとりあえず投稿する、という運用ばかりで、効果を最大化できているような感覚はなかったですね。
──月間ですと、どれくらいツイートされていましたか?
大仏 1200から1500ほどです。
──単純計算で一日40ツイート以上ですか。凄まじい数ですね。
大仏 はい、かなり工数をかけて投稿していたわりには、想定していたようなWebサイトへの流入にはつながらなかったのは大きな課題だったと思います。また、キャンペーン系の投稿も効果的なフローの組み立てやPDCAサイクルを確立できておらず、納得のいく成果につながっていませんでした。
──ありがとうございます。Twitter運用に課題を抱えていたような状況を打破するべく、ツールの導入を決めたと思うのですが、実際にKeywordmap for SNSを導入するにあたって、どんなところを重視していましたか。
生田目 ツールの利用料金相場はある程度把握しておいたうえで、Keywordmapの費用面については、あまり気にはなりませんでした。それよりも、先ほど述べたような目的が達成できるのか、利便性は高いのかという点を重視していましたね。
実際に、ツールを使ったテスト運用を行って使い勝手をチェックし、ツールから生成されるレポートを拝見して、これなら運用フローに乗せて、目的達成に役立てられると現場担当者含めて確信に至りました。
──決め手になったような機能はありますか。
生田目 フォロワーの興味・関心といった属性が具体的に把握できること、およびアカウント分析によって数値で効果測定できることでしょうか。PDCAを回して、次にどんな施策を投入したらいいか、思考を巡らせることができる点は魅力的でした。
大仏 担当者としては、本当に効果的なハッシュタグの選定や、Twitterユーザーのアクティブな時間を知ることで、多くのユーザーに投稿をリーチできるようしたい、という考えは持っていました。Keywordmap for SNSには、それができる機能があったので、可能な限り多くのユーザーに投稿を届けて、エンゲージメント率の上昇につなげ、最終的には自社Webサイトのアクセスが増加するところまで期待して、ツールの導入を決めました。
──現在、Keywordmap for SNSどの機能をどのようにご活用されているか具体的に教えてください。
大仏 いろいろな機能を幅広く使っています。たとえば、キャンペーンを打った際には、SNSリスニング機能を使って、キーワードやハッシュタグで自社名の出現数が増加しているかどうかを調査したり、そもそもキャンペーンを打つ際に使うハッシュタグの分析や、フォロワーの分析も日々行っています。もちろん予約投稿も使うので、投稿管理機能もお世話になっていますね。
──ハッシュタグ分析では、どの点に着目していますか。
ハッシュタグの一番の利用目的って、より多くのユーザーと接触点を増やすことにありますよね。したがって、そもそも一番多く使われているハッシュタグは何か、あるいは一番多くリツイートされているのは何かという点に着目して調査します。その結果、導き出されたワードの組み合わせで最も効果的だと思われるものを実験的に回していく、といった運用を行っています。
──フォロワー分析はいかがでしょうか。
基本的には最適な投稿時間を知るために調査するイメージですね。フォロワー分析機能でフォロワーのアクティブな時間帯を知ることができます。当然、フォロワーがTwitterを利用している時間帯に投稿したほうがインプレッションやエンゲージメントは増加するので、それに合わせて予約投稿をするための参考にしています。
加えて、フォロワー分析機能だと自社アカウント以外も調査できるので、他の企業のアカウントをフォローしているユーザーの投稿を参考にさせてもらって、自社の投稿コンテンツを作成したりしています。
──Keywordmap for SNSを導入して得られた成果があれば教えてください。
生田目 一番の成果は、実際に投稿コンテンツを企画して、投稿、フォロワーがしっかりと積み上がっている点です。
導入から6か月ほどで、フォロワー数は1.7倍に増加しました。その結果、Twitter経由のWebサイト流入も大幅に増えました。これはツールを活用することで、フォロワーの興味・関心といった好みをしっかり把握できていたことに起因すると思っています。そういう好みを理解したうえで、キャンペーン企画などを打った結果、離脱率を押さえつつフォロワーが増加して、結果的にサイトへの送客数も増加したのでしょう。
──工数削減についてはいかがでしょうか。
大仏 従来と比べて、3割以上は手間を省けたと実感しています。先ほども話にありましたが、弊社ではデータの分析には力を入れる文化があるので、Twitterでも効果測定は日々おこなってきました。ツールの導入前はこれがとにかく大変で、たとえば、過去の投稿の中からどのハッシュタグを付けたツイートが伸びていたのか探そうとすると、Twitterアナリティクスで過去ツイートを遡る必要があって、莫大な数のツイートをチェックしなければなりませんでした。ツールの導入後は、運用アカウント分析機能を使って投稿したツイートをテーマごとにカテゴリーで分けるようになったので、過去ツイートのチェックがスムーズになったし、商品紹介系のツイートをどれくらい発信したのかといった振り返りも瞬時に行えるようになりましたね。
──ありがとうございます。最後になりますが、今後、ツールを使ってどんなことを実現したいと考えていますか。
生田目 Twitterを通して、モバオクというサービスの認知拡大を推進したいですね。そのためには、まずより多くの方にモバオクのTwitterアカウントを知ってもらうことが大切だと思っています。
また認知拡大とは別に、フォロワーの方々がモバオクの投稿を待ち望んでいる状況も作りたいです。どんなツイートであっても、「お、そう来たか」というある種期待を裏切るようなコンテンツを提供することで、フォロワーさんにワクワクしてもらえれば、結果として目標の達成もあとからついてくるのではないかと考えています。
大仏 Twitterの特筆すべき利点は、ユーザーやフォロワーの方々と気軽にコミュニケーションがとれること、コンテンツが効率的に拡散されることにあると思うので、フォロワー参加型の新しい企画などを発案、実行して、その利点を最大限に活かしていきたいです。
ウォンテッドリーはなぜTwitterマーケティングに力を入れるのか【Keywordmap for SNS導入事例】